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Jリーグでもプレーした元北朝鮮代表FW安柄俊が34歳で現役引退 20~21年に韓国2部初の2年連続“個人三冠”達成

  • 2024.12.10

元サッカー北朝鮮代表FW安柄俊(アン・ビョンジュン/34)が12月9日、自身のインスタグラムを通じて現役引退を発表した。

「応援してくださっている皆様にご報告があります。僕は、今シーズンをもってサッカー選手を引退します」と書き出した安柄俊は、「膝の状態が悪化し続け、今の状態ではもうプロ選手としてプレーする資格はないと判断しました。簡単な決断ではなかったですし、寂しく悲しい気持ちもありますが、同時に大きな解放感も感じています」と引退の経緯を説明。

続けて、「手術から始まった選手生活で、サッカーをしたくてもできない時間も長かったです。心が折れ、全てを諦めたいと思ったことも何度もありました。でも、たった1試合、たった1つのゴールが、その困難な時間をすべて忘れさせてくれ、その瞬間のために努力する時間が僕を成長させてくれました。1人では到底耐えられなかったですし、多くの方々に支えられながら乗り越えることができました」と伝えた。

そして、「今まで僕のサッカー人生を支えてくれた全ての方々に心から感謝し、いつもそばで支えてくれた家族にも心から感謝しています」とし、「今まで応援してくださったファンの皆様に、心から感謝の気持ちを伝えます。12年間、本当にありがとうございました」と投稿を締めくくった。

安柄俊
(写真提供=韓国プロサッカー連盟)今季の安柄俊
韓国2部で史上初の「2年連続個人三冠」

安柄俊は1990年5月22日生まれの34歳。東京都出身の在日コリアンで、東京朝鮮高校、中央大学を経て2013年に川崎フロンターレでプロデビュー。以降、Jリーグではジェフユナイテッド市原・千葉、ツエーゲン金沢、ロアッソ熊本に在籍し、J1通算7試合1ゴール、J2通算94試合19ゴールを記録した。

また、北朝鮮代表では2011年3月26日に行われたイラク代表との国際親善試合でA代表デビュー。2015年の東アジアカップやロシアW杯アジア2次予選、2017年のE-1サッカー選手権などでメンバーに選ばれ、2017年のE-1選手権では背番号10番を着用してプレーした。

2019年からは舞台を韓国に移し、同年に当時Kリーグ2(2部)だった水原(スウォン)FCに完全移籍すると、翌2020年にはリーグ戦21ゴール4アシストの活躍でチームの1部昇格に貢献。自身も同年シーズンのKリーグ2得点王、年間ベストイレブン、年間MVPの“個人三冠”を達成。さらには、韓国サッカー協会(KFA)が選ぶ「今年の最優秀選手賞」でも、韓国代表FWソン・フンミン(32、トッテナム)、元韓国代表MFソン・ジュンホ(32)に次ぐ3番目の票数を獲得した。

安柄俊
(写真提供=韓国プロサッカー連盟)2020年、水原FCを1部昇格に導いた安柄俊

2021年には、開幕前にKリーグ1(1部)の江原(カンウォン)FCへの移籍が一度確定していたが、過去に手術歴のある膝がメディカルチェックで問題視され、一転して交渉が破断に。その後、前年度1部最下位で2部に降格した釜山(プサン)アイパークに加入した。

釜山は同年シーズン、10チーム中5位で昇格を逃したが、安柄俊は34試合23ゴール4アシストと圧巻の活躍を見せ、再びKリーグ2の得点王、年間ベストイレブン、年間MVPに選出。Kリーグ2史上初の2年連続“個人三冠”という偉業を成し遂げた。

安柄俊
(写真提供=韓国プロサッカー連盟)2021年、釜山所属で2年連続個人三冠を達成し、授賞式で涙を流す安柄俊

以降は2022年夏に水原三星(スウォン・サムスン)ブルーウィングスへ移籍。2024年シーズンは釜山に復帰し、夏の移籍市場で水原FCに加入。現役最後のクラブは、韓国で初めてプレーした“古巣”の水原FCとなった。

今季成績はKリーグ1で6試合1アシスト、Kリーグ2で12試合1アシスト。最後の公式戦出場は11月23日にアウェイの蔚山文殊(ウルサン・ムンス)サッカー競技場で行われたKリーグ1第38節(最終節)の蔚山HD FC戦で、安柄俊は後半42分から途中出場。試合は蔚山が4-2で勝利した。

安柄俊、韓浩康
(写真提供=韓国プロサッカー連盟)水原三星での安柄俊(左)。右は同じ在日コリアンの韓浩康

Kリーグでの通算記録は、Kリーグ1で通算53試合12ゴール1アシスト、Kリーグ2で通算102試合55ゴール9アシストだった。

なお、安柄俊は来る12月14日、Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsuで行われる元日本代表MF中村憲剛(44)の引退試合に「KAWASAKIフレンズ」の一員で出場する予定だ。

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