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「イタリアを超える感動!」イタリア人マッシ、金沢食材とカリフォルニアワインのコラボで世界旅行気分!?

  • 2024.12.27

日々の生活を彩るワインを自分らしく楽しむフィガロワインクラブ。 イタリア人ライター/エッセイストのマッシが、イタリア人とワインや食事の切っても切り離せない関係性について教えてくれる連載「マッシのアモーレ♡イタリアワイン」。今回は番外編、金沢市在住のマッシが感動した北陸食材とカリフォルニアワインのコラボレーションを紹介!

石川県金沢市に移住して10年になろうかというイタリア人の僕は、石川県の料理や食材、伝統工芸、食事の時間の大切さに日々心を奪われている。どう見てもイタリアを超える魅力がたくさんだ。しかも、北陸の料理は割とアレンジしやすくて、どこの国とコラボしても「北陸は大歓迎だよ!」という気持ちが料理から伝わってくる。ある日僕は、北陸文化を大切にしているハイアット セントリック 金沢にお邪魔して、料理とワインから生まれる空間を堪能してきた。そして、食事の時間とは「文化のシャッターを開けられるチャンスなのだ」と改めて感じたのだ。

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五感で楽しめる新鮮さ、エビと花の組み合わせ。

今回は、石川県民になりかけのイタリア人の僕と、パーク ハイアット 東京「ニューヨーク グリル&バー」のイギリス出身料理長のベン・ウィーラーさん、そしてハイアット セントリック 金沢「ファイブ グリル&ラウンジ」の料理長である岡村英司さんが手がけたコラボ料理が恋に落ちる物語をご紹介しよう。この物語は恋だけに留まらず、能登牛や北陸の魚介、加賀野菜をはじめとする地元の上質な食材を活かした料理を楽しむうちに、カリフォルニア産ワインが加わって世界へと旅に出ていた僕の冒険記にもなる。不思議なことに、国籍に関係なく料理を味わうことで、北陸の温かさに触れ、心が打たれる瞬間を感じることができたのだ。

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北陸スタイルのアペリティーヴォも絶品!

この物語は、ハイアット セントリック 金沢3階にある「ファイブ グリル&ラウンジ」が舞台になる。ディナーに入る前に、イタリア人に欠かせないアペリティーヴォからスタートして、天井が高く薄暗い空間にはワインとおつまみが並べられている。その光景を見るだけで、初恋のようにドキドキし始めた。高級感というより特別感のある空間でエビやカニ、キャビアの優しくて心に残る深い味。スパークリングのグラスを持って会話しながら何を食べようかなと考えていた瞬間、自分の後ろにある高さ数メートルのドアが開いた。真っ白なテーブルマットとピカピカのグラス、壁に飾ってあるカラフルな油絵が一瞬で目に入った。そして、息が止まった。

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ドアの向こうは、まるで別の世界に飛ばされたかのよう。

ワクワク感と緊張感が混ざった気持ちでソーッと入って、自分の席にたどり着いた。美しく磨かれたシルバーと、金色に輝くテーブルランプに高揚感が止まらない。数分前まで静かだった会場が少しずつ賑やかになるうちに、料理とワインが運ばれてくる。ここから、北陸の本気とイギリス・日本人シェフのアモーレがお披露目される、食事タイムに入るのだ。

「天候まで伝わる」料理と、「イタリアでは絶対にあり得ない」ワインボトルとは?

日本のシーザーサラダに慣れているはずだと思っていたけど、今回のシーザーサラダはひと味違った。分厚い能登ポークベーコンとパルメザンがマッチしている上に、ベビーロメインのシャキシャキ感がアクセントになっていて、サラダがここまでおいしくなることに驚いた。能登ポークの味が口に少しずつ広がる間に、北陸産紅ズワイガニのクラブケーキが出た。

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北陸産紅ズワイガニは魔法のようなおいしさ。

北陸の魅力だけではなく、その天候もなぜか口で伝わった。北陸といえば曇りと雨の日が多いとよく耳にするけど、悪天候を乗り越えた強い食材が手に入るからこそ、このおいしさが生まれる。北陸産のカニは優しい味から始まって途中からほっこりさせられる。それから、カニの存在が変わっていって、まるで神様からの贈り物のように感じられたのだ。

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素材を厳選した、「北陸にしかない」シーザーサラダ。

おいしい料理に囲まれて幸福度が上がっているところに、ORIN SWIFTのカリフォルニア産シャルドネワイン「マネキン」が運ばれてきて、身体が止まった。その理由はラベルだった。ワインボトルにはラベルに複数のマネキンが描かれていたのだ!

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「白ワインとマネキン」のコンビは人生初!

