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旅先自炊のすすめ

  • 2024.12.12

旅の醍醐味といえば、やはり食事。その土地ならではの特産品を味わったり、ローカルな食文化に触れるのは、旅の大きな楽しみの一つですよね。

皆さんは、どのようにして旅先の食を楽しんでいますか?

有名なレストランを予約する、地元の人たちが集まる小さなお店を探してみる……。

いろいろな楽しみ方がある中で、私は「旅先自炊」がおすすめです。現地の食材で料理を作り、そこでの暮らしを感じながら食を楽しむ。このスタイルの魅力を、実体験を交えながらご紹介します。

旅先自炊のやり方

「旅先で自炊って、どうやって始めるの?」と思われる方も多いかもしれません。ここでは、私が何度も実践している方法をご紹介します。

キッチン付きの宿を選ぶ

和歌山県の「ゲストリビングMu南紀白浜」のキッチン

まずは、宿選びから。旅先自炊を楽しむには、キッチン付きの宿が必要です。グループ旅行の場合、Airbnbでキッチン付きの一軒家やアパートを借りるのが便利です。

Airbnbは一般の家の一部屋や、一軒家を丸ごと借りることができるサービス。キッチンやリビングがあるため、自炊をするにはぴったりです。

少人数や一人旅の場合、ゲストハウスも良い選択です。共用キッチンがあることが多く、他の宿泊者と自然に交流が生まれる場にもなります。ただし、冷蔵庫も共用のことが多いので、食材を保管するスペースには限りがあるかもしれません。食材の買いすぎには注意しましょう。

【国内編】道の駅やJAで地元の食材を探す

宮城県の「いしのまき元気いちば」にて

国内旅行なら、道の駅やJAでの食材探しがとても楽しいです。道の駅が近くにある宿を狙って予約するのも一つの手。

道の駅やJAでは地元で採れた新鮮な野菜や、スーパーではなかなか見かけない珍しい食材と出会えることが多いです。

石垣島のJAで買った石垣牛

お肉はスーパーで買う、ということもありますが、石垣島のJAでは「石垣牛」が販売されていました。こうした地元の特産品を使って、その土地ならではの料理を楽しむのは、自炊の醍醐味ですね。

【海外編】スーパーマーケットでローカル感を楽しむ

インドネシアのスーパー。醤油のことを「ケチャップ」と呼びます。

海外では、スーパーマーケットに行くだけでも異国情緒を楽しめます。並ぶ野菜や調味料、パッケージなど、日本とは違うものばかり。旅先でスーパー巡りを楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。

さらに「今夜の食材を選ぶ」という目的を持って行くと、楽しさが倍増します。これまでお土産用のお菓子やお酒ばかりを見ていた方も、次回は自炊用の食材を物色してみてください。気になる肉や魚、野菜、そして調味料まで、どんどんチャレンジしてみましょう!

左から、フィッシュソース・バナナケチャップ・ココナッツ酢・醤油

フィリピンでは、酢がココナッツから作られていて白濁色だったり、バナナから作られた甘いケチャップが売られていたりと、日本では見られないユニークなものがたくさんありました。

ローカル飲食店で食材の使い方を学ぶ

特に海外では「この面白い食材、どう使うんだろう…?」と思うことも多いです。そんな時は、ローカルの飲食店へ行って実際に食べてみて、その食材の使い方をチェックしてみましょう。

例えば、インドネシアで「テンペ」という発酵食品に出会った時、私たちはローカルのお店でテンペ料理を試してみました。

ローカルショップで買ったテンペ

納豆のように発酵した大豆でできたテンペは、白いカビに覆われた板状の食品。お店では、いろんな具材を選んでご飯に乗せる、「ナシチャンプル」の具材として提供されていました。

「ナシチャンプル」の具、テンペの甘辛炒め

さらに別のお店にも行ってみると、「テンペ&タフー」という、テンペと揚げ豆腐のメニューがありました。おそらくテンペも素揚げされていて、甘辛いタレにディップしていただきます。

テンペ&タフー

しっかり火を通して、がっつり味をつけると美味しいんだな。という学びになりました。

後日ニュージーランドでテンペを調理する機会がありました。ヴィーガン食材として、普通のスーパーで売っているのです。その時には学びを生かし、しっかり味付けをして美味しく作ることができました!

