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感染症予防の最大の砦「正しい手の洗い方」をおさらい!基本の感染症対策と免疫力強化法も

  • 2024.12.11

冬の感染症対策について専門医に聞く企画の2回目です。感染症を予防するには毎日の対策が第一!“気にし過ぎ”が逆効果になることもあるそう。そこで今回は、どの感染症にも共通する基本の対策を聞きました。

教えてくれた人:矢野邦夫(やの・くにお)さん

教えてくれた人:矢野邦夫(やの・くにお)さん

1955(昭和30)年、愛知県生まれ。医学博士。感染症専門医。浜松市感染症対策調整監、浜松医療センター感染症管理特別顧問。81年名古屋大学医学部卒業。名古屋大学病院や、米国フレッドハッチンソンがん研究所での勤務を経て、浜松医科大学臨床教授、三重県立看護大学客員教授を歴任。近著は『ねころんで読めるウィズコロナ時代の感染対策』(メディカ出版刊)。

対策1:正しい手洗い・消毒で接触感染を防ぐ!

ウイルス性感染症の主な感染経路として、接触感染があります。ウイルスに触れたり、ウイルスがついた手で目や鼻の粘膜を触ることで感染します。「予防には“手をしっかり洗うこと”が基本にして最大の対策です」と話すのは、感染症専門医で、感染対策のスペシャリストでもある矢野邦夫さん。

ドアノブやつり革など、多くの人が触る場所に触れた後は、必ず手を洗うこと。厚生労働省によれば、石けんやハンドソープで10秒もみ洗いし、流水で15秒すすぐだけで、ウイルスの数が1万分の1まで減らせるといいます。

「粘膜にわずかなウイルスが付着しただけでは、粘液に阻まれてほぼ感染には至りません。手が洗えない状況ならアルコール手指消毒液を使ってこまめにウイルスを除去しましょう」(矢野さん)    

手洗いは“最大の砦”!洗い残しなく念入りに

手洗いは“最大の砦”!洗い残しなく念入りに
画像参考=政府インターネットテレビ

手洗いは接触感染を防ぐ“最大の砦(とりで)”ですが、何気なく洗うだけでは洗い残しが出ます。上のイラストを参考に、特に赤い部分を意識して念入りに洗いましょう。前提として、爪は短く切り、指輪などは外すようにしましょう。

濡れた手は“ウイルスホイホイ”状態! 清潔な布などで必ず拭く

手をきれいに洗っても、濡れたまま放置するとかえってウイルスを吸着してしまいます。外出先ならペーパータオルを使うか、清潔なハンカチなどでしっかり水気を拭き取りましょう。

消毒は、よく触れるところを1日1回でOK

手さえきちんと洗えていれば、環境の消毒はさほど神経質にならなくてOK。自宅なら、リモコンや電気のスイッチなど家族がよく触れるところを、1日1回を目安にアルコール消毒を。

消毒は、よく触れるところを1日1回でOK

対策2:ウイルスを追い出す&防いで飛沫感染を予防

新型コロナの主な感染経路でもある飛沫感染は、感染者のくしゃみや 咳、会話でしぶき(飛沫)が飛び、それを吸うなどして粘膜に病原体が付着することで起こります。こまめな換気とマスクを正しく着けることで、リスクを大きく軽減できます。

「飛沫は1mから最大2mほどしか飛ばないため、室内でも2m離れれば感染を防げます。距離が取れない場合は、マスクを極力すき間なくしっかり着けましょう」

対策2:ウイルスを追い出す&防いで飛沫感染を予防

換気で大切なのは空気を循環させること

人の多い屋内では、1時間に1回を目安に換気を。またサーキュレーター等で空気をかく拌すると、感染者から出たウイルスを含む飛沫がすぐに分散され、感染力が低下するため、窓がない部屋の感染対策にも効果的です。

年末年始の会食は座る位置に注意して

帰省などで同居家族以外と会食する際は、「家族ごとにテーブルを分ける」「最低でも1m以上距離を取る」「対角に座る」など、座る位置で感染リスクを減らす工夫を。

マスクは材質よりもフィットしているかが重要

マスクは材質よりもフィットしているかが重要

マスクの役目は主に「飛沫を抑えて周囲への感染を防ぐ」こと。素材が布やウレタンでも一定の効果があります。一方すき間が大きいと効果が損なわれるため、顔に極力フィットするものを選んで。

対策3:免疫力強化で体の内側からバリアを!

ウイルスが体に侵入しても、免疫機能が働けば発症は防げます。ワクチン接種も対策の一つ。また免疫力を保つ習慣も大事だと矢野さんは言います。

「免疫力を担うリンパ球の一種で、ウイルスと最前線で戦うNK細胞は、不規則な生活やストレスで働きが低下します。しっかり睡眠をとるなど、心身をいたわることが感染予防につながります」(矢野さん)

対策3:免疫力強化で体の内側からバリアを!

同時流行に備えてワクチンの接種を検討する

2023~2024年の冬は新型コロナとインフルエンザの同時流行が危惧され、特に65歳以上の方や持病のある方は重症化リスクが高いため、今からでもワクチン接種の検討を。両方の同時接種も問題ありません。

ストレスは免疫力の大敵!「したい」を解放しよう

ストレスは免疫力の大敵!「したい」を解放しよう

感染を過剰に恐れて「したいこと」の欲求を抑えていると、ストレスで免疫力が低下し、かえって感染リスクを上げてしまいます。今回紹介した対策を参考に、旅行や友人との集まりに出掛けるなど、意識的にガス抜きを。

次回は、うっかり間違えがちな感染症対策について、クイズ形式でお伝えします。

取材・文=新井理紗(編集部) イラストレーション=高橋マサエ

※この記事は、雑誌「ハルメク」2023年1月号を再編集しています。

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