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閉経後はリスクが3倍増!女性も気を付けるべき「睡眠時無呼吸症候群」の対策を医師が解説

  • 2024.12.10

閉経する50歳前後を境に、患者数が約3倍に増える「睡眠時無呼吸症候群」。寝ているのに日中眠気がつらい、いびきをかくなど、症状をまずはチェックしてみましょう。治療法や対策、いびきを防ぐ簡単な「舌トレーニング」のやり方を解説します。

教えてくれた人

RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック 院長 白濱龍太郎さん

RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック 院長 白濱龍太郎さん
 
しらはま・りゅうたろう 2002年、筑波大学医学群医学類卒業。東京医科歯科大学大学院統合呼吸器病学修了。東京共済病院、東京医科歯科大学附属病院を経て、13年にクリニックを開設。日本睡眠学会専門医。『誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』(アスコム刊)をはじめ著書多数。

女性も要注意!睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?

女性でも注意したい睡眠時無呼吸症候群(SAS)

 眠っている間に、大きないびきや無呼吸を繰り返す病気「睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)」。日本で約300万人ほどの患者がいると推定されています。

周りの人が耳をふさぎたくなるほどの睡眠中の大きないびきは、SASのサイン。いびきの音に強弱があったり、途中ピタッと音がしなくなったと思ったら呼吸も止まり、しばらくして再びいびきが始まるという状態が見られます。勘違いしてはいけないのは、いびきをかいているからといって熟睡できているとは限らないということです。

そして睡眠時無呼吸症候群というと、太った男性に多いイメージがあるかもしれません。しかし「女性でも閉経する50歳前後を境に、患者数が約3倍に増えます。また、痩せ型の人でもなる可能性があります」と睡眠専門の医師、白濱龍太郎さんは話します。つまり閉経後にいびきをかくようになったという方は、この病気の疑いがあるということ。

女性ホルモンのプロゲステロンが呼吸中枢を刺激して、気道を広げる働きをしていますが、閉経すると女性ホルモンの分泌が激減するため、SASが起こりやすくなるのです。また、加齢によって筋肉が弱まることも関係しているといわれています。

睡眠時無呼吸症候群の症状チェックリスト

 

睡眠時無呼吸症候群の症状チェックリスト
  •  眠れない、夜中に目が覚める
  • 大きないびきをかく
  • 起きたときに頭痛がする
  • 頭が重たく感じる
  • 夜間頻尿
  • 日中、眠気がある
  • 集中力の低下
  • 記憶力の低下
  • イライラする
  • 気持ちが落ち込む

当てはまる項目が多い人ほど高リスクです。睡眠中、平均して1時間に5回以上、それぞれ10秒以上呼吸が止まったり、止まりかけたりする場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。

また起床時に頭の両側が痛み、30分ほどたつと収まるといった症状も。睡眠が妨げられているため、日中に極度な眠気に襲われる、集中が低下する、気分が落ち込むといった症状もみられます。これらの症状には、更年期障害とも受け取れる症状も含まれるので対処が遅れてしまう場合があります。いびきや日中の眠気がひどくなったら、一度病院を受診してみましょう。

睡眠時無呼吸症候群が怖い理由 

睡眠時無呼吸症候群の怖さ
睡眠時無呼吸症候群は日中の活動を害する他にも悪影響が

睡眠時無呼吸症候群による悪影響は、睡眠を妨害して日中の活動に支障が出るだけではありません。無呼吸・低呼吸によって、酸素が得られない状態になることで、心臓、血液循環、脳、自律神経などさまざまな箇所に影響を与えて、病気のリスクを引き起こすことがわかっています。

睡眠時無呼吸症候群によってリスクが高まる病気

  • 二次性高血圧
  • 糖尿病
  • 脳卒中
  • 慢性腎臓病
  • 心血管疾患
  • 動脈硬化
  • 認知症
  • 胃食道逆流賞
  • 狭心症・心筋梗塞
  • うつ病
  • 不妊症・流産
  • ED(勃起障害)
  • 非アルコール性脂肪肝


 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)を治療するには?

