東京都小平市美園町に位置する、西武鉄道の駅「小平駅」。西武新宿線と西武拝島線の2路線が乗り入れる準急、急行の停車駅で、急行利用で西武新宿駅までは約27分。さらに、東京都昭島市にある「拝島駅」から「西武新宿駅」までを結ぶ、全席指定の特急列車「拝島ライナー」が利用できます。
2018年の登場時は、夕方の帰宅時間帯の西武新宿駅から拝島駅へ向かう「下り」列車のみの運行だった拝島ライナーですが、2023年春から平日朝の「上り」運行を開始! 小平駅から高田馬場駅まではノンストップの20分前後でアクセスできる上、確実に座っていける特急は通勤ラッシュの強い味方です。
小平駅の家賃相場は?
電車だけでなく、南口駅前のロータリーからは「武蔵小金井駅」「国分寺駅」行きの西武バスや「花小金井駅」行きの都営バスなどが利用でき、路線バスが充実しています。
小平駅の家賃相場は、駅徒歩10分以内、築年数10年以内だと、ワンルームで7万円、1LDK9.1万円、2LDK10.9万円(SUUMO、2024年12月3日閲覧)です。
ブルーベリー栽培発祥の地として知られる小平。市内産ブルーベリーの直売所や摘み取り農園も点在しています。
駅前には、武蔵野美術大学の学生がデザインしたシンボル「ぶるべー」とプロサッカーチーム「FC東京」のチームマスコット「東京ドロンパ」が手を取り合うモニュメントが。こちらは、「FC東京」創設20周年を記念するだけでなく、小平市が初めて行ったクラウドファンディングにより制作されたという、小平にとって意味深い一角です。
小平駅「南口」には日本一のものがある!
駅前のスーパーマーケット「西友小平店」は年中無休、さらに1階、2階の食品フロアは朝8時から深夜1時まで営業している頼もしい存在です。3階は医薬品や日用品を取り扱い、4階は100円ショップの「Seria」が入っています。
「西友小平店」の隣には、50年以上の歴史を持つ、昭和レトロな商店会「小平駅前ショッピングセンター」があります。アーケード型の商店街には、中華料理の「大阪王将」、100種類のアレンジコーヒーが味わえる喫茶店「珈琲ぽえむ」など、1階と2階に18店舗が集結しています。
音楽フェスティバルや季節ごとのイベントなどもたびたび開催され、地元民に愛されている熱いスポットです。
南口駅前から真っすぐ伸びている「あかしあ通り」沿いの歩道はとにかく幅が広い! 右手には、歩道にもコーヒーのいい香りが漂ってくる喫茶店「珈琲の香」など7店舗が並ぶ「ルネセブン街商店会」があります。
巨大な建物は、小平市立の多目的ホール「ルネこだいら」(小平市民文化会館)。客席総数1229席の大ホールでのクラシックコンサートをはじめ、クラシック・バレエや寄席などさまざまなイベントが開催されています。
「ルネこだいら」前には、ひと際目を引く「日本一丸ポスト」があります。画像だと分かりづらいかもしれないのですが、このポスト、高さが約2.8mもある巨大ポストなのです。
実際に郵便物を投函(とうかん)でき、投函口は高さ1.4mと2.1mの2カ所という親切な設計。どうしても高い方に入れたくなりますが……。
小平市は、実際に使用できる丸ポストの数が、都内の自治体で最多の32本あるのだそう。この「日本一丸ポスト」は“丸いポストのまち こだいら”のシンボルとして大切にされています。
もう1カ所、朱色が際立つスポットが。南口ロータリー前にある「稲荷神社(小平駅前稲荷)」です。夏には、屋台が出たりパフォーマンスステージが行われたりと、多くの人でにぎわう「夜宮」が開催されたそうです。
メディアからも注目される人気だんご店、コーヒーの名店も
南口を背に右方向へ進むと、「小平駅前郵便局」のほか、「名代 富士そば」「サンメリー」「モスバーガー」など飲食店が目立ちます。
駅前のビル2階にある「永田珈琲」は、店内に世界各国のコーヒーカップがずらりと並び、自家焙煎のコーヒーが味わえる老舗の喫茶店。コーヒーの香りが漂うレトロな雰囲気の店内は、時間の流れもスローに感じられます。
駅から徒歩3分、「ルネこだいら」の裏手にある「だんごの美好 小平店」は、各メディアでも紹介されている人気店。1本50円の「みたらしだんご」をはじめ、店内製造の和菓子、巻きずし、いなり、おにぎりなどを朝6時から購入できます。
「だんごの美好」の並びには、朝10時(日曜は9時)から夜10時まで営業の地域密着型スーパーマーケット「スーパーあまいけ」があります。この先には「小平高校通り」という道があるように、「都立小平高等学校」があり、落ち着いた街並みが広がっています。
小平は、いつでも歩行者天国?
