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『うちの弟どもがすみません』に「イタズラなKiss」、『ママレード・ボーイ』…ひとつ屋根の下でドキドキ!!同居生活×ラブコメの親和性

  • 2024.12.8

親の再婚をきっかけに、突然4人のイケメン弟たちと同居生活を始めることになった女子高生の奮闘を描く『うちの弟どもがすみません』(公開中)。原作は現在、「別冊マーガレット」で連載中のオザキアキラによる大ヒット同名コミック。個性の異なる4人の弟たちと繰り広げるハートウォーミングな日常ドラマと、姉×弟という立場のなかで生まれた予期せぬ恋のドキドキを一度に味わえる“ひとつ屋根の下”ラブコメディだ。

【写真を見る】個性豊かな弟たちとの同居生活を描く『うちの弟どもがすみません』

【写真を見る】個性豊かな弟たちとの同居生活を描く『うちの弟どもがすみません』 [c]2024「うちの弟どもがすみません」製作委員会 [c]オザキアキラ/集英社
【写真を見る】個性豊かな弟たちとの同居生活を描く『うちの弟どもがすみません』 [c]2024「うちの弟どもがすみません」製作委員会 [c]オザキアキラ/集英社

同じ家に暮らすことになった男女が、慣れない同居生活を通して、様々な出来事を共に経験しながらしだいに惹かれ合っていくという展開は、古くから根強い人気を誇る王道ラブストーリーの型の1つ。同居=ゼロ距離ならではの親密感、共同生活で起こりがちなハプニング、表向きの顔と無防備な素顔の両方を見ることができるギャップ萌えなど、同居ラブコメものには、とかく胸キュン要素がいっぱい詰まっている。本コラムでは、“同居生活”をキーワードにした、これまでの恋愛映画とその魅力を振り返っていきたい。

一途でまっすぐなヒロインが魅力「イタズラなKiss THE MOVIE」

フラれた相手とのまさかの同居生活を描く『イタズラなKiss THE MOVIE〜ハイスクール編〜』 『イタズラなKiss THE MOVIE~ハイスクール編~』4,180円(税込) 発売・販売元:ギャガ [c]「イタズラなKiss THE MOVIE」製作委員会 [c]多田かおる/ミナトプロ・エムズ
フラれた相手とのまさかの同居生活を描く『イタズラなKiss THE MOVIE〜ハイスクール編〜』 『イタズラなKiss THE MOVIE~ハイスクール編~』4,180円(税込) 発売・販売元:ギャガ [c]「イタズラなKiss THE MOVIE」製作委員会 [c]多田かおる/ミナトプロ・エムズ

1990~1999年まで「別冊マーガレット」で連載された、多田かおるの原作コミック「イタズラなKiss」が原作。2016年に『イタズラなKiss THE MOVIE〜ハイスクール編〜』として実写映画化され、2017年1月に『イタズラなKiss THE MOVIE2〜キャンパス編〜』、同年11月に『イタズラなKiss THE MOVIE 3 ~プロポーズ編~』が公開された。

高校3年生の琴子(美沙玲奈)は、2年間片想いしていたIQ200の天才、入江直樹(佐藤寛太)に告白するも撃沈。そのうえ追い討ちをかけるように、欠陥住宅だった自宅が倒壊してしまい、急遽父の親友の家に親子で身を寄せることに。しかし、その居候先の家の長男はフラれたばかりの相手、入江君だった…!ドジで明るい琴子と、頭脳明晰でスポーツ万能な入江君の凸凹コンビのやりとりが楽しいドタバタラブコメ。ドSな性格で、琴子を冷たくあしらっていた入江君が、毎日一緒に過ごすうちに少しずつ琴子を好きになっていく過程にキュン。琴子の恋を応援する最大の味方が、入江君のママというのも頼もしいポイントだ。

