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先端テクノロジーと組み合わせ、伝統産業を盛り上げる。【エピファニーワークス代表 林口砂里】

  • 2024.12.7

国の文化的支援が十分ではない中、伝統工芸の世界でも女性たちが活躍するようになってきた日本。職人として働くことを選んだ人、現代に合わせたデザイン提案や技術を伝える人、場所を紹介。

 

エピファニーワークス代表一般社団法人 富山県西部観光社 水と匠 プロデューサー林口砂里

東京外国語大学中国語学科卒業。東京デザインセンター勤務などを経て、2005年にエピファニーワークス設立。12年に富山県高岡市に拠点を移し、19年、富山県西部観光社 水と匠のプロデューサーに就任。 https://www.epiphanyworks.net/ https://mizutotakumi.jp/

高岡銅器、高岡漆器、越中福岡の菅笠......さまざまな伝統産業が息づく富山県高岡市。高岡市出身の林口砂里は、富山県西部地区の地域づくりを担う富山県西部観光社 水と匠のプロデューサー。地域の魅力を伝えるツアーの企画や、伝統工芸や地元プロダクトの商品開発など、幅広く手がけている。

2005年に設立したエピファニーワークスでは、現代アート、デザイン、音楽、自然科学、仏教......さまざまなジャンルのクリエイターや研究者を結びつける事業に取り組んできたが、故郷の伝統工芸に目を向けるようになったのは、富山と東京を行き来するようになったここ10年ほどのことだという。

「伝統産業は私にとってごく身近なもので、あることが当たり前でした。けれどもそれは、誰かが情熱や熱意をもって継承してきたからそこにあったと気がついたんです。さまざまな伝統産業が消えつつある現在、工房や工場に赴いて作り手の思いに触れるたび、美しい技をもっと多くの人に広めたいと思うと同時に、それらが失われつつある状況を危惧しています」

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工房見学とものづくり体験を行う場所のひとつ、昔ながらの鍛金技法でおりんを制作する、シマタニ昇龍工房。

現代社会で生み出されるクリエイティビティの中で、普遍性を備えるものは果たしてどれだけあるだろうか。少なくとも長く受け継がれたものは、積み重ねた時間がその普遍性を証明している。何百年と受け継がれてきた技や文化には普遍的な美が宿っており、それは人類が失ってはいけない財産である――そんな思いを抱き、伝統の技の輝きを作り手とともに発信している。

ここ数年、林口が熱意をもって取り組んでいるのが、伝統工芸と最先端テクノロジーのマッチングにより、イノベーションの可能性を探るイベント「工芸ハッカソン」。モーションキャプチャーを駆使して伝統工芸の技をアーカイブするプロジェクトも、ここから生まれたものだ。

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「工芸ハッカソン」に参加するチームから、新たな金属表現を探るメタルリサーチラボの作品。

「美しいものとの出合いは、人の心の糧となる」と言う林口。未来に生きる人々心の豊かさを守り、失われつつある伝統の技を次世代に引き継ぐため、アーカイブを世界に公開し、人類の財産として守っていこうと考えている。

*「フィガロジャポン」2025年1月号より抜粋

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