【野村康太】俳優に向いていないと悩んだことも。大先輩に芝居の楽しさを教えてもらった

俳優の道を志したきっかけは、『3年A組』の菅田将暉さん

——改めて野村さんが俳優を始めたきっかけを教えて下さい。

高校時代は寮に入りバスケ一筋の生活を送っていました。バスケはもう充分に頑張ったと思えたので、高校2年生の終わり頃、大学に行くのか、仕事をするのか進路を考え始めました。僕は小さい頃から映画やドラマを観るのが好きで、ずっと映像の世界に憧れがありましたし、菅田将暉さんが主演の『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』というドラマを観たときにすごく心に影響を受けたんです。僕も菅田将暉さんのように誰かに影響を与えられるような存在になりたいなと思い、俳優への道を進むことを決意しました。

——俳優の道がスタートし、2023年にはメンズノンノ専属モデルとなり、活躍の幅を広げていますね。

最初は俳優を目指してこの世界に入ったのですが、いろいろなスタイリングをしていただく機会が増え、洋服の魅力を改めて感じて。高校時代はスポーツばかりしていたので、おしゃれが楽しくてモデルの活動も始めました。

——デビューして2年たちましたが、どうでしたか。

あっという間で思っていたより大変でした。俳優はとにかく体力と精神力が必要な仕事なんだなと。セリフを覚えるのも大変ですし、時間をかけて同じシーンを何度も繰り返し撮影することにも最初はとまどいました。集中力も持たないし、セリフ覚えや演技で頭も使うし、寝る時間が少ない日も多いので、父（沢村一樹）がしていた仕事はこんなに大変だったんだなと。

じつは一度、辛すぎて俳優業を辞めようとしたんです。僕は俳優には向いていないと。両親に泣きながら辞めたいと伝えたら、話を聞いてくれて、もう少しだけ頑張ってみようと言ってくれました。次の出演作品も決まっていたので、ひとまずその作品をやってみてそれでもまた辞めたいと思ったら相談しよう、と一旦保留にしました。その作品というのが、松本まりかさん主演の『夫の家庭を壊すまで』。そこでお芝居の楽しさに目覚めることができたんです。

とくに、松本さんからはとてもいい影響を受けました。受け取るものもたくさんありましたし、お芝居の楽しさを教えてもらいました。正直、今までは芝居を楽しいと言いながらもどこか本心ではない部分もあったのですが、今は心の底からお芝居が楽しいなと思えるようになった。本当にあの作品に出会えてよかったなと思います。

自分の芝居に自信がなかったけれど、仕事は増える一方。『夫の家庭を壊すまで』にとても救われた

——そんな葛藤があったんですね。野村さんはどういう部分が俳優に向いていないと感じたのですか？

僕、すごく緊張しやすいタイプで、毎回お芝居をするときに動悸が止まらないぐらい緊張していたんです。正直、楽しめるなんて状況ではなかった。それに、セリフ覚えも悪くて、覚えたはずなのに緊張で頭が真っ白になってしまってセリフが飛んでしまったり……。もういろいろと向いてないのかなと思いました。

なのに、仕事はどんどん増えていくのでいっぱいいっぱいになっていました。もちろんありがたいことではあるのですが、自分のお芝居を見て、特別に上手いなと思うこともなかったのも大きいです。なかなか自分の芝居を好きになれなかったこともあって、辞めたいなと思いました。

——ですが、『夫の家庭を壊すまで』は演技も素晴らしく、ドラマ『パーフェクトプロポーズ』で金子隼也さんとダブル主演を務め視聴者からもスタッフからも実力が認められたと思います。

ありがたいことに周りのかたに引っ張っていただいたことも手伝って『夫の家庭を壊すまで』は自分でもよかったなと納得できるシーンがいくつかありました。本当に、この作品に助けられましたね。今は緊張もだいぶ減ってきましたし、俳優は楽しいなと感じています。

——今後はどういう作品に出たいですか？

制服が着られる間に学園ものに出たいです。それこそ菅田将暉さんの『3年A組〜』を観て俳優を始めたいと思ったので、学園もので主要キャラをやりたいです。できることならば、ぜひ等身大の役で！ それが一番やっていて楽しいですね。

——ラブコメディが好きだということなので、学園ラブコメディもよさそうですね。

やりたいです！ 僕、顔芸だってできますよ！ そこはもうアホなノリではしゃげるバスケ部のスポーツ魂で乗り切ります。

兄に会ったら、僕のファッションショーが始まります！

——身長を活かしたモデル活動も順調ですが、モデルは楽しいですか？

メンズノンノのモデルをやっていていろんな服を着ることができるし、こんなかっこいいブランドがあるんだ！ などいろいろなブランドを知れるのですごい楽しいです。僕はシンプルな服が好きなので、ほぼ地味な服しか持っていないんですけどね。でもサイズ感にはこだわってます。最近は短丈のオーバーサイズが好き。少し韓国ファッションを意識した着こなしが好きです。

——モデルとして憧れの方は？

兄（野村大貴）はモデルとしてすごいなと尊敬します。兄弟仲がいいのでたまに洋服を一緒に買いに行くんですが、兄に会ったときは僕のファッションショーが始まります。新しく買った洋服を着て、兄に見てもらい、「これどう？」みたいな。兄が着なくなった服をもらうことも多いですし、めちゃくちゃおしゃれでかっこいい兄なので、信頼しています。

——メンズノンノモデルになるときは相談などはしましたか？

相談しました。そしたら、「グランプリだけは獲るなよ」と（笑）。兄はメンズノンノでグランプリを獲っているので、そこは兄に譲れと。そして、結果、僕は準グランプリをいただいたんですが、めちゃくちゃ喜んでくれました。

——仲良しですね。憧れている俳優の方はいらっしゃいますか。

俳優を始めるきっかけにもなった菅田将暉さんと山﨑賢人さんです。山﨑さんはアクションもすごいですし、緊迫した場面での感情が溢れるような演技もすごい好き。バラエティに出たときに、かっこつけず自然体な雰囲気もいいですよね。こういう方になりたいなと思います。

——では、いつか山﨑さんのように、原作ありの作品に出ることもあるかもしれないですね。もし演じるとしたら何をやってみたいですか？

『僕のヒーローアカデミア』が好きなんですけど、実写化できますか！？ 『ハイキュー!!』も好きですが、バレーができるのかちょっと不安です。やっぱりバスケ漫画だったら『スラムダンク』。僕はスリーポイントシュートが得意なのでもしも演じられるのなら三井寿をやりたいです。

PROFILE

野村康太

2003年11月30日生まれ。2022年に俳優デビュー。特技はバスケットボール。184㎝の長身を持ち、2023年から「MEN’S NON-NO（メンズノンノ）」（集英社）の専属モデルとして活動。2024年には４本のドラマ、2本の映画に出演し、なかでも『夫の家庭を壊すまで』（テレビ東京）で俳優として圧倒的な表現力を見せ人気が急上昇。
公式Instagram @kouta_nomura_official

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撮影／前原哲也 ヘアメイク／SUGA NAKATA スタイリング／能城匠 取材・文／池城仁来