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「コメディをやってる時の稲垣吾郎さんは、切れ味がすごい」リリー・フランキーと斎藤工が語る“豪華すぎる”ゲスト陣との撮影秘話<ペンション・恋は桃色>

  • 2024.12.12
「ペンション・恋は桃色 season3」に出演するリリー・フランキーと斎藤工 撮影=阿部岳人
「ペンション・恋は桃色 season3」に出演するリリー・フランキーと斎藤工 撮影=阿部岳人

【写真】リリー・フランキーと斎藤工が東京タワーをバックにキメ顔をみせる

俳優のリリー・フランキー、斎藤工、伊藤沙莉が出演するFODオリジナルドラマ『ペンション・恋は桃色season3』が、2025年1月10日(金)から配信されることが決定した。

本作は、いつもテキトーな父シロウ(リリー)とその娘ハル(伊藤)、そしてバイトの青年ヨシオ(斎藤)が営むペンション「恋は桃色」が舞台。そこに訪れる珍客たちと、3人の騒動を描くハートフルコメディだ。ドラマの撮影が初のスタッフを中心に制作され、2020年1月の深夜に5週連続の特別ドラマとしてスタート。深夜25時台での放送ながら、超豪華キャストの出演や、伊藤がギャラクシー賞を受賞したことでも話題を呼び、4年後の2024年1月にseason2がFODで配信された。タイトルは細野晴臣が1973年にリリースした楽曲で、本作の主題歌となっている「恋は桃色」から。細野はseason1にシロウの父キヨシ役でも本編に出演した。

season3では、ペンションに訪れる宿泊ゲストに稲垣吾郎、MEGUMI、鈴木慶一、そして前作に引き続き山口智子も出演する。そんな豪華ゲストたちとの共演エピソードやseason3の見どころを、リリーと斎藤に語ってもらった。

ペンションという場所が近づけてくれる人と人の距離

――season3の配信が決まった時、どのようなお気持ちでしたか?

斎藤 ちなみに、このドラマ知ってました?

――すみません…実は最近このドラマを知って、season1からイッキ見しました。

斎藤 やっぱり(笑)。なぜか、あまり知られてないんですよね。

リリー 観ましたって人になかなか会わない(笑)。普通に観てほしいんですよ。この番組では結構はっちゃけてるのに、もしこれで僕が死んだりとかしたら、ちょっとブルーな気持ちで観なきゃいけなくなるので、ぜひ早めに観てほしいですね。暗い話だったらいいけど、追悼番組で流れても笑うに笑えないでしょ。

斎藤 たしかに、追悼映えはしないかもですね。もし僕に何かあった場合は、流すのは『昼顔』でお願いします(笑)。

――(笑)。でも、本当に今まで知らなかったことが悔しくなるくらい楽しく拝見しました。視聴者目線でも斬新だなと思う場面が多々ありますが、俳優のご経験が長いお二人もこういう現場は初めてでしたか?

リリー 斎藤さんとの共演は多いけど、この感じは初めてでしたね。というより、普通ないですよ。本作の舞台はペンションだけど、僕たちも撮影中はずっとペンションに泊まり込みですから。撮影が終わっても、話がまあ終わらない(笑)。

斎藤 カメラが回っていないだけで、共演者の方はもちろん、ペンションを経営されているご家族や、実際に泊まりにきたお客さんたちとも仲良くなって、みんなで夜中まで話してるんです。僕らが泊まってるペンションに4人兄弟の子供たちがいるんですけど、すっかり成長して受験や部活の話も出てきて面白かったですね。

リリー 子供たちも初日こそ珍しがってくれるけど、3日目とかになると僕らに飽きて全く相手にしてくれなくなるんだよね(笑)。

斎藤 そうなんですよ(笑)。でも、そうやって本当の家族ではないけど、距離が近づいていく感じもいいんですよね。ペンションという、ホテルとはまた違う場所がそうさせてるのかもしれないです。

