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成田凌&森田剛、互いの存在感を絶賛 台湾ロケの独特な撮影現場で生まれた信頼関係

  • 2024.12.8
(左から)森田剛、成田凌 クランクイン! 写真:高野広美 width=
(左から)森田剛、成田凌 クランクイン! 写真:高野広美

成田凌と森田剛という奥行きのある俳優たちが初めて対峙した映画『雨の中の慾情』が公開された。劇中では、先輩後輩なのか、仲間なのか、はたまた対立するのか……どちらにもとれるような絶妙な距離感で向き合う二人。さらにロケ地はほぼ台湾という環境。そんな状況下で撮影に臨んだ成田と森田が、互いの存在感や独特だったという片山慎三監督の現場を振り返った。

【写真】あふれ出る色気から目が離せない! 成田凌&森田剛、撮り下ろしショット

■森田から「興味があった」に、成田凌「ただただ幸せ」

漫画家・つげ義春の短編作品をベースに、映画『岬の兄妹』や『さがす』などの片山慎三監督が独創性あるラブストーリーに仕上げた本作。成田は貧しい北町に住む売れない漫画家・義男を、森田は自称小説家という怪しい男・伊守に扮する。

――重層的なテーマが内在する本作ですが、脚本を読んだとき、最初にどんなイメージを持ちましたか?

成田:片山監督が最初から「この映画はラブストーリーです」とおっしゃっていたので、その視点で読みました。自分が演じる義男が、(中村映里子演じる)福子さんのことを最初から最後まで好きという気持ちを持ち続ければいいのかなと思いました。

森田:俺は全然分からなかった(笑)。「なんなんだろう、この物語は」という部分ですごく惹かれました。片山監督の頭の中に入っていきたいなと思う脚本でした。

――義男と伊守の関係性も、不思議なものでしたが、お二人はどんな距離感を意識しましたか?

成田:まず自分だったら伊守をどう演じるんだろうなと考えたとき、難しいなと。存在しているだけでめちゃくちゃ魅力的である必要があって、それでいて力が抜けている。義男からすると憧れの存在。敵となるとかなりの強敵。もう諦めるしかない。その意味で、対峙するときは、諦めの感覚で入りました。

森田:伊守はつかみどころがなく、チャーミング。でも内に隠しているものはいっぱいあると思っていたので、そこをあまり出さないように、なるべくこぼれ落ちる感じになればいいなと思っていました。義男との関係性も、そんな距離感というか。台湾に行って成田くんを観察していたのですが、現場での居方が興味深かった。特に話をすることもないんだけれど、何をするんだろう、何を考えているんだろう……とすごく興味を持って見ていたので、そのワクワクが出ればいいなと。

成田:今のお話を聞いて、僕はただただ幸せです(笑)。台湾での撮影は、本当に大変で。現場が楽しい時もあれば、そうではないときもあり。そういうときは僕も森田さんは今何を考えているんだろうと思っていたんです。僕と同じこと考えているのかな……なんて。勝手に分かり合っている気持ちでいました。でもその話を以前したら、全然違うことを考えていたみたいで。分かっていなかったですね(笑)。

――話し合わずともお互い同じような距離感でいられたんですね?

成田:そうですね。森田さんには絶大なる信頼感がありました。

――森田さんは、成田さんに対して作品に入る前にイメージしていたことはあったのですか?

森田:特にイメージしたことはないのですが、信頼できる人なんだろうなというのはありました。あとは対峙したときの緊張感は保っていたいなと思っていましたし、保てる人なんだろうなという、それこそ信頼はありました。

■2~3時間かけてロケ現場到着も「ここじゃないな」で中止!「かっこいいなと感動」(成田)


――お二人の間にいる福子さんとの向き合い方は?

成田:中村さん自体が不思議な方なので、面白いなーと思いながら接していました。ちゃんとしている方なのか、ちゃんとしていないのかも分からない。撮影が終わって、取材などを一緒に受けていても分からないんです(笑)。でも義男が好きになる人なので、その意味では、好きになってしまうような魅力がある人でした。

森田:伊守は福子のことを好きかどうか分からない立場なので、そういう感情は持たないようにしていました。まあ伊守は妻もいるし子どももいる男ですからね。あまり感情を決めるよりフワフワしている感じでいました。

――福子との仲を義男に見せつけてやろうという思いも?

