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名古屋のベテランGKが7年間ともに戦った戦友への言葉…後輩たちは「いいものを持っている」と太鼓判を押す

  • 2024.12.9
名古屋のベテランGKが7年間ともに戦った戦友への言葉…後輩たちは「いいものを持っている」と太鼓判を押す
名古屋のベテランGKが7年間ともに戦った戦友への言葉…後輩たちは「いいものを持っている」と太鼓判を押す

Text by ライター

【J1第38節名古屋グランパス2-0横浜F・マリノス、8日、神奈川・日産スタジアム】

名古屋は2-0で横浜FMに勝利した。JリーグYBCルヴァンカップのプライムラウンド準決勝以来の対決となった両者だったが、前半24分に名古屋MF和泉竜司が先制点を記録すると、後半26分にはFW山岸祐也が追加点を挙げた。試合はそのまま終了し、名古屋がリーグ戦6試合ぶりの白星を飾り、J1を11位(勝点50)で終えた。

「ミッチは素晴らしいキーパーだった」

無失点勝利に貢献した名古屋GK武田洋平は、今季限りでクラブを退団するGKミッチェル・ランゲラックの想いを背負ってピッチに立った。

「7年も一緒にやってきたミッチ(ランゲラック)をたくましいと思っていますし、(ランゲラックは)常に高いパフォーマンスを出し続けていた。きょうみたいに、試合に出ることで感じますが、こんなに難しいことを彼はよくやり続けていたなって…。本当にすごいですし、彼の人間性もあってのことだと思います。『ミッチは素晴らしいキーパーだったな』というのを、改めて感じました」

名古屋のベテランGKが7年間ともに戦った戦友への言葉…後輩たちは「いいものを持っている」と太鼓判を押す
名古屋のベテランGKが7年間ともに戦った戦友への言葉…後輩たちは「いいものを持っている」と太鼓判を押す

今季のリーグ戦出場が4月13日に行われたJ1第8節ジュビロ磐田戦(1○0)までさかのぼる背番号16は、試合の2日前に長谷川健太監督から先発を任された。横浜FM戦に向けた練習のウォーミングアップ中に、腰を痛めたというランゲラック。名古屋のゴールマウスをともに7年間守り続けた守護神のすごさを誰よりも近くで見てきた武田にとって、この日の欠場は寝耳に水だった。

「2日前の練習が終わってから、ミッチが無理かもしれないと聞きました。『まじか』となりましたね」

最終節のゴールマウスに立った37歳のベテランは、「やれることをやる」と平常心で試合に臨んだ。

試合は立ち上がりからこう着状態が続いたが、和泉、山岸がゴールを挙げるなど、攻撃陣が躍動。2試合連続でネットを揺らせなかったアタッカーたちは守護神を最高の形で送り出そうと意地を見せた。

第2GKとして、日々の練習から準備を欠かさずにいた武田は、リードしてからも気を緩めずに、味方に向かって声を出し続け、チームを鼓舞した。

「前節(J1サガン鳥栖戦0●3)は、内容もあまり良くなくて、負けてしまった。きょうは(試合の)入りから集中していましたし、みんなが頑張ってくれました」

「ピサノと大地はいいものを持っている」

強固なブロックを敷いて、ホームチームの攻撃をシャットアウトした名古屋は、DF陣を中心に2季連続J1得点王の横浜FM・FWアンデルソン・ロペスを徹底的に抑え込んだ。試合終盤にロペスが得点王の意地を見せてボレーシュートを放ったが、武田が迷うことなく右手を伸ばし、指先でシュートを弾く渾身の好セーブを披露。試合はそのまま2-0で終了し、Jリーグ杯王者は、来季へ弾みをつける白星で2024シーズンを終えた。

クリーンシートでの勝利に貢献したクラブ在籍9年目の最古参は「いつ(チャンスが)きても、『できるな』と再確認できました」と自信を深めた。

2016年に名古屋へ加入した武田。元日本代表GK楢崎正剛(せいごう、現名古屋グランパスGKアシスタントコーチ)ら、偉大な守護神を輩出してきたクラブで経験を積んだ男は、クラブの未来に目を向けた。

この日ベンチ入りを果たした高卒ルーキーGKピサノアレックス幸冬堀尾(こうとほりお)や、ともにトレーニングを積んだGK杉本大地について「ピサノと大地はいいものを持っている。ピサノはもっと経験を積んで、そのうえで来季はみんなで競い合えるように。しっかりと高め合いながら、(お互いに)レベルを上げていければいいと思います」とGKチームで切磋琢磨していく。

ランゲラックから託された「頑張ってくれ」という言葉を胸に、ゴールを死守した武田。背番号1の陰に隠れ、なかなか出場機会に恵まれなかった7年間だったが、互いに競い合った戦友との関係性は特別だ。

名古屋のベテランGKが7年間ともに戦った戦友への言葉…後輩たちは「いいものを持っている」と太鼓判を押す
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「キーパーというポジションは、そんなもんなんで。いろいろな考え方がキーパーの中でもあると思いますが、僕は(ランゲラックを)近くで見てきて、いい勉強になったと思っています。(今季最終戦に)勝利できて良かったです」

戦友をクリーンシートという最高の結果で送り出した。武田は名門クラブのGKとして、後輩たちへの想いを語りつつも、まだまだ最前線で闘う覚悟だ。来季に向けて37歳は「身体づくりをちゃんとして、自分を見つめ直して、ケガなくやっていきたい」と意気込んだ。

(取材・文 浅野凜太郎)

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