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雪景色の部屋が蘇る。年上のホストシスターが教えてくれた甘い香り

  • 2024.12.10

私は大学2年生の時に半年間留学をした。
これが人生で初めての留学ではなかったので、初回の留学に比べれば緊張は少なかった。
しかし、今までと違うのはホストシスターが自分より10歳年上だったということだ。
これまでは同世代か7歳下というパターンだったので、友達か自分の弟に接するようにすればうまく関係性が築けた。
逆に年上となると、私に兄や姉はいないためどんな感じになるのか想像ができなかった。
ただ仲良くなれますようにとだけ祈っていた。

◎ ◎

いざホームステイが始まり、ホストファミリーとの暮らしが始まった。
私の心配をよそに、ちょうどホストシスターも大学に行って学び直しをしているところだったので、生活リズムが合っていた私たちはいろんなことを話した。
大学のパーティーの前には、ネイルを施してくれたし、ドレスを買うならあそこがいいよといったガールズトークを楽しんだ。パーティー当日は髪の毛のセットを手伝ってくれ、ドレスアップした私の写真を撮ってくれた。

ある日ホストシスターがおすすめしたい香水があると言って、私に手持ちのものをふりかけてくれた。それはフランスの有名ブランドの香水だった。フローラルベースのとても甘い香りだが、甘いだけじゃなく大人の女性を彷彿とさせるような色気が垣間見えた。
ホストシスターは香水の名前の意味も香水ビンのコンセプトも教えてくれた。
バスに乗っていたときにどこの香水か聞かれたこともあるそうだ。

香水は高い。それもブランドものだ。
若干20歳の私には手が出せず、残念だが留学先では買わずに帰国した。
甘い香りの香水は湿気ている日本では使いにくい。日本で購入した人の口コミを読んでみると冬に使っていると書いてあった。

◎ ◎

それから数年後、日本のブランドの香水で少し前に話題になった香水がある。
どこの香水か男女問わずよく聞かれるというタレコミがあったため、とても気になった。
実際に店頭で匂ってみると、ピンクやフリルが似合うような可愛い子が使う香水だなという印象を抱いた。いい匂いだが、残念ながら私のイメージとは違うなと思って別のラインナップのものを試してみたところ、急にホームステイ先で暖かい室内にいる状況が思い出された。
外は雪景色なのに部屋の中は暖かく、電飾でいろどられたクリスマスツリーとクリスマスの飾り付けがしてあるあの家の景色が急に蘇った。

ホストシスターがおすすめしてくれたものと香りの成分は完全に一致はしないものの、エッセンスはよく似ている。私は嬉しくなってそのままその香水を購入した。
ホストシスターのおすすめのものと同じく冬用の香水にしている。つけるたびに留学先でがんばっていた自分の姿も思い出され、背筋が伸びる思いだ。
外国の土地で奮闘していた当時の自分に恥じないようにしたい。

私の年齢も当時のホストシスターに近くなって、この大人っぽい香水が似合うようになったのではないかなと密かに期待している。

■高山葵衣のプロフィール
在宅勤務メインのアラサーOL。 お家時間と心を充実させるべく、ていねいな暮らしを目指している。 好きなものは北欧雑貨とからあげ。

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