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「白昼堂々何をしてるんだ?」ヤバい雰囲気のふたり組が夢中になっていたのは… 見るからに危険な外見と優しすぎる内面のギャップが生みだすシュールコメディ!

  • 2024.12.12

この人には近寄らないほうがよさそうだ。パッと見た瞬間、そうやって危機感を覚える外見をしている人に遭遇したことはあるだろうか。その後、たまたま機会があって話してみたら、やはり外見のとおり危うい性格をしていました、という場合だってあるだろう。――ということは、もちろんその逆のパターンも十分考えられる。

『見るからに怪しい二人』(鬼澤馬勇/KADOKAWA)では、タイトルのとおり「見るからに怪しい」外見をしたふたりの男性が主人公。だが、じつは彼らは博愛と慈愛の精神にみちあふれているのだ。

そんな、外見と内面のギャップが引きおこす、周囲の人々との、かみ合わないやりとりを描いたシュールコメディ作品だ。

ひとりは、胸のあたりまである黒い長髪に、黒いライダースジャケットとパンツ。全身黒ずくめのうえ、腕にはタトゥー、耳にも口にも無数にピアスが見える。もうひとりは、前髪以外は剃りあげられており、その色は作中でいうところの「メロン色」。おなじく多数のピアスを身につけ、ジャケットやチョーカーには高確率でトゲがはえている。

ふたりとも背が高く、お世辞にも愛想のいい雰囲気ではない。まるでパンクバンドのバンドマンかのようで、正直、あまり近寄らないほうがよさそうな危険なオーラをまとっている。

そんなふたり組が、公園で白い粉と注射器を出していたら、違法な薬物を使っているのかと思われても仕方がないだろう。しかし、このふたりの場合は違う。水と粉をまぜあわせて、ねればねるほど色が変わりそうな駄菓子に夢中になっているだけなのだ。食べ終えたあとは、公園に捨てられたゴミを拾ってまわり、迷子ネコも探しはじめる献身加減。

地元のゆるキャラをガチで追いかけていたり、ラテアートが作りたいからといってカフェのバイトに応募したり、その見た目からは想像もつかないほど、どこまでも優しくてかわいい。

その見た目と中身のギャップは場所を選ぶことなく、周囲の人間や警察をも巻きこんで混乱を巻きおこし、読者に笑いをもたらしてくれるのだ。1話が4ページ程度と短いスパンで次々につづられるため休む暇もない。

物語が進むごとに、姉や妹、弟などの親族も登場。さらには、地元の女子高生のなかで「恋の都市伝説」のような存在になっていったり、ジワリとその優しさが知れわたっていくことで、周囲のひとたちとの関係性が変化していくあたりも見どころとなっている。

怖そうな見た目にだまされることなく、手にとってもらえば、ふたりの中身と外見のギャップのとりこになること間違いなし。ぜひ、読んでみてほしい。

文=ネゴト / たけのこ

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