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イーロン・マスク、ジェフ・ベゾス、ビル・ゲイツ 「猛烈な読書家」3人の愛読書100冊から、彼らの人生哲学や成功の理由を学ぶ【書評】

  • 2024.12.12
ダ・ヴィンチWeb
『天才読書 世界一の富を築いたマスク、ベゾス、ゲイツが選ぶ100冊』(山崎良兵/日経BP)

『天才読書 世界一の富を築いたマスク、ベゾス、ゲイツが選ぶ100冊』(山崎良兵/日経BP)はタイトルの通り、世界一の富を築いたイーロン・マスク、ジェフ・ベゾス、ビル・ゲイツの“天才”3人がこれまでにどんな読書をしてきたのか、100冊のリストとともに紹介する本である。

彼らの名を知らなくても、テスラ、X(旧Twitter)のイーロン・マスク、アマゾンのジェフ・ベゾス、マイクロソフトのビル・ゲイツといえば分かるだろう。イーロン・マスクはトランプ次期大統領が新設する「政府効率化省(DOGE)」のトップに指名されたことでも注目を浴びている。3人はいずれも、アメリカのフォーブス誌が毎年公表する「世界長者番付」で1位になったことがある人物だ。最新の2024年のものでは、イーロン・マスクが2位、ジェフ・ベゾスが3位、ビル・ゲイツが7位となっている。

世界有数の富豪である彼らには共通点がある。それは「猛烈な読書家」であること。膨大な量の読書で得た知識や思考を結び合わせることで、これまでにないビジネスを起こし、巨万の富を築いてきた。

本書では、日経ビジネスや日本経済新聞の記者として3人を直接取材した経験もあるという著者が、彼らの読書歴の中から100冊の本をセレクトし、エッセンスを抽出して紹介している。

100のタイトルのジャンルとしては、イーロン・マスクは歴史、SF、ファンタジー、科学、AIといった分野、ジェフ・ベゾスはSF、経営に関するものが多い。現在は経営の第一線から離れているビル・ゲイツは歴史や科学、未来予測、自己啓発などジャンルは多岐にわたっている。

それぞれ自身が手掛けている事業に関係するものが多いが、中には意外なものも含まれている。例えば、ジェフ・ベゾスのリストの中には、経営や現在注力している宇宙開発に関する本の中に混じって、ノーベル文学賞を受賞した作家・カズオ・イシグロの小説『日の名残り』がある。

ジェフ・ベゾスの人生哲学には「後悔最小化フレームワーク」なるものがあり、これは「自分が80歳になって人生を振り返ったときを想像し、今チャレンジしなかったら後悔するかどうかを基準に意思決定する」というもの。アマゾンを起業する際も、この考えを基準にして決断したそうだ。

これを思いつくきっかけとなったのが『日の名残り』で、老執事の主人公が、年を取ってから「過去を何度も振り返ってあれこれ思い悩む様子を読んで、後悔しない人生を歩むにはどうすればいいかを考え、後悔最小化フレームワークという思考法を思いついた」のだという。1冊の小説が世界トップの富豪の人生指針を作っていたのである。

このように彼らの血肉となった書籍が紹介される。各章のイントロダクションでは、3人の人柄が生い立ちとともに説明されるのだが、記者として本人に直接インタビューした経験がある著者が、その時に受けた印象を記していて、こちらも面白い。

イーロン・マスクについては、「少年時代にいじめにあっていたからでしょうか。マスクは雄弁ではなく、どこか自信なさげな、はにかんだような話し方をします」と意外な素顔を明かし、ジェフ・ベゾスは、「不思議な強い眼差しがあり、見つめられると目をそらせなくなります。撮影を担当したサンフランシスコ在住のカメラマンが『ベゾスの目は普通じゃない。狂気が宿っている』と何度もつぶやいていたのが忘れられません」。

そしてビル・ゲイツについては、「取材をする部屋に通されて驚いたのは、ゲイツが貧乏ゆすりをしていたことです。それも上半身が前後に揺れるほど激しい動きでした。(中略)とにかくびっくりしたことを覚えています」と振り返る。いずれもなかなかのインパクトだ。

巻末には「マスク、べゾス、ゲイツが選ぶ100冊」リストも収録。すべて日本語版が出版されているものから選ばれているので、興味が湧けば実際に読むことができ、読書の幅を広げてくれる点も実用的だ。

文=堀タツヤ

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