なぜ僕がワインボトルに驚いたのかというと、イタリアでは絶対に見ないデザインだったからだ。イタリアではボトルのデザインは必ずといっていいほどワイナリーに関係あるものが多い。たとえば、ワイナリーがある地域の景色や生産者の家族に繋がる絵、イタリアの歴史的な絵画、文字だけの場合は家紋などが一般的だ。だから、このような一見ワインとは関係ないようなデザイン性あふれるワインボトルは見たことがなかった。

「マネキン」の由来は、ニッキー・ミナージュの「Roman's Revenge」という曲の歌詞、「you at a stand, still, mannequin」というラップのフレーズから構想されたそう。ファッションの流行によって見た目を変える着せ替え人形のマネキンのように、樽熟成やブレンドによって味わいを大きく変えるシャルドネから生まれたこのワインは、「毎年同じ味わいを造りたくない」という生産者の思いをマネキンに重ねたのだそうだ。このような自由な発想はイタリア人になくて、「さすがアメリカだなぁ」と新しい視点で楽しめた。

目を閉じるだけで世界各地に行ける、食という楽しみ。

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クラムチャウダーの味わい深さは、心が穏やかになる。

ワインに夢中になっていたら、いつの間にかニューイングランドクラムチャウダーが自分の前にあった。ペアリングはカリフォルニア産ピノ・ノワール「スランダー」。野イチゴ、ザクロ、チェリーの香りが広がって白胡椒、土のニュアンスが続く。赤ワインと魚介類のペアリングというイメージはなかったけど、クラムチャウダーとなぜかいいバランスが取れている。イギリス人と日本人シェフが作ったスープとカリフォルニア産のワインの組み合わせに、イタリア人が喜んでいるなんて。食とは本当に奥が深い。

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英国人シェフが持ってきた能登牛A5プレミアムサーロインは、より特別感がある。

食べて飲んで、北陸と海外の旅を同時に楽しんでいるところで、シェフが能登牛A5プレミアムサーロインのグリルを持って会場に現れた。お客さまの前で説明してカット。見ていてその柔らかさが伝わってくるほど、するする包丁を捌いていく。ガーリックマッシュポテト、能登115椎茸、ブロッコリーニはアートのように付け合わせられていた。イギリス人シェフが能登の食材をここまでおいしく調理するというのは、食材だけではなく生産地にまでリスペクトがあるのだろう。

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牛肉と野菜の組み合わせがこんなに爽やかになるのは、北陸だけかもしれない。

味覚で能登の旅の最中、またおもしろいカリフォルニア産のワインに出会った。ナパ・カウンティで生まれたそのカベルネ・ソーヴィニヨンは「パレルモ」。そのラベルと名前にまた驚いた。その由来はシチリア島にある都市、「パレルモ」のことだったのだ!

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「パレルモ」は、「シチリアを思い出せる」不思議なカリフォルニアワイン。

ここには有名なカタコンベ(共同墓地)があって、たくさんのミイラが眠っている。生産者がミイラを見た時に感じた感情と、カベルネ・ソーヴィニヨンに対して抱いている畏怖や敬意、威厳を繋げてこのデザインにしたのだそう。柔らかい能登牛に、鮮やかな酸味とカシスキャンディーの味わいが広がるから、お肉に素晴らしいアクセントが出る。ワインのデザインを見ながらペアリングを楽しむこの時間は、目を閉じるだけで世界各地に行けてロマンを感じる。

テーブルから始まる、北陸の旅を楽しんで。

食べて飲んで、ハイアットセントリック金沢の空間とひとつになって料理で国際交流もできて、これ以上に何もないと思った僕に、ラストの驚きが現れた。ニューヨークチーズケーキだ!

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デザートとワインのコンビに、国境はない!

見るだけで濃厚さが十分に伝わってきたけど、ひと口目からおいしくてカリフォルニア産「8イヤーズ・イン・ザ・デザート」と一緒にすると、完全に新しいデザートになる。グラスに注がれたワインからは甘さや酸味が香ってきて、チーズケーキの濃厚さをフレッシュにしてくれるのだ。食後の満腹感にちょうど良く染みわたってくれる。まさしく、デザートは別腹だ!ここまで考え抜かれたぺアリングはなかなかなくて、心地よく最後までコースを楽しめた。

このような旅がテーブルに座るだけで始まるなんてなかなかないから、北陸・石川の旅を考えている人にはぜひおすすめしたい。ひとつの場所で北陸のアモーレを楽しめるのはもちろん、日本の食文化も深く考える時間になる。ハイアットセントリック金沢は開業5周年に向けて、1月から北陸に恋に落ちる新メニューが始まるよう。魅力を放つ「ファイブ グリル&ラウンジ」のレベルアップを楽しみにして、ぜひ北陸の冒険を楽しんでもらえばうれしい。

ハイアット セントリック 金沢

石川県金沢市広岡1-5-2

ファイブ グリル&ラウンジ

tel: 076-256-1559(直通)

https://www.hyatt.com/hyatt-centric/ja-JP/kmqct-hyatt-centric-kanazawa/dining/five-grill-lounge

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