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ローファーにバレエシューズにウェッジヒール。あらゆる靴の“スニーカー化”から見えてくること

  • 2024.12.12
ジュンヤ ワタナベ 2024-25年秋冬メンズコレクションより。
ジュンヤ ワタナベ 2024-25年秋冬メンズコレクションより。

今年はとうとう、小学生が主に履いているローラーシューズが流行るかもしれない。大げさではなく、本気でそう思っていた。

ことの始まりは2022年。イザベル マランISABEL MARANT)のウェッジスニーカーに再び注目が集まり、以来、ジャーナリズム的観点から「クセ強めのシューズ」について考えるようになった。そしてつい先日、ニューバランスNEW BALANCE)からローファータイプのスニーカーが発売されると、私の考察欲はますます掻き立てられた。

キコ・コスタディノフ 2024年春夏コレクションより。
キコ・コスタディノフ 2024年春夏コレクションより。
キコ・コスタディノフ 2024年春夏コレクションより。
キコ・コスタディノフ 2024年春夏コレクションより。

「1906L」と名づけられたモデルは、今年1月にパリで行われたジュンヤ ワタナベJUNYA WATANABE)の2024-25年秋冬メンズコレクションのショーで初披露され、あらゆるシーンで活躍しそうな汎用性の高いシューズだ。オープンホールのメッシュアッパーにエアロダイナミクス効果を備えたレザーのアクセントと、スポーツとフォーマルウェアを融合させた特徴的なデザインだが、ほかのハイブリッドスニーカーに比べるとわりとクラシックに映る。例えば、シモーン・ロシャSIMONE ROCHA)のバレエスニーカーやキコ・コスタディノフKIKO KOSTADINOV)のブローグスニーカーよりは挑戦しやすい。

シモーン・ロシャ 2022年春夏コレクションより。
シモーン・ロシャ 2022年春夏コレクションより。

このあらゆるシューズを“スニーカー化”する動きは、ドレスコードの緩和や仕事とプライベートの曖昧な線引きがもたらす、大きな社会変化の兆候だと解釈する人もいる。歩きやすいスニーカーで通勤し、オフィスでビジネス仕様の靴に履き替える時代は、とうに終わったのだ。しかし、別の観点から考えると、ハイブリッドスニーカーの普及は変化の兆しではなく、現代の「当たり前」の形が変わった証なのではないのか。90年代にはすでにプーマPUMA)やプラダPRADA)の「リネア・ロッサ」ラインから、ネオプレンのバレエスニーカーやソールがカーブ状のロングブーツなどが当たり前のように展開されており、ハイブリッドスニーカーが象徴する「ダサかわ」や「クセ強」ファッションは、今や普通に目にするスタイルのひとつとなっている。

以前、同僚がキコ・コスタディノフとヘブン バイ マーク ジェイコブスHEAVEN BY MARC JACOBS)によるコラボシューズで出社したことがあった。ラメが煌めくメタリックストラップと、星柄の刺繍が施されたアッパーが乙女心をくすぐる1足を見て、目を丸くするエディターも、困惑の表情を浮かべるエディターもいた。彼が履いていたモデルのように賛否両論を呼ぶシルエットが多いハイブリッドスニーカーは、昨今のミーム文化とストリートウェアの出合いがもたらした産物だと言える。そしてネット上で拡散されていくミームのように、あらゆるシューズをスニーカー化する動きは、これからも広がりを見せていくことだろう。

Text: Daniel Rodgers Adaptation: Anzu Kawano

From VOGUE.CO.UK

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