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コペンハーゲン発の人気ジュエリーブランド、ソフィ ビル ブラーエ。創業デザイナーに聞く、15の質問

  • 2024.12.10

ソフィ・ビル・ブラーエは何でも器用にこなす。何を創作するにも一貫して高いクラフツマンシップを感じさせ、コペンハーゲンのオフィスには、彼女がデザインした美しい曲線のテーブルやムラーノ・ガラスの花瓶が置かれている。しかし、彼女のシグネチャーは何と言ってもジュエリーだ。ダイヤモンドとパールをふんだんにあしらった有機的なピースたちは、ブラーエという人を具現化したようなデザインで、どれも物語性を湛える。「自分の作るジュエリーには、自分の人生が詰まっている」。そう語る彼女の頭の中を覗く。

1. ジュエリーに関する一番古い記憶は?

幼い頃は、コペンハーゲンの北部にあるホルンベックで夏を過ごしていたのですが、あるとき、家族とビーチで過ごしていたら、母がカルティエCARTIER)の時計をなくしてしまったことに気づいたんです。その時計は彼女にとってとても大切なものだったので、父が一晩中探したのを覚えています。そしてようやく、水辺で見つかったんです。そのとき初めて、ジュエリーが誰かにとって、これほどまで意味を持つものになるのだと気づきました。無事に見つかったあの瞬間を、一度も忘れたことはありません。

2. ご自身が一番大切にしているジュエリーは?

ブランドの定番ピースでもあるテニスネックレス。なんにでも合いますし、娘に譲った後も、万能アイテムとして活躍し続けてくれると思います。

3. これなしでは出かけられないジュエリーは?

イニシャルリング。左手に「S」、「B」、「B」、右手に「J」のアルファベットをデザインした指輪をつけています。「SBB」は私のイニシャルなんですけれど、「S」は愛犬のスヌーピー、「B」は娘のベアテ、「J」は息子のヨハンとボーイフレンドのイェッペの名前の頭文字でもあるんです。私の大切な人たちを全員表していて、ほとんど毎日身につけています。

4. ブランドの背景にはどんなストーリーがあるのですか?

ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートで修士課程を終えたとき、自分や友人のためにジュエリーを作り始めたんです。当時はまだ自分のブランドを立ち上げていなくて、ただ作品を作って売っていただけで。そこからすべてが始まりました。

最初にヒットしたのは「クロワッサン・ドゥ・リュヌ」ですね。耳のラインに優雅に沿うように、だんだんと小さくなっていくダイヤモンドを1列にセッティングした、ユニークなイヤリングです。今でもとても人気のあるモデルのひとつです。

2011年に正式にブランドを立ち上げたのと同時に、素晴らしいチームに恵まれました。今のソフィ ビル ブラーエ(SOPHIE BILLE BRAHE)があるのは、彼らのおかげです。最高品質の素材を使って、新しくて、面白くて、自分が身につけたくなるようなジュエリーを作り続けたい。会社がどんな進化を遂げようとも、自分の信念を曲げずにいきたいです。

5. 自分の美学を言葉で表すと?

オリジナリティがあり、クラシック。洗練されていて、詩的……ですかね。私はジュエリーを作るとき、足し算よりも引き算を大事にしています。どれだけシンプルな形で、パールの魅力を引き出すことができるか。どうすれば、ダイヤモンドのありのままの美しさを引き立てることができるか。私が伝えたいストーリーの一部でない限り、セッティングやマウントなどは、パールやダイヤモンドといった素材そのものを差し置いて目立つべきではありません。

6. ムードボードはどのようなもので構成されていますか?

私の作るジュエリーには、私の人生が詰まっています。過去にデザインしたコレクションを見ると、自分がこれまで歩んできた人生が投影されているのがわかるのです。いいことも悪いことも、大切な瞬間もすべて。ムードボードを作るとしたら、家族や友人の写真、今まで読んだ本や見た絵、いつか感じた気持ちなどをまとめると思います。

私は創作プロセスを、いつも感覚的なところから始めます。目に見えるけれど掴めない「何か」が、自分の中にある感覚です。そして時間をかけて、その「何か」を捉えようとします。無駄なものを手放して、あまり考えすぎないようにしながら。そして頭がすっきりすると、制作を始めます。ぼんやりとしていた形を絵に落とし込んで、納得できるまで描き続けるのです。

7. ダイヤモンドとパールはどのように調達していますか?