「モスバーガー」の隣に不思議な道路を見つけました。正式名称は「東京都道253号保谷狭山自然公園自転車道線」だそうで(長い!)、西東京市保谷から東村山市の多摩湖までの約22kmを結ぶ自転車歩行者専用道路です。
十分な道幅があるのに、車両も入らず、緑も多い。なんとも幸せな散歩道を見つけてしまったようです。
南口を背にして左方向にも、この自転車歩行者専用道路が伸びています。約2.6キロメートル先に西武新宿線「花小金井駅」があります。
緑や花を整備した遊歩道「グリーンロード」を歩いていると現れる「カフェ ラグラス」。自家製ケーキや地元小平産の野菜を使用した週替わりランチメニューもあります。
「カフェ ラグラス」の隣にあるのが「小平市立 あじさい公園」。あじさいが見ごろの6月には約1500株ものあじさいが咲き誇り、夜にはライトアップもされて幻想的な光景が見られるそうです。
敷地が広く、木陰もある公園では、散歩途中で立ち寄った保育園の子どもたちが元気に遊んでいました。
北口は、ノスタルジックな別世界!
駅に戻ります。改札前には立ち食いそば「越後そば」とカステラが有名な菓子店「文明堂」があります。2店舗しかない駅ナカ店舗のうちの1店舗がコンビニや総菜屋ならともかく、「文明堂」って少し違和感を感じませんか……?
この「文明堂」の店舗は、都立「小平霊園」の最寄り駅である小平駅にずいぶん長い間あるようで、お墓参りのお供えやお土産物を調達できるお店として重宝されているのかもしれません。
北口を出ます。駅前には大きな商業施設はなく、落ち着いた雰囲気が広がります。
駅を背に左手に進むとすぐに、「小平霊園」の正門まで続くケヤキ並木の入口があります。
ちょうど落ち葉が舞う季節。静けさの中、竹ほうきで落ち葉を掃く音だけが響きます。日常からかけ離れたノスタルジックな光景は、懐かしい映画のワンシーンに入り込んだようです。
線路と反対側の道には、お供え用の花や休憩所もある石材店などが軒を連ねます。
雄大なケヤキと広い歩道がすがすがしい参道。四季折々の光景を見に来たくなる魅力にあふれています。どこか遠い観光地に来たみたいです。
駅北口から徒歩約5分の「小平霊園」は、約65haの広大な敷地の約半分を墓地が占め、雑木林や芝生地など豊かな自然に恵まれています。
【結論】豊かな自然と非日常的な光景=癒される街
車が通らない自転車と歩行者の専用道路、緑や花で彩られた遊歩道など、子どもから高齢者まで幅広い世代の人たちが快適に歩ける道が至る所に張り巡らされている小平駅周辺。安心感からか、思い思いにゆったりと歩を進める地域の人たちの様子が印象的でした。
新宿から約30分の地とは思えない「小平霊園」前の参道は、ひと足踏み入れれば日常をすっかり忘れさせてくれるような癒しの空間。オンとオフを瞬時に切り替えてくれるような“小平時間”を感じる街でした。
この記事の筆者:福島 ゆき プロフィール
アニメや漫画のレビュー、エンタメトピックスなどを中心に、オールジャンルで執筆中のライター。時々、店舗取材などのリポート記事も担当。All AboutおよびAll About ニュースでのライター歴は5年。
文:福島 ゆき