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【岡山県への移住はアリ?ナシ?】イベントに参加して分かった「瀬戸内海No.1」のワケ

  • 2024.12.27

新型コロナウイルス感染症が蔓延したことで、大きく変わったライフスタイル。予期せぬ自然災害も増え、依然とは少し異なった価値観や考え方を持って過ごしている方も多いのではないでしょうか。筆者もこの数年間で心境に変化があり、これからも何が起きるか分からないからこそ、後悔しない人生について真剣に考えるようになりました。そんな中で、ほんのり芽生えたのが、“移住”への憧れです。とはいえ、実行に移すには情報不足であり、まだまだ本気度も低め。ということで今回、最初の一歩として岡山県が実施したイベント「おかやま晴れ暮らしのすすめ~先輩移住者との交流Day~」に参加してきました。はたして移住先として岡山県は、アリなのでしょうか、ナシなのでしょうか……!?

なぜ人気?岡山への移住

実は現在、岡山県は移住先として注目を浴びていることをご存知でしょうか? イベントに登場した岡山県知事の伊原木 隆太氏は、その理由を「生活しやすく、バランスがよいから」と語ります。

伊原木 隆太岡山県知事

岡山県は「晴れの国」と称されるほど晴れの日が多く、過ごしやすいのはもちろんのこと、農作物がよく育つため食材の宝庫でもあります。また、瀬戸内海・中国山地と、自然が豊かでありながら、そこまで田舎過ぎないというバランスのよさ。災害(地震)の少なさは全国で第3位と、これも大きなポイントとなっています。さらに、移住・定住支援制度も充実しており、岡山県は、「瀬戸内海で移住したい県No.1」ともいわれているのです。

移住した先輩のリアルな声が聞けるイベント

筆者が今回参加したのは、2024年11月23日(土)、東京都・恵比寿で行われた「おかやま晴れ暮らしのすすめ~先輩移住者との交流Day~」。実際に移住をした先輩の方々と交流しながら、リアルな話を聞くことができるイベントでした。

会場では、移住者が携わる食材や雑貨などを販売する「岡山よいものマルシェ」や、針と糸を使わずに作れる「畳縁(たたみべり)くるみボタン」のワークショップも同時で開催され、全体的に手作り感のある温かい雰囲気が漂います。

©︎おかやま晴れ暮らしのすすめ~先輩移住者との交流Day~

また、小さなステージも用意され、ここでは、先輩移住者によるトークセッションが行われます。そしてなんといってもこのイベントの醍醐味は、先輩移住者に直接質問できる雑談会。先輩移住者を囲み、お茶を飲みながらざっくばらんにお話ができるのです。その一部をFAQ形式でご紹介。

Q.生活する上で車は必要ですか?

A.車がないと不便ですけど、岡山市内・倉敷市内あたりであれば、公共交通機関も便利ですよ。

Q.仕事はありますか?

A.東日本大震災の際に移住者が増え、そのとき起業した方々の事業が今大きくなっています。雇用という面でも頼れるし、地元の企業でも働ける年代の人材を多く求めています。

Q.東京でも仕事がある場合、どのように対応していますか?

A.1カ月のスケジュールをあらかじめ決めて、それに沿って生活をしています。岡山にいるのは月に10日間くらいです。

Q.塩害はありますか?

A.塩害は……そういえばないです!

Q.熊対策はしていますか?

A.子どもには小学校からクマよけの鈴が配られるんですよ~。

さまざまな質問が飛び交い、自分では思ってもみなかったような質問が聞けるのも、座談会ならではです。1つひとつの質問にしっかりとした回答があり、疑問が解決する気持ちよさとともに、生活のイメージもどんどん湧いてきます。

聞けば聞くほどためになるクロストークショー

中川 正子さん(左)、高谷 絵里香さん(右)

今回、イベントに参加した先輩移住者は5名。クロストークショーでは、移住に至った経緯から現在の暮らしまで、フォトグラファーの中川 正子さん(左)を中心に、それぞれの目線から岡山生活についての話が繰り広げられました。本記事では、中川 正子さんと、農家を目指し移住した高谷 絵里香さん、東京と岡山の2拠点生活を実践しているあかし ゆかさんの3名をご紹介します。

©︎おかやま晴れ暮らしのすすめ~先輩移住者との交流Day~

東日本大震災をきっかけに、2011年に東京から家族で移住し13年が経った中川さん。岡山市内に住んでいるため、いわゆる“田舎暮らし”とも少し違い、スムーズに新生活を始めることができたといいます。

しかし、苦労したのは仕事の面。東京では、朝5時から深夜24時までバリバリ働いていたため、先輩からも「積んできたキャリアがすべてなくなる」と岡山移住を何度も止められたのだとか。「それなら新しい仕事の方法を考えます」と、半ばタンカを切るように東京を出てきてしまったという中川さん。やはり仕事の進め方や常識も東京とは違い、最初は戸惑ってばかりだったそう。