森田:それはあるんじゃないですかね。ちょっと義男よりも上に立ちたいような、人間の狡い部分はあると思います。やっぱり伊守は演じていて難しかったです。監督のOKだけがよりどころでした。

――片山監督の現場はいかがでしたか?

成田:面白いです。現場に行かないと分からないというのが特に。例えば「福子さんと義男がベッドの上で話している」と脚本に書かれていたのですが、いざ現場に行ったら、謎の場所に湯船だけが置かれていて、そこにバラが浮いているというセットだったんです。もうよく分からないですよね(笑)。脚本だけでは分からないワクワクがすごかったです。あとは、実際の映画では牧場みたいなところにベッドがぽつんと置かれているシーンがあるのですが、元々は砂漠で撮る予定だったんです。いざメイクして2~3時間ぐらいかけて移動して現場についたら、監督が来て「やっぱりここでは撮りません」と。「完璧じゃないから」と。その決断ができる人はかっこいいなと感動しました。どんどんみんな監督のことを信頼していく感覚があって。みんな片山監督の頭の中を体現したいと思うんですよね。

森田:大変ですが、結果がすべてですよね。めちゃくちゃでも、出来上がったものを見たらみんな納得する。そういう人がモノを作るべきだと思わせてくれる方ですね。

■森田剛、成田凌の前後半の変化を絶賛!「ずっと義男を見ていました」


――作品をご覧になってどんなところに感銘を受けましたか?

森田:やっぱり観たことがない映像だなと思いました。それを観ることができたのは幸せだったし、先ほど成田くんがラブストーリーだと言っていましたが、出来上がった作品を観たら大きな愛を感じることができました。

成田:僕は結構現場で映像をチェックするタイプなのですが、今回特に(撮影の)池田直矢さんの撮る絵が素晴らしくて、いつも以上に観ていたんです。シーンも入れ替わっていったら見え方も変わる映画なので、どうやって見せていくのかすごく興味がありましたが、音楽がすごくいい役割を果たしていて、とても観やすかった。あとはあれだけ美しい映像を終始観られるというのは、圧倒的だなと思いました。

――劇中、伊守が義男を見て「いい顔するな」と、ちょっとおちょくるように話すシーンが、二人の関係性をよく表しているなと感じたのですが、森田さんから見て、成田さんはいい顔をする俳優さんでしたか?

森田:そう思うところはいっぱいありましたね。出来上がった映画を観て、義男がとても魅力的でした。特に義男の前半と後半の顔が全然変わっているのがすごく面白かった。ずっと義男を見ていました。

――前後半の変化は意識していたのですか?

成田:多分そこまで意識していなかったと思います。でも撮り方に愛があったので、そこはありがたかったです。普通ならまとめて撮ってしまうような場面でも、基本的に時系列で撮ってくださったので。

――成田さんから見た森田さんの俳優さんとしての魅力は?

成田:こんなことを言うのはおこがましいのですが、とても心地がよかったです。一緒にお芝居をしていると自然と自分の役になれてしまう、こんなに何もしなくていい人がいるんだ?と思いました。俳優を始めてちょうど10年になるのですが、今までにない感覚でした。森田さんと現場に立つだけで、役に入れるんです。

――日台共同制作でしたが、何か得たことはありましたか?

成田:台湾の方々がとても優しかったです。すごく勉強になる部分が多かったのですが、台湾のスタッフも日本人スタッフを尊敬してくれていて。撮影が終わった後も仲良くしていて、台湾に行ったときも一緒に遊んでいると話していました。一生懸命頑張ってくださっている姿を見ると、自然と気合いが入るというか。お互い一つのものに向き合おうとしたとき、逆に文化の違いというのは大きな力になるんだなということを学びました。

森田:印象に残っているのは、台湾での大変なシーンで、エキストラさんがたくさんいたのですが、何度も何度も繰り返し同じシーンをやっても、誰一人文句言わずに、みんなやるんですね。そういう全力で臨む姿を見ると、こちらもやらなきゃダメだって気持ちになりますね。それはとてもありがたかった。大きな気づきでしたね。

(取材・文:磯部正和 写真:高野広美)

映画『雨の中の慾情』は公開中。

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