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生まれた息子の銀行印は下の名前で。名字を選べるまだ知らない未来へ

  • 2024.12.11

「むちむちさんはお兄さんがもうご結婚されてるから、名字はうちのものでいいわよね?」

「はぁ~?」と思ったが「はい」と小さな声で返した。
まぁ確かに同じように思ってはいた。兄が私の実家側の名字を名乗ってくれている。まぁその分奥様が改姓したということではあるのだが……。
それはそうとしてこの人は、第三者から言われて「はいそうですね」となるとでも思っていたのだろうか。

◎ ◎

私が年上なこともあって、夫と出逢って交際を始めてからできるだけ早く結婚しようとしていた。プロポーズの前に双方の親に交際のご報告をしようと、彼のお母様に初めてお会いした日のことである。彼と結婚したかったし、波風を立てたくなくて言われるがままになってしまった。

今ならこう言う。「私は今の名字を気に入っています。どうするかは二人で相談して決めます」と。

幸い、その後婚姻届を書く段になって夫から「さて、どちらの名字にしますか」と言ってくれて私の心は救われた。そういう感覚を持ってくれている夫で本当によかった。

◎ ◎

私が改姓することになったが、これまた幸い、職場では旧姓を使用する申出書を提出し、変わらず旧姓を名乗ることができている。私の職場は部署によってはクレームも多く、当時フルネームに顔写真付きという個人情報満載の名札を首から提げていた時代は、本名を伏せることができるという利点を感じていた(1年間の育休から復職したら名字だけになっていてとてもよかった)。保険証や年末調整などだけは本名で、あとは源氏名のように名乗れて満足している。

◎ ◎

漢字が少し珍しくて、親族を除いては同じ名字の方は大学で1人会ったことがあるだけである。
中学に入ってから初めて会ういとこがいて、彼女の部屋に掛かっていた制服に私と同じ名字の名札が付いていて、なんだかとても驚いたのを今でも覚えている。
大学を卒業する前に取得した運転免許の手続関連のときに私の名字を見た受付の方が、「もしかして○○さん(父)の娘さんですか?」と聞かれたのは誇らしかった。

愛着のある名字ではあった。ただ、正直私は名字を変えるのが当たり前だと思って生きてきたので、結婚するならいつか変えなければいけないと思っていた。なんなら、小学生の頃、好きな男の子の名字に自分の名前を合わせて自由帳に書いて友だちとキャッキャしていた。少し憧れはあった。

ただ、選択的夫婦別姓の議論を初めて聞いたとき、そんな考えがあるのかととても驚いた。できるならいいと思う。

◎ ◎

昨年男の子を出産した。銀行印を作ったのだが、夫と話し合って、いや、私が少々推しつつ、下の名前で作ることにした。子が結婚する可能性が出てくる20~30年後の我が国。選択的夫婦別姓はどうなっているだろうか。男の子だからといって名字が変わらないとは限らない。むしろ、変えるというのならソワソワはするだろうが全力でいいね!と言いたい。

書きながら思い出したが、息子を通わせている保育園では、先生方のことを下の名前に“さん”付けで呼ぶことになっている。先生同士でもそのように呼んでおり、新鮮だなぁと思っている。
あ、あと、出会って1年になるママ友ちゃんたちとも、ようやく下の名前で呼ぼうかぁ~という話になった。
下の名前で充分認識できるのだろうから、名字は変わっても変わらなくてもよいし、だからこそ選択できるのならなお良いのではないか。

◎ ◎

選択的夫婦別姓の実際の運用が私には思い付かないので自分からプッシュするまではできていないのだが、秘かに応援している。まだ知らない新しい未来が来そうで、ワクワクしながら待つこととする。

■むちむちのプロフィール
好きなことは寝ること。苦手なことは起きること。30年先も毎朝起床しなければならないと思うと憂鬱。余白の時間を確保するべく時々せっかちになる。

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