ところがある日、東京の第一線で活躍してきたからこそ、さまざまなスキルが身についていることに気づきます。そこから、「なんでも全部自分でやる」と決め、一人で何役もこなすスタイルに変えました。

「スタイリストやヘアメイク、そしてディレクターと、東京にはたくさんいるのに、岡山にはいないということがよくありました。しかし、岡山で足りないことがあったからこそ、今があると思っています」と笑顔で語ります。

©︎おかやま晴れ暮らしのすすめ~先輩移住者との交流Day~

東京・八王子市出身の高谷さんは、農業を始めるために2011年に夫婦で岡山県の真庭市に移住しました。

農薬を使わない自然栽培に興味を持ち、千葉県の農家さんのもとで約1年間の研修を受けたのですが、研修が終わった直後に東日本大震災が発生します。日本中が混乱する中で、「先祖代々の畑がある訳でもない私たちは、どこででも農業ができる」と全国各地へ出向き、その地を探すことを決意します。

さまざまな土地を訪れた中で、真庭市への移住を決定づけたのは、ズバリ水。水が合うということに加え、景色を見た瞬間、「あ、ここだ」と直感したそうです。その時の気持ちを、高谷さんは「自分にとって岡山はいい意味でゼロでした。岡山に色がなく、自分で色を決められる。そんな感覚がありました」と語ります。

当時はまだ移住者促進がなかったため、会う人に「ここで農業するにはどうしたらいいですか?」と聞きまわり、だんだん「震災で大変な若い夫婦がやってきた」と、地域の方々も手を差し伸べてくれたのだとか。現在高谷さんは、「蒜山耕藝の食卓くど」という店もオープンさせています。「家賃が安いので、やってみたいなと思ったことが始めやすいですよ」と、移住をした後にも、まだまだ楽しみがあることを教えてくれたのでした。

中川 正子さん(左)、あかし ゆかさん(右)

京都府出身のあかしさんは、就職のために上京し、5年間会社員として働きました。退職後はフリーランスに転身し、現在は東京で編集者・ライターとして活動しながら、岡山県・倉敷市では「aru」という小さな本屋を営み、2拠点生活を行っています。あかしさんの生活がこのようになったのは、倉敷市の児島に2週間滞在したことから始まります。

フリーランスに転身した頃、世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るっていました。これから頑張ろうとしていた矢先の出来事で、環境の変化、出口の見えないコロナ禍、そしてあかしさん自身のプライベートな問題……と、大変なことが一気に起こり、精神的に落ち込んでしまったそうです。そんな姿を見かねたお友達から「うちのホテルに泊まりにおいで」と声を掛けられ、倉敷市の児島で2週間ゆっくりと過ごします。地元の人たちに混ざって過ごしていくうちに、「ここで暮らすのもいいかもしれない」と、思い始めたのがきっかけです。

©︎おかやま晴れ暮らしのすすめ~先輩移住者との交流Day~

あかしさんが感じる2拠点生活の魅力は、「物足りない部分を補えあえるところ」だそうで、都会を愛する気持ちと、自然を愛する気持ちを、東京と岡山が満たしてくれるそうです。しかし、2つの町に拠点を置くということは、移住とはまた少し異なり、仕事に対して不安が大きくなるのも事実。そんな人に向けて、背中を押すような言葉をくれました。

「岡山で活動したことで、地方の仕事が増え、そのジャンルもさまざま。おかげで、仕事の幅が広がりました。移住を検討する上で、必ず仕事への心配が出てくると思いますが、行動したらしたでそこから広がるものがあり、会社員の方でも、そこで働いたらその地になじむはず。まずは、思い切る気持ちを持つことが大切かなと思います」。

移住先としての岡山県はアリ?ナシ?

今回のイベントは、とても刺激的であり、かなり魅力的でした。全く知らなかった世界を知ることができたという満足感に加えて、移住や二拠点生活に対し、もっと自由な発想を持っていいのかも……? という新発見もありました。というのも、東京の企業に勤めている方が実践している2拠点生活の方法を聞き、「そんな選択肢があったのか!」と衝撃を受けたからです。

その方の2拠点生活とは、2か月に1回くらいの割合で、数日間の岡山暮らしを楽しむというもの。かなり贅沢な生活のような気がしますが、なぜそんなことができるのかというと、家賃が3万円と、都内ではありえない金額で物件を借りれるからなのだとか。リモートで仕事ができるということが前提にはなりますが、その一例を聞いたことで、2拠点生活へのハードルが一気に下がったのでした。

イベントに参加して一番に思ったことは、「何はともあれ、まずは一度ゆっくり岡山を旅したい」ということ。つまりは、岡山県への移住は、非常に魅力を感じました。結果として、岡山県への移住は「アリ!」の判定をさせていただきます!

[Photos by KOUME]

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