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悪夢を見る原因はなぜ?薬剤師が解説する「NG習慣と対策」5選

  • 2024.12.13

悪夢にうなされて夜中に起きてしまう、嫌な夢を見て心がザワザワするということはありませんか? 実は悪夢を見る人には特徴があり、習慣を改善することでその悩みを解決できるかもしれません。原因と、避けるべきNG習慣、対処方法をくわしく解説します。

1.悪夢を見るメカニズムって?

睡眠には、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」があり、前者は体を休息させるための睡眠、後者は脳を休めるための睡眠ともいわれます。
レム睡眠とノンレム睡眠は睡眠から起床まで交互に起こります。そして、夢を見るのは主にレム睡眠時です。
人は通常、1日に平均で3~5つの夢を見るといわれています。多くの場合、夢の正確な内容を忘れていますが、特に悪夢は鮮烈な印象を与えるために、起床しても覚えていることが多いのです。
悪夢を頻繁に見る原因としては、ストレスのほか、睡眠の質や量の低下などが考えられます。

2.悪夢に悩んでいる人が避けたいNG習慣

NG①眠る直前までスマホを操作する

スマホ、パソコン、タブレットなどの画面からはブルーライトという光が発せられています。寝る前にブルーライトを浴びると「睡眠ホルモン」と呼ばれるメラトニンの分泌を抑制して、睡眠の質を下げます。
スマホを寝床でも習慣的に閲覧する人が多いですが、寝る1時間くらい前にはスマホの使用をやめるなどの対応をとりましょう。

NG②お酒の飲み過ぎ

アルコールは睡眠の質を低下させます。
お酒を飲むと、一時的に眠くなりますが、入眠作用は3時間ほどで切れます。その後は、お酒を肝臓で分解した後に発生するアセトアルデヒドの覚醒作用などにより、睡眠サイクルが乱れ、悪夢を見る原因につながります。

NG③ストレスをためる

日常的に過度なストレスを抱えている状態だと、自律神経のバランスが乱れてしまいます。自律神経には交感神経と副交感神経があり、ふつう、日中には体を活動的にする交感神経が優位になり、夕方から夜にかけて体を休息モードへと導く副交感神経が優位な状態へと切り替わっていきます。しかし、ストレスがあると夜になっても交感神経が優位のままであるために眠りにつきにくく、その結果、睡眠の質が低下することに。
また、ストレスがあると睡眠ホルモンのメラトニンの材料になるセロトニンの分泌も減少し、不眠・悪夢の原因になってしまいます。

3.悪夢に悩んでいる人におすすめの対策

①好きな香りで部屋を満たす

香りは人をリラックスさせます。ハーブやアロマなど、好みの香りで部屋の空間を満たせば、副交感神経が優位になり、スムーズな入眠が期待できるでしょう。リラックス系のアロマとして有名なのは、ペパーミントやローズマリー。レモン、グレープフルーツなどの柑橘系もおすすめです。

②湯船に浸かる

お風呂はシャワーだけで済まさずに、湯船できちんと入浴することが大切。
睡眠の質を上げるためには、就寝時に深部体温(体の内部の体温)を低下させることが必要です。入浴すると体温はいったん上昇しますが、入浴後は血管が開くことで熱が解放され、徐々に体温が下がっていきます。
入浴の際は、熱すぎるお湯は控え、ややぬるめと感じられる、39~40度くらいのお湯に、10~15分くらい、ゆっくりと浸かりましょう。就寝の1時間半くらい前に入ると、そのあとリラックスして睡眠に入ることができます。

③ホットアイマスクを目に当てる

眠る前に目の周りをじっくりと時間をかけて温めると、血管が拡張して血行が良くなります。すると手足の温度も上がり、手足から熱が放出しやすくなって、深部体温がスムーズに下がるために眠りにつきやすくなります。
また、眼精疲労の緩和にも最適なので、日常的に目を酷使する仕事をしている人には特におすすめです。

④ツボを押す

睡眠の質を高めるには、「労宮(ろうきゅう)」というツボがおすすめ。緊張を落ち着かせ、心を穏やかにしてくれます。労宮は、手のひらの中心にあります。手を握ったときに、中指と薬指の先端が当たる位置にあるツボです。爪を立てずに、指の腹でぐっと優しく押しましょう。1秒5回を1セットとして、5セット行いましょう。

⑤症状に合わせた漢方薬

睡眠の質を高め、悪夢に対処するには、漢方薬もおすすめです。漢方薬には不眠や精神不安、ストレスに対処できるものもあります。
また、漢方薬は、西洋薬のような対症療法ではなく、根本からの体質改善をめざす人にも最適です。「睡眠薬を飲むのは抵抗がある」という場合でも気軽に試せます。
睡眠の質を高める場合、「自律神経のバランスを整えつつ、ストレスによる疲労を回復する」「イライラや興奮を鎮めて寝つきを良くする」「栄養を全身に届け、心と体の元気をとり戻す」といった作用を持つ漢方薬を使用しましょう。

<睡眠の質を高める漢方薬>

・抑肝散(よくかんさん)
イライラや緊張感が目立つ人に。からだにこもった熱を取り去ることで、心の高ぶりを落ち着かせます。

酸棗仁湯(さんそうにんとう)
心身ともに疲れ切っている人に。栄養を補うことで、過度の疲労・心労を回復し、睡眠のリズムを整えます。

漢方薬は、体質との相性が非常に重要です。漢方薬と体質の相性が良くないと、せっかくの漢方薬も本来の効果を発揮できません。医師や薬剤師のアドバイスを仰ぎ、ご自身の体質に適した漢方薬を使用しましょう。

教えてくれたのは…あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師 碇 純子さん

薬剤師・元漢方薬生薬認定薬剤師 / 修士(薬学) / 博士(理学)。神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「」で情報発信を行っている。

編集/根橋明日美

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