CPAP(シーパップ)療法
CPAP(シーパップ)療法

睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、睡眠外来か呼吸器内科、耳鼻咽喉科を受診しましょう。いびき外来、睡眠センターという名称の外来もあります。

医師の問診により、睡眠時無呼吸症候群かどうかは検討がつきます。治療が必要な場合は、実際睡眠時にどのような状態なのかを機器を使って計測します。1泊入院して睡眠の状態を確認するポリソムグラフィー検査と、自宅で行う検査があります。どちらも保険適用で検査を受けられて、ポリソムグラフィー検査は約3万円程度、自宅検査は3000円~5000円程度(※病院による)です。

また、原因によってタイプが分かれるので、検査結果をもとに治療方針を決めます。睡眠時無呼吸症候群の治療では、寝ている間に呼吸を十分にできるように気道を広げて空気を機械で送り込むCPAP(シーパップ)療法を行います。

他にも、肥満や飲酒、喫煙などの生活習慣が原因になっていれば、その改善を行います。鼻やのどに原因があれば手術を行うこともあります。

睡眠時無呼吸症候群を防ぐ舌トレをやろう!

年を重ねると舌の筋肉量が低下して、寝ている間に舌の根が喉元に落ちてしまうことも、いびきの原因になってしまいます。睡眠時無呼吸症候群を防ぐためにも、日頃から舌トレによって舌の筋力を鍛えるといいでしょう。

また睡眠時無呼吸症候群だけでなく、高齢者に起きがちな誤嚥(ごえん)障害を防ぐことにもつながります。いびきを少しでも改善したい方、まだいびきをかいていない方という方も予防のために、少しでも舌トレを行うといいでしょう。


1.舌の前後運動

1.舌の前後運動

口を開けて舌を前に突き出して5秒キープ。舌をひっこめて5秒キープ。これを3セット繰り返す。舌をひっこめるときは、舌の先端を上の歯の裏にくっ付けて後ろに引っ張るようにする。

2.舌の上下運動

2.舌の上下運動

口を開けて、舌を上あご(なるべく口蓋全体)に押し付けて10秒キープ、舌を下あご(口腔底)に押し付けて10秒キープ。これを3セット。

3.舌の回転運動

いびきを防ぐ舌の回転運動


口を閉じたまま、口の中でゆっくり舌を回転させる。舌で前歯の表面と歯茎を舐めまわす感じで。右回り、左回りそれぞれ3回、回転させる。

4.舌とあごを動かす、あいうえお体操

口を大きく開けて「あーいーうーえーおー」と言いながら、顔と口の筋肉を大きく動かす。これを3回繰り返す。舌やあごを痛めないように注意してください。

5.頬のぷくぷく運動 


口を閉じて頬を大きく膨らませて5秒キープ、すぼめて5秒キープ。これを3セット繰り返す。

しっかりと口のまわりを動かすことで、舌の筋肉は強くなります。舌トレは、毎日コツコツ続けることが大切です。毎日のルーティンになるように、夜寝る直前に行うなど生活習慣の中に組み込むといいでしょう。

いびきを防ぐ横向き寝

横向きに寝る
睡眠の質を上げるなら「横向き寝」&首は「S字」に!

いびきの原因は、舌根が喉元に落ちて気道をふさぐことです。そのため横向き寝をすることで、仰向け時に比べ気道が確保されやすく、呼吸がラクになります。

ただし、横向きは仰向けよりも体圧分散が少なく、腰痛等の原因になることもあります。また、高齢者や、心臓に基礎疾患を持っている方にとっては、心臓負荷になる可能性があります。主治医に相談をしてから行ってください。横向きに寝るための補助として、抱き枕などを使って快適な横向き寝を実践してみましょう。抱き枕を使うときは体の横に置いて、足を上からかぶせるようにします。

※この記事は2021年5月の記事を再編集して掲載しています。

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