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プロスポーツであると同時にひとつの事業。7年目を迎える麻雀・Mリーグの監督が抱える「他の競技には無い」苦労とは #Mリーグ監督座談会こぼれ話

  • 2024.12.9

2018年にはじまり、この秋で7年目を迎える麻雀のナショナルリーグ「Mリーグ」。男女混成のチーム戦、選手達はスポーツのような華やかなユニフォーム姿で対局を行う、などこれまでの麻雀のイメージを大きく変えるようなフォーマットが人気を博し、年々その盛り上がりを大きくしている。 今回は2023-24シーズンでファイナルステージに進んだ、U-NEXT Pirates(U-NEXT)、赤坂ドリブンズ(博報堂)、KADOKAWAサクラナイツ(KADOKAWA)、EX風林火山(テレビ朝日)の4チームの「監督」達に話を伺った。 野球などのスポーツでは現役を退いた選手が監督をするのが一般的だが、Mリーグの監督は基本的には麻雀プロではなくオーナー企業に勤める「会社員」である。ビジネスパーソンでありながらプロ競技の監督という異色の「二足の草鞋」ならではの苦労を聞いてみた。※本稿は『Mリーグ2024-25公式ガイド』(監修:一般社団法人Mリーグ機構/KADOKAWA)より、同書未掲載のインタビュー内容を編集しています。

対策を講じることすら難しい麻雀というゲームのゲーム性

——みなさんはそれぞれの企業の社員として、業務の一環としてMリーグの監督をされています。これまでの仕事とは全く違う取り組みと言えると思いますが、どういったところで苦労されているのでしょうか。

越山(赤坂ドリブンズ):まずはチームが負けているときにどうやって雰囲気をよくするかというところは考えますね。

木下(U-NEXT Pirates):どうしても負けが続くと雰囲気が重たくなったりはしますからね。選手に少しでも気分良く打ってもらいたいというのは常にあります。

越山:例えばこれが会社の部署だと考えると、予算を達成できなさそうな苦しい状況でも、そこまで雰囲気が悪くなるということは無いと思うんですよ。もちろん部長が頭を悩ませることはあると思いますけど、チームがギスギスしたりというのは、私もこれまで30年会社員やってきましたがほとんど経験がありません。

森井(KADOKAWAサクラナイツ):会社だったら、じゃあここを改善しよう、といったように前向きに対策を取れますからね。

越山:そうなんですよね。会社の業績だったらどこを直せばいいのか考えれば良いし、プロ野球だったら「じゃあこのポジションの選手を補強しよう」みたいなこともできます。けれど麻雀はそれができない。

——麻雀は運の要素も強く、必ずしも選手が弱かったりミスをしたから負けているとは言えないゲーム性ですね。

越山:そうなんです。そうなると負けていて雰囲気は重たいけど、対策を講じることができない。そうなってしまうのが難しいところだと感じていますね。

木下:我々は麻雀プロでは無いので、麻雀の内容については選手の方がわかっているということもありますし、監督にできるのは強い選手を獲るということくらいですね。

越山:そうですね。でもそれもシーズン開始前にしかできないので、シーズン中は本当にできることが少ないです。

藤沢(EX風林火山):それが年単位で続くこともあるのが難しいですね。

社員兼監督だからこその悩み。Mリーグチームのお金事情は?

——Mリーグの監督は、イベントのプロデュースなど、試合の采配以外での仕事も多いように思いますが、そういった面で大変なことはありますか。

森井:サクラナイツはもともと僕が会社に「事業としてMリーグでチームを持ちましょう」とプレゼンをして生まれたチームなので、僕が所属するMリーグ運営室の事業の収支を良くしていかなければ、という苦労はあります。

藤沢:それはありますね。我々は2年連続4位で賞金を獲得できなかった(Mリーグは3位まで賞金が出る)んですが、そうすると麻雀のことを知らない上司は「チームが弱いんじゃないのか、どうなっているんだ!」となったりします(笑)

木下:ファイナルに進むだけでも大変なことなんですけどね(笑)

藤沢:そうなんですよ。Mリーグは現在は9チームで2年前までは8チーム。そこで上位4チームのファイナルに進むというのは、普通に考えたら50%程度なわけですよね。それを風林火山は過去6年で4回ファイナルに進んでいるので、決して弱いチームでは無いんです。という、資料を作って説明したりしました。

越山:私はMリーグに参戦することが決まって一番初めにそれを会社に説明しましたね。麻雀というゲームである以上、どれだけ強い選手を集めても毎年毎年優勝して賞金を獲得するというのは現実的ではありません、と。

藤沢:でも、ファイナルに進んだりして賞金が取れそう、となると会社の人は期待してくるんですよ。

木下:わかります(笑)

藤沢:賞金に左右されない収益構造を作らないといけないよね。グッズ販売であったりファンクラブであったり、あとはパブリックビューイングをするのもそう。

木下:チームの勝ち負けの責任と、社内での事業を任されているという責任、両方があるのが大変なところと言えるかもしれませんね。

森井:逆に言えば、会社員という立場でありながらプロ競技の監督という普通はできない経験をさせてもらっているので、もちろん楽しさもあります。

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