エキセントリックな家庭環境のなかで愛を育む『ママレード・ボーイ』

再婚した両親によって、共に暮らすことになった男女の恋模様を描く『ママレード・ボーイ』 『ママレード・ボーイ』デジタル配信中DVD 4,389円(税込) 発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント 販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント [c]吉住渉/集英社 [c]2018 映画「ママレード・ボーイ」製作委員会
再婚した両親によって、共に暮らすことになった男女の恋模様を描く『ママレード・ボーイ』 『ママレード・ボーイ』デジタル配信中DVD 4,389円(税込) 発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント 販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント [c]吉住渉/集英社 [c]2018 映画「ママレード・ボーイ」製作委員会

主人公の少年少女が同居する理由の定番といえば、親の再婚。そのなかでもとりわけ奇抜な設定だったのが、1992~1995年まで「りぼん」で連載された吉住渉の原作コミックを、ラブストーリーの名手である廣木隆一監督が実写映画化した『ママレード・ボーイ』(18)だ。

小石川夫妻の娘、光希(桜井日奈子)と、松浦夫妻の息子、遊(吉沢亮)は同い年の高校生。ある日、旅先で出会った両親同士が恋に落ち、お互いのパートナーを交換して再婚。しかも、6人そろって同じ家に暮らすことになる。眠っている光希に、遊がそっとキスをするが、実は彼女は起きていた…など、胸キュンのエピソードが続いていくなか、実は2人が異母きょうだいかもしれないという疑惑が生まれたことでグッとシリアスな展開になるのが大きな特徴。苦悩の末、たとえ血がつながっていても…と想いを貫こうとする2人の覚悟がせつない。本作がラブストーリー初主演だった吉沢亮の圧倒的なビジュアルの美しさも必見。

謎めいた彼との同居生活の行方は…?『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』

有川浩の恋愛小説「植物図鑑」を、共に映画初主演となる岩田剛典×高畑充希のW主演で実写映画化した『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』(16)。ある冬の夜、ほろ酔いのさやか(高畑)は、自分のアパートの前で行き倒れていた青年、樹(岩田)を見つけ、部屋に連れて帰る。翌朝、樹がありあわせの材料で作ったおいしい朝食に感激したさやかは、樹に同居生活を提案。2人は「半年間」という期限付きで同居をスタートさせる…。

それまでほとんど自炊をしてこなかったさやかと、料理が得意で家事全般を担ってくれる樹。下の名前以外は決して素性を明かさないミステリアスな男性との同居という設定は現実的にはムチャだけれど、2人の穏やかな日々の暮らしの描写はとことん甘酸っぱい。休日には自転車で河原に行き、野草を摘んで、料理を作って、一緒に食べる。そんな素朴でかわいらしい2人の日常風景に癒される分、後半に訪れる、思わぬ別離の試練にドキドキ。

憧れの“壁ドン”が社会現象を巻き起こした『L・DK』

親の転勤を機に一人暮らしをしている、恋に奥手な女子高生の葵(剛力彩芽)と、偶然にも隣に越してきた同じ学校の「王子」こと柊聖(山崎賢人)との同居生活を描く『L・DK』(14)。原作は2009~2017年まで「別冊フレンド」で連載された渡辺あゆの大人気コミック。ある日、葵が柊聖の部屋でボヤ騒ぎを起こしたことから、2人は同居生活を送るハメになる。

恋愛初心者だけど気が強い葵と、オラオラツンデレ系のイケメンである柊聖が、衝突を繰り返しながらどんどん距離を縮めていくきっかけになるのが、フィジカル的なハプニングの数々。特に劇中に登場する、柊聖が葵を壁に追い詰めて、顔を接近させるというインパクトのある“壁ドン”は、女子の憧れのシチュエーションとして一大ブームとなり、その後の恋愛作品でも人気のポーズに。また2019年には、上白石萌音、杉野遥亮、横浜流星という新キャストで再映画化された『L・DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』も公開された。

クセ強な4人の弟たちとの家族愛に心温まる『うちの弟どもがすみません』

今回公開される『うちの弟どもがすみません』のヒロイン、高校2年生の糸(畑芽育)が同居することになる相手は、同級生の長男をはじめとする全員イケメンの4人の弟たち。さらに同居開始早々、再婚したばかりの両親は、父の転勤で2人そろって引っ越してしまい、残ることを決めた糸はいきなり姉弟5人での暮らしを余儀なくされる。