ニュージーランドで寿司作り。ベジタリアン向けに、テンペ寿司(右)も作りました。

事前に予習してみる

これから旅をする国や地域の料理を、事前に作ってみるのもおすすめです。

例えば、タイに住む友人が一時帰国した際、彼女のお気に入りのタイ料理「カオクルックガピ」を再現しました。「ガピ」という匂いの強いエビ味噌でご飯を炒め、甘辛くしたお肉、野菜などを周囲に盛り付けた料理です。

友人のお土産の調味料を使い、再現してみたカオクルックガピ

後にタイを訪れた際、本場の料理と比べてみると、味の濃さや塩加減に驚きました。自分で作った方が好みかも……と思う面白い経験にもなりました。

タイで食べたカオクルックガピ

旅先自炊の魅力

ここまで、旅先での自炊方法についてご紹介してきました。次に、私が感じる旅先自炊の魅力を挙げていきます。

美味しいものを安く・たくさん食べられる

旅先自炊の大きなメリットは、地元の新鮮な食材をお得に楽しめることです。例えば、新鮮なお刺身が手に入る地域では、好きな刺身を買い込んで手巻き寿司パーティーをするのもおすすめ。

いろんな種類のネタを楽しめる、手巻き寿司

高知では、「皿鉢料理」といって、大皿に刺身を中心とした料理を盛り付ける文化があるとのこと。そんな文化も、スーパーでたくさん買ったお刺身を盛り付けて再現しました。

自分たちで選び、盛り付けた皿鉢料理

広島では、自炊で牡蠣をたっぷり食べられます。私は頻繁に広島を訪れるのですが、そのたびに、酢牡蠣・バター醤油炒め・牡蠣ご飯など、牡蠣料理を満喫しています。

牡蠣たっぷりの牡蠣ご飯

お酒を飲みながら自由に過ごせる

和歌山の日本酒と果実酒

自炊なら地酒やクラフトビールをボトルで買って、気ままに飲めるのも魅力です。

周りの目を気にせず、好きな時間に好きな量を楽しめます。少しおつまみが欲しくなれば、さっと何か作れるのも自炊のいいところですね。

現地の暮らしを体験できる

旅先でスーパーや市場で食材を買い、自分で調理して食べると、まるでそこに暮らしているような感覚を味わえます。

例えば、高知で「リュウキュウ」というトトロの傘のような葉を持つ野菜を食べ、現地で育っている姿を見たとき、自然とその地の生活が感じられました。

浅漬けにして食べたリュウキュウ

生えているリュウキュウ

ドミニカで出会ったキャッサバは、潰して揚げ餃子の皮になったり、フライになったりと、色々な形で登場しました。

スーパーで売っている「Yuca」=キャッサバ

それを実際自分たちで料理したとき、皮の硬さ・ぬめり、茹でた時の色に驚きました。

茹でてみたYuca

こうして調理してみないとわからないこともあります。そんなことも含め、その土地の暮らしを味わえるのは良いですね。

日常に旅の思い出を持ち帰れる

旅先で気に入った料理を、日々のレパートリーに加える楽しみもあります。

例えば、フィリピンで教わった「アドボ」は、今でも我が家の定番料理です。

フィリピン人に教わりながら、一緒に作ったアドボ

旅先で出会った新たな料理を、日々の料理のレパートリーとして加える。そのときのことを思い出すことができますし、日常の食生活が豊かになります。

もちろん旅先のレストランで食べた味を再現する、ということもあります。でも、旅先自炊をしていると、一度自分で作っている分、日常に取り入れるハードルも下がるのではないかと思うのです。

次の旅では、ぜひ「旅先自炊」を

道の駅で買った、いろんな種類のみかんを食べ比べ。こんな楽しみ方もできます。

料理好きな方や、一緒に旅をする方と楽しいひとときを過ごしたい方。次の旅行ではぜひ、「旅先自炊」を取り入れてみませんか?

私たち料理好き夫婦も、これからも旅先での自炊を楽しんでいきます。旅がさらに特別な時間になる、自炊の魅力をぜひ味わってみてください。

All photos by Yuka Chiba

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