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苦悩を生んできた名字。時を経て「またか」「やれやれ」と愛着湧く

  • 2024.12.9

今から20年以上昔、授かり婚で結婚した際、名字が夫側の名字になった。

当時世間で騒がれた事件の1人と同じ読み方で漢字1文字違いである。当然「時の人」と同じ名字なので親は心配し無関係であることを何度も説明した。

結婚後、あだ名が一気に変わった。これまた「時の人」と同じで呼ばれるたびに「えっ?」と無関係な人にまで注目された。結婚して普通なら新しい名字に喜ぶはずが暗い気持ちで落ち込んだ。

なんで日本は夫婦別姓にならない?なんで結婚すると男性側の名字に変わるのが当然なんだろう?新しい門出なんだから夫婦で考えて新しい名字を作ってもいいのではないか?と思ったりもした。

◎ ◎

日に日に大きくなるお腹に名前は何にするかを考える。

初めてのわが子へのプレゼントとなる名前、名字が漢字だけでも4文字だから短く2文字にしないと何かと大変になるという理由で3文字の名前は諦めた。当時出始めたキラキラネームや当て字は名字だけでも読みにくいので誰でもわかる簡素な名前にすることにした。

無事産まれた時にとても嬉しく名前で何度も呼びかけた。

子供が幼稚園に入園した。入園グッズに「なまえ」を書くが平仮名なので7文字。小さな枠になまえを納めるのが大変であった。物によっては字のバランスが悪く名字だけ字が大きく名前が小さくなったり、2行で書く羽目になったものもある。

わが子はこれからの人生、自分の名前を書くときにあまりの長さで何かと苦労するのでは?と心配になったものだ。可愛い入園グッズも名前のところだけ私の下手な字でぎゅうぎゅうに字が詰まってかわいくなくがっかりした。しかし子供は真新しいグッズを喜んでくれた。

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新生活では何と同じクラスに同じ名前の子が他にも2人いて、わが子は「時の人」と同じあだ名で呼ばれることになった。まさか親だけでなく子供までとは、トホホである。一家3人同じあだ名で呼ばれる人生とは思いもしなかった。
ほかの子は名前で「○○ちゃん」と呼ばれるのにわが子は「○○ちゃんのちゃんがない」と不満を持ち何度か泣いた。小さい事でも子供には重大なことなのだ。

しかし入園してすぐにつけられたあだ名は子供同士にすでに浸透し、諦めるしかないことだ。何とか子供をなだめた。「パパもママも同じあだ名だよ」と。

友人にこの出来事を話すと大笑いされた。正直ちょっと「ムっ」としたが所詮他人事なんだろう。私が逆の立場なら同じようにケタケタ笑ってるだろう。

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その後もこの名字で色々と悩まされ苦悩の日々があったが年月とともに「またか」と「やれやれ」な気持ちである。しかしこの名字のおかげで初対面でネタとなり、平凡な顔は忘れられるが名前を言えば「ああ、」と思い出してもらえることもある。

名字は人それぞれ色々ある。時代の変化でいつか夫婦別姓の時代が来たらその時はどうするか悩む。でも名字がもし変わってもこのあだ名を言えばわかってもらえそうな気がする。変わった名字ではあるが気が付くと愛着がいつの間にか出てきてた。

■勅使河原亜矢のプロフィール
50代のおばちゃんです

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