かっこいい男の子がたくさん出てくるイケメンパラダイス的作品は、同居ラブストーリー作品に負けず劣らず、もともと女性が大好きなジャンル。“ひとつ屋根の下”ラブコメד家庭内”イケパラという2つの人気要素を掛け合わせたハイブリッドである点が、本作の大きなポイントである。

しだいに打ち解けていく糸と4人の弟たち [c]2024「うちの弟どもがすみません」製作委員会 [c]オザキアキラ/集英社
しだいに打ち解けていく糸と4人の弟たち [c]2024「うちの弟どもがすみません」製作委員会 [c]オザキアキラ/集英社

クールに見えるものの、実は誰よりも家族想いで優しい長男、源を演じるのは、“HiHi Jets”の作間龍斗。兄弟のなかで一番冷静でしっかり者の次男、洛役には、“美 少年”の那須雄登。繊細な心の持ち主で、引きこもり中の三男、柊役に、“少年忍者”の織山尚大。素直で人なつっこい四男、類役に、2023年に芸能活動を開始したばかりの11歳の内田煌音が抜擢された。4兄弟の間を流れる空気に、家族らしい気心の知れたリラックス感があるのは、全員同じ事務所に所属しているという関係性ならでは。4人それぞれのビジュアルや雰囲気も、原作のキャラクターのイメージにぴったりで、「うち弟」のほっこりした世界観を盛り上げている。

ミステリアスな雰囲気に包まれた三男、柊(織山尚大) [c]2024「うちの弟どもがすみません」製作委員会 [c]オザキアキラ/集英社
ミステリアスな雰囲気に包まれた三男、柊(織山尚大) [c]2024「うちの弟どもがすみません」製作委員会 [c]オザキアキラ/集英社

4兄弟がお風呂上がりに上半身裸のままウロウロしたり、朝目覚めると、部屋を間違えた源がベッドの隣で寝ていたりと、同居恋愛ものではお約束のドキドキなハプニングもたくさん。といっても、テイストはコメディに振っていて、義姉弟の恋愛作品につきものの背徳感や禁断感はナシ。そもそも保護者不在のシチュエーションでありながら、子どもだけで計5人という大所帯。末っ子は小学生だし、引きこもりの悩める中学生もいるという設定ゆえに、ラブ一色ではなく、温かい家族愛や兄弟同士の絆をベースにしているところが魅力だ。

作間龍斗演じる、ぶっきらぼうだけど優しい長男、源 [c]2024「うちの弟どもがすみません」製作委員会 [c]オザキアキラ/集英社
作間龍斗演じる、ぶっきらぼうだけど優しい長男、源 [c]2024「うちの弟どもがすみません」製作委員会 [c]オザキアキラ/集英社

糸が惹かれていく源は、ぶっきらぼうだけど、4兄弟の長男として弟たちを守らなければという意識が強い責任感のある男の子。ずっと面倒を見る側で生きてきたせいで、誰かに頼ったり、甘えたりすることができない彼のことを、オカン気質の糸が放っておけなくなる気持ちはよくわかる。ヒロインばかりが甲斐甲斐しく家事をすることをよしとせず、家族なんだから一緒にやるのが当たり前と、スーパーへの買い出しや料理など、積極的に家事に取り組むヒーロー像もまた、令和版にふさわしい同居ラブコメといえる。

誰もが憧れるイケメンと、なぜかしかたなく同居するという設定のラブストーリーは、現実ではなかなか行動に出せないけれど、本当はかっこいい男の子とお近づきになりたい、そして、あわよくば、自分を好きになってほしい!と願う世の女性の妄想を満たしてくれる極甘ファンタジー。難しいことは考えず、ヒロインに感情移入しながら、恋愛のスリルとときめきを味わおう!

文/石塚圭子

※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記

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