斎藤工 撮影=阿部岳人
斎藤工 撮影=阿部岳人

リリー その雰囲気がまたドラマにも反映されているのかなと思います。

「監督とプロデューサーが暴走させるファンタジーを制御するのも僕らの役目(笑)」

――シーズン3の台本を一足早く読ませていただいたんですが、ほとんどアドリブかと思いきや、意外にしっかりと台詞になっているところが多くて驚きました。

リリー 一言一句、台本のままです。

――ただ視聴者側からだとみなさんの素と演技の境目がわからなくて、ドキュメンタリー観ているような気分になります。

リリー それは、それぞれが演じている中で咄嗟に出てきたものを台本に反映させているからだと思います。例えば、season3ではハルがカクレモモジリというキャラクターが好きという設定が出てくるんですが、それは前作で伊藤さんがとっさにカクレモモジリの真似をしたところから作ったものなんですよ。

斎藤 リリーさんは脚本作りにも携わってくださっていて、今回もかなりプロデューサーや監督と話し合われたんですよね?

リリー 夜中の3時くらいまで話し合いました(笑)。特に重点を置いて議論したのが、ヨシオとハルの関係をどこまで発展させるか。監督やプロデューサーはすぐに二人をくっつけたがるんですけど、僕はなんか嫌なんですよ。これは親心なのかな?

斎藤 監督とプロデューサーは僕と同い年なんですが、多分中年ならではの寂しさを感じているから、そこに希望を託しちゃってるところはあるかもしれないですね。

リリー でも、それって終わりの始まりでもあるでしょ? だって『男はつらいよ』で恋人がいる寅さんを、ずっと見ていたくはならないじゃないですか。

斎藤 確かにそうですね。だから、監督とプロデューサーが暴走させるファンタジーを制御するのも僕らの役目です(笑)。

リリー 現場で話し合って内容を変えることもありますし、瞬発力で物を作ってる感じが面白いですよ。出演者全員がペンションにグシャーって集まって、各々の芝居をしている時も舞台感があって僕は好きなんだよなあ。

斎藤 監督は基本的に1回しか撮らないスタンスで、台詞を噛んでもOK出しますからね。

――1回の集中力が試されて、そのぶん特別な瞬間が撮れそうですね。

斎藤 結果的に1回目が一番面白いんですよ。それを証明してるドラマでもあるかもしれないですね。

リリー まあ、ただ時間がないだけなんですけどね。予備日もないし、雪が降ろうが雨が降ろうが決行するしかありませんから。でも、それによってたまにミラクルが起きる。season1の雪が降り積もったテニスコートで主婦の皆さんが三角テニスをする場面は令和の名シーンだと思ってます(笑)。今回もまた天気のおかげで良いシーンが撮れてるので、注目してみてください。

リリー・フランキーと斎藤工 撮影=阿部岳人
リリー・フランキーと斎藤工 撮影=阿部岳人

斎藤工が思わず素で笑った稲垣吾郎の“切れ味”

リリー・フランキーと斎藤工 撮影=阿部岳人
リリー・フランキーと斎藤工 撮影=阿部岳人

――役者さんはもちろんのこと、ミュージシャンの方から、芸人さんや声優さんまで様々なフィールドで活躍される方々が宿泊ゲストとして毎シーズン登場されていますが、バラエティ豊かな皆さんとの共演についてはいかがですか?

リリー 今回は何といっても、稲垣さんが出てくれますからね。プロデューサーに「出てくれるか聞いてみる」って言われた時は、イカれてると思ったよ(笑)。今まで色んなミラクルを起こしてきちゃってるから、プロデューサー陣が麻痺し始めてるんだと思う。

斎藤 前作で山口さんが出演してくれるって聞いた時も、「またまた〜」って思いましたよね。細野さんの存在も大きいですし、リリーさんや沙莉さんも出てるから、騙される要素は多いっちゃ多いですけど(笑)。

リリー 慶一さんに至っては、僕が飲み屋で声かけたから。「慶一さん、細野さんの弟役ってあり?」って。そのあと、本当にプロデューサーから話を聞いて、慶一さんは「うわ、これのことか」って思っただろうな(笑)。