創業以来、最高品質の素材を使用し、信頼できるパートナーと協力してきました。私たちは「地球や地域社会に配慮した素材を、責任を持って調達して使う」ということをブランドの中心に据えていて、生産パートナーと緊密に協力し、責任ある生産を行うとともに、社会、環境人権を保護する倫理的なサプライチェーンの構築に努めています。ジュエリーには認定取得済みの100%リサイクルゴールドを使用し、ダイヤモンドはすべてコンフリクトフリーもの。パールは最高品質のものを厳選しています。ダイヤモンドに関しては、流通のさらなる透明化にも力を注いでいます。

8. どんな人に自分が作ったジュエリーを身につけてほしいですか?

ブランドを立ち上げる前から、自分自身や友人のためにジュエリーを作っていました。その頃よりターゲット層は拡大しましたが、今でも同じような女性たちからインスピレーションを受けています。自分が身につけたくないものは、決して作りません。

9. 自分の代表作だと思うピースは?

「ル・コリエ・ドゥ・テニス」

10. ピースの名前はどのように決めていますか?なぜフランス語なのですか?

きっかけは最初に作ったヒットジュエリー、「クロワッサン・ドゥ・リュヌ」です。ダイヤモンドとパールを見ると、いつも夜空と星と月を連想するので、この名前をつけました。今でも、穏やかな夜空の詩的な美しさに魅せられます。自分のブランドを通して、夢と美の世界を作りたかったのですが、なぜかフランス語という言語にしか、この世界観は表現できないように思えたのです。その詩的さには、昔から惹かれています。

11. 「レトル・ドゥ・リュミエール」ラインを展開したことで、パーソナライズ・ジュエリーやウエディングリングに対するアプローチは何か変わりましたか?

「レトル・ドゥ・リュミエール」コレクションを制作したとき、現代的なひねりを加えたシグネットリングを作りたいと思ったのです。(シグネットリングのように)家族や自分の歴史を象徴する指輪にはずっと惹かれていたのですが、どういうわけか私には似合わなくて。そこで、絵を描いたり、字を書いたりして、自分の手書き文字をもとにコレクションをデザインしたのです。エレガントでモダンで、自分が身につけたいと思うリングを作りました。大切な人たちをいつもそばに感じることができる、子どもたちや孫たちに残しておけるピースです。

12. 初めてジュエリーに投資する人におすすめしたいピースは?

「グランド・オーシャン」リングがおすすめです!娘が生まれたとき、パートナーから「グランド・アンサンブル・オーシャン」リングを贈られたんです。ジュエリーデザイナーである私にジュエリーをプレゼントする人は滅多にいないので、本当に感動しましたし、とても気に入っています。

13. 女性が持つべき究極のジュエリーは?

テニスネックレスがあれば十分です!

14. ご自身が手がけたジュエリーは、どのようにスタイリングしていますか?

いつも同じ「S」、「B」、「B」と「J」のイニシャルリングとテニスネックレスをつけています。ネックレスは決まってシンプルなTシャツに合わせています!

15. とっておきのファッションアドバイスは?

「心地いい」と感じる服を着るのは、とても大切だと思います。コペンハーゲン民の感覚ですが、自分のライフスタイルを反映した服装をするのが好きなんです。私自身、動きやすくて、仕事着にもなる服を好んで着ますね。手を使う仕事をしていて、犬と小さな子どもがいて、サイクリングをよくするせいもあるかもしれませんが。シンプルなシルクのワンピースやTシャツ。エレガントで堅苦しくないものに手が伸びます。ジュエリーは普段使いするべきだと思っているので、カジュアルなTシャツに、ダイヤモンドのロングピアスや「ペギー」パールネックレスを合わせるのが好きで、足首やうなじなど、あまり目につかないところにつけたりするのも好きです。ジュエリーがさりげなく映える感じが気に入っています。

Text: Héloïse Salessy Adaptation: Anzu Kawano

From VOGUE.FR

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