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運動中に「音楽(BGM)」を流すと、どんな効果がある?

  • 2024.12.9

スポーツ観戦をしていると、試合中にさまざまなBGMを耳にします。試合前の入場の音楽、打席やピッチャー登板の際の登場曲、試合中の“チャント”と呼ばれる応援歌など。

これらのBGM(Back Ground Music/バックグラウンドミュージック)は、演出のためだけにあるわけではありません。選手たちにも大きな影響を与えているのです。

今回は、BGMがスポーツに与えるメリットについて解説します。

スポーツ中に音楽を聴くメリット

スポーツ中に音楽を聴くと、どのような効果を得ることができるのでしょうか。

集中力が高まる

プロアスリートが試合前、好きな音楽を聴きながらウォーミングアップしているのをよく目にします。これは、集中力を高めるために行っているルーティーンのひとつです。

試合前には、いろいろな雑音が耳に入ってきます。他の選手の調子であったり、自分への期待の声・批判の声だったり。

周囲の音が気になり、自分のカラダに集中できない環境であることも少なくありません。音楽を聴いて周囲の雑音をシャットアウトすることは、集中力を高め、よい状態で試合に臨むために効果的なのです。

BGMで集中力を高める方法は、試合前だけでなく筋トレ中にも活用することができます。トレーニング中に聞こえるスタジオレッスンの音楽や館内放送、マシンの音や会員同士の雑談などが気になってしまうと、トレーニングへの集中力が低下してしまうことがあるでしょう。

このとき、BGMで周囲の雑音をシャットアウトすることは、トレーニングの質を高めることに繋がります。

モチベーションの向上

BGMはドーパミンの分泌を促し、モチベーション向上にも役立ちます。音楽を聞くことでやる気が高まったという経験がある人も多いのではないでしょうか。

多くの研究で、試合前にBGMを活用することでやる気が高まるアスリートが多いという報告が出ています。

競技練習やトレーニングの質は、モチベーションによって大きく左右されます。モチベーションが高い状態で意欲的に取り組めば、トレーニング効果も高くなるでしょう。

また、気分がのらない時はいいトレーニングを行うことができないばかりか、集中力の欠如からケガをしてしまうこともあるかもしれません。

BGMを活用し気分を高めることは、試合でよいパフォーマンスを発揮するだけでなく、日頃からの練習・トレーニングの効果を高めることもできるのです。

リラックス効果を高め、ストレスや苦痛を軽減させる

音楽にはリラックス効果を高めたり、痛みやツラさを和らげたりする効果もあります。

たとえば「1/fゆらぎ」。波の音、滝の音、風の音、鳥のさえずりなど、規則正しい音とランダムで規則性がない音の中間で、音響振動数のゆらぎが生体リズムのゆらぎと同じとされる音も「1/fゆらぎ」の一部です。

ヒーリング音楽によく使われている音はこの1/fゆらぎであることが多く、心身ともにリラックスさせる効果が高いとされています。

また、自分の好きな曲を聴いている時は、楽しさや気分の向上などを司る脳の神経が活性化され、苦痛を感じにくくなるのです。

特に有酸素運動をはじめ単調で飽きがきやすいトレーニング中にBGMを活用すると、実施時間を短く感じさせ、ストレスを減らすことに繋がります。

気持ちを切り替えるタイミングにも

練習中は、失敗をしてしまうことで気持ちが落ちてしまうこともあるでしょう。そんな時にも、音楽の力を借りましょう。

ミスしたことをいつまでも気にしていては、その後のプレーに大きく影響を与えます。BGMを活用し、この曲を1曲聞いたら気持ちを切り替える! というタイミングとして活用してみましょう。

気持ちの切り替えがしやすいうえ、モチベーションの向上にも役立ち一石二鳥です。

また、トレーニング中にも曲が変わるタイミングをひとつの区切りとして、「この曲の最中は集中して追い込む」「この曲が終わるまでは少し休憩する」など、メリハリを持ったトレーニングにも活用できます。

トレーニング中に話しかけられるのを防ぐ

スポーツジムなどでは、よく会う会員と会話することもあるでしょう。トレーニング中でなければよいのですが、トレーニング中に話しかけられなかなか話が終わらない……ということもあるはずです。

そういったときの雑談は集中力やモチベーションを低下させるだけでなく、効率を悪くさせ、時間を長引かせる原因になります。

そんな時でも、音楽を聴いていれば話しかけられるのを防げるため、無駄な雑談を避けることが可能です。「トレーニング中につい話し込んでしまう」という人は、BGMを活用してみましょう。

次:運動中の音楽、デメリットは?

BGMを活用する際に気をつけること

BGMを活用する場合にも、注意するポイントがあります。BGMとして活用する曲は、目的や聞くタイミングによって選ばなくてはいけません。

意識が集中してしまうような曲は、練習・試合前のモチベーション向上には効果的かもしれませんが、トレーニング中には向かない選曲でしょう。聞き入ってしまい、集中力が低下してしまう可能性があるからです。

また、曲のテンポにも気をつけましょう。トレーニングのリズムと曲のテンポがあっていればいいのですが、曲調が変わってテンポも変化すると、動きにくさを感じてしまうことも。

とくに有酸素運動をしている時は、テンポの変化によって走りにくさを感じることがあるかもしれません。

音楽は集中力やモチベーションをうまく高めるツール

BGMをうまく活用することで、スポーツ中のパフォーマンスを高めることもできます。「競技前などに緊張してしまい、うまく試合に入り込めない」と感じる人は、音楽を活用してみてください。

《参考論文》
https://www.waseda.jp/tokorozawa/kg/doc/20_ronbun/2014/1K11C503.pdf
http://www.waseda.jp/sports/supoka/research/sotsuron2009/1K06B166.pdf

著者プロフィール

和田拓巳(わだ・たくみ)

プロスポーツトレーナー歴16年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガの知識も豊富でリハビリ指導も行っている。 医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師を務めること多数。テレビや雑誌においても出演・トレーニング監修を行う。運営協力メディア「#トレラブ(https://tr-lv.com/)」などで多くの執筆・監修を行い、健康・フィットネスに関する情報を発信している。日本トレーニング指導者協会 JATI-ATI
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<Text:和田拓巳>

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