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「デミロマンティック」その言葉を調べた時、それだ、と思った

  • 2024.12.12

デミロマンティック。
強い絆や信頼関係で結ばれている人に対して、稀に恋愛感情を抱くセクシュアリティ。
調べた瞬間、それだ、と思った。
ずっと抱いていた違和感。自分がおかしいのかと思っていたが、どうやら分類されていたらしい。

出生時の性別、性自認ともに女性。好きになるのは男性。
なのに小学生の頃から、恋バナに興味がなかった。他人の恋愛の話とか、好みのタイプとか、そういうのは心底どうでもよかった。芸能人を見て、「イケメン」や「かっこいい」と感じたこともなかった。かっこいいと感じる機能が欠落しているのかと思うほどに。

画面越しで見ているだけで、話したこともないのに、どうして好きと言えるのか本気で疑問に思っていた。自分には恋愛感情がないのかと思ったこともあった。
だから恋バナをやんわりと避けたり、「そういうの疎くて」と誤魔化す術を身につけた。

◎ ◎

高校生の頃、恋人に対する欲求がほぼゼロだった。手を繋いでも、「歩きづらい」としか思わなかった。ハグをされても、「力強い、逃げられないなぁ」と思った。

あまりに淡白だった。触れたいとは微塵も思わず、バスの中で寄りかかることすらできなかった。暗闇で手を繋いできたときは、「この人、暗いと大胆になるんだな」と思った。

別に嫌いではないし、冷めてもなかった。好きではあるのに、欲求が湧かなかった。

そういう行為をされても嫌だとは思わなかったが、興奮もしなかった。「こういう感じかぁ」という、あっさりした感想だけが残った。

この辺りから自分のセクシャリティはいわゆる「普通」ではないのでは、と思ったがあまり気にしないことにしていた。結局その人とはどんどん疎遠になり、別れた。

◎ ◎

そして今に至る。別の男性とお付き合いして、一ヶ月ほどになった。
そして、今回の恋愛は高校生の頃とは全く違うのだ。自分の中に「恥ずかしい」という感情が湧いた。自分からハグをしたり、触れることが恥ずかしい。手や腕を触られるとドキドキする。つまり意識している。

高校生の頃に付き合った人と何が違うのかというと、相手との親密さだった。出会った頃から気が合った。頻繁すぎるほどに電話をして、やりとりをして、たくさん会い、価値観を話し合い、言葉と行動の両方でたくさんのメッセージを受け取った。

そして彼がどんな人物であるかを早い段階で掴むことができた。だからかなりスムーズに心の扉を開けられたのだ。

それでも、数ヶ月後に泊まりで旅行に行こうと言われた時、初めは「手を出せなくてもいいならね」と言った。付き合ったからと言って、すぐにそこまで許せるわけではない。しかし彼はそれでもいい、私のペースを待つと言ってくれた。

その言葉に安心して、今はガチガチのガードが緩みかけている。そして彼の広い交友関係に、初めての嫉妬を感じたりもした。私に恋愛はできないと思っていたが、そうでもないらしい。

◎ ◎

恋バナは今も苦手だ。円満だろうとなかろうと、彼氏がいようといまいと。恋バナで盛り上がることはできない。他人の顔がイケメンかどうかなんて分からない。その感覚は変わらないまま。だけど、恋愛を諦めなくても良かったみたいだ。
そしてこの現象に名前があるということは、世界中にはデミロマンティックの人がたくさんいるのだろう。ひとりじゃなくて良かった。

■まよまよのプロフィール
読書と散歩が好き。最近はtwiceをよく聴いています。身体も心も弱いのに、看護の道を選んで絶賛つまづき中。

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