斎藤 僕ら食材を調達する手段がコンビニしかなくて、ゲストの方が色々差し入れしてくださるんですが、慶一さんがペンションに持ってきてくれたべったら漬け、めっちゃ美味しかったですよね。あれが一番の思い出といっても過言ではない(笑)。

リリー そうそう。慶一さんが帰られた後に思い出して食べてみたら、これがとんでもなく美味しくて。なんでも、「べったら祭り」で買ってきた本格的なやつだったんです。

――今回も豪華なゲストの皆さんが登場されますが、特に稲垣さんがヨシオの恋のライバル役を演じるということに驚きました。

リリー やっぱりコメディをやってる時の稲垣さんは流石、『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)で培った切れ味がすごくて、本当に面白いよね。

斎藤 わかります。僕も撮影中に素で笑っちゃいましたもん。

リリー あと、これまでは僕がいない時は斎藤さんと伊藤さん、斎藤さんがいない時は僕と伊藤さんという風に必ず2人はセットになっていたんですけど、今回初めて伊藤さんと稲垣さんっていう二人だけのシーンがあるんです。だからプレビューをチェックしても、全然違うドラマに見えるんだよね。

斎藤 監督とプロデューサーは今回は神シーズンだって自画自賛してましたね。

リリー そういう意味でも、もう一人のゲストであるMEGUMIさんも含め、快く参加してくださる方々に感謝しかないですね。こんなに豪華に見える深夜番組ってないじゃないですか。月9でもいいのに(笑)。

娘役の伊藤沙莉は「可愛すぎて泣けてくる」

リリー・フランキー 撮影=阿部岳人
リリー・フランキー 撮影=阿部岳人

――これまで色々とお聞きしてきましたが、お二人がseason3で特に注目してほしい点はどこですか?

リリー 今回はハルの可愛さを満喫してほしいですね。やっぱりこれだけ長いこと父と娘を演じていると、伊藤さんが本当に可愛くて。もう見てるだけでも泣けてくるんですよ。今回は本当に一度泣きましたからね。

斎藤 僕もその瞬間を目撃してました。沙莉さんもそれに反応してて、すごく良いシーンでしたね。僕のパートでいうと、名物の居酒屋シーンでは今回もJOYさんが場を回してくれています。

リリー JOYさんは本編にも出演したいって前々から何度も言ってくれてるのに、監督もプロデューサーもそこは頑なに首を縦に振らないんですよね。だから、僕はこの作品で一度もJOYさんと会ってないんですよ。

斎藤 でも、JOYさんが本編に出たら、それこそ終わりの始まりって感じがするので、やっぱりあの居酒屋から出さない方がいいかもしれないですね(笑)。

リリー あとは他の作品よりも素に近い斎藤さんにも注目してほしいですね。少なくとも全裸で海岸に流れ着いた斎藤さんとは違う。

斎藤 このドラマでは一度もまだ濡れてないですからね。他の作品だと、たまに衣装合わせなのに衣装がない時もありますし。ほんと、何のために呼ばれたかわからないですよ(笑)。

――season3が配信されるFODをはじめ、近年は配信サービスから次々とオリジナルの話題作が生まれていますが、こうした状況は俳優として、あるいはクリエイターとしてお二人はどのように受け止めていらっしゃるのでしょうか。

斎藤 率直に時代だなと思いますね。僕もよくリリーさんにオススメしてもらった配信系ドラマにどハマりしてます。

リリー 同じロスを味わってほしいんだよね(笑)。

斎藤 それで一緒にサントラを聴きながら散歩するっていう(笑)。でも他のドラマと違って配信系は来週まで待たずイッキ見できるので、観終わった後の気持ちの高ぶりを共有しやすいのかなと思います。

リリー 本作もseason1と2はすでに配信されているから、これを機会にイッキ見してほしいですね。もちろん、season3からでもハマれる内容になっているので、そこからseason1に戻って、ヨシオがどういう経緯でペンションにたどり着いたのか、ハルとの関係は最初どうだったのかを見ていくのもありだと思います。

■取材・文=苫とり子/撮影=阿部岳人

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