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成人年齢の引き下げが及ぼす美容医療業界への影響についてAPOLLO BEAUTY CLINIC院長の鬼沢先生にお伺いしました。

  • 2024.12.7

成人年齢が18歳に引き下がったことで、変わったことは?
今回は、APOLLO BEAUTY CLINIC院長の鬼沢正道先生に、美容医療の現況についてお話をいただきました。

成人年齢が下がったことで変わったもの

ママ広場


若者が闊歩する街、原宿に美容クリニックを開業し、あっという間に4年の月日が流れました。
私がこの地に美容クリニックを開業したのは2020年のこと。新型コロナウイルスが世界的に猛威を奮っていた中での開業でした。トレンドを発信する場所である原宿の街は忙しなく移り変わり、この4年であっという間に景色は変わりました。

街の様相の他にも、世の中ではさまざまな大きな変化がありました。
その代表的な出来事として、2022年4月、成人年齢が20歳から18歳に引き下がったことが挙げられます。成人年齢の改訂は、実に140年ぶりのことだそうで、日本の少子高齢社会が進行する中で、若者の社会進出を促そうという背景があるとのことです。

成人年齢引き下げによってさまざまな法律上の変更点がありますが、その中の一つとして18歳になれば親権者の同意がなくても法律上「契約」ができるようになりました。クレジットカードや携帯電話の契約、賃貸住宅の契約、ローンの契約などは、満18歳を迎えていれば、自身の判断で契約ができるようになったのです。
この変更により、10代の若者を取り巻く美容医療の世界も大きな変化を遂げました。

美容医療と若者の関わりの変化

その話をする前に、少しだけ美容医療の背景について軽くお話をします。

「美容医療」と一言で言っても、内容はさまざまです。
保険診療ではカバーできないような肌治療、レーザー脱毛、メスを加える手術治療など大小さまざまな施術があり、ダウンタイム(施術を受けてから痛みや腫れが治って正常化するまでの期間)が長いものもあれば、ほとんど無いものもあります。

私が実感しているのは、美容医療を受けるハードルが昔と比べて下がっているということです。

以前は整形に対してネガティブなイメージも強く、周囲にバレないようにコソコソと美容クリニックに通っていた時代がありました。美容医療は保険が効かない治療が多く、高額な治療費がかかるため、美容医療を受けるというのはとても敷居が高いことでした。

しかし昨今では美容クリニックが増え、技術の進歩や自由競争の原理により美容医療を比較的気軽に受けられるようになりました。治療費も昔と比べると比較的安価なものも増えています。
美容クリニックが増えたことに比例し、「美容医療の若年化」が進行していると実感しています。SNSを中心に、最新の美容医療の情報は以前に増して目につきやすい時代となりました。若者を取り巻く美容医療はトレンド化しているのです。

美容医療も「医療行為」

美容外科医を生業とする私としては、この状況を危惧しています。
そもそも美容医療とは、立派な「医療行為」です。ダウンタイムの長さや金額に関係なく、医師が患者さんの身体に傷をつける行為であることに変わりはありません。
だからこそ私は、特に若年者の方々には「美容医療を受ける際は慎重に判断しよう」と啓蒙しています。

成人年齢引き下げによって、高額な美容医療やコース施術などでも、18歳を迎えていればローン契約ができるようになりました。以前は親に相談してから、親の同意の元で契約を決めるというフェーズがそこにはありましたが、現在では18歳以上にはそのフェーズは必要ありません。
若年者の自己判断で契約が可能になり、結果的に美容医療を受けるハードルを下げることに拍車をかけているというのが私の印象です。

私は決して、若年者に高額の美容医療を受けるなとか、コース契約をするな、と言っているわけではありません。あくまで「美容医療を受ける際は冷静に判断してください」と言っているだけです。
しかし、これまで高かった美容医療のハードルがより下がると、「こんなはずではなかった」、「思っていた仕上がりと違う」、「高額の料金を払ったのに金額に見合った満足度ではない」といったトラブルが増えるのも事実です。
美容医療は受ける側の自己責任も大いに伴います。何も考えないままトレンドに流され、言われるがまま治療を受けていると、数年後に前述のようなトラブルが起こるかもしれません、
満18歳でローンが組めるようになったことを良いことに、容姿に多感な若者のコンプレックスに付け込み、必要のない高額な治療を勧めてくる悪徳な美容クリニックも散見されるので、十分な注意が必要です。

以前はそこに、「親の判断を仰いでから契約する」というフェーズが存在しました。しかし成人年齢引き下げによる影響で、親の判断、了承を得なくても契約が可能になったため、親に相談して共に熟慮するというフェーズは必要がなくなりました。
親も知らないところで子どもが思わぬ美容トラブルに巻き込まれているという状況にもなりかねません。

成人年齢引き下げはこのように、美容量業界にも思わぬ余波を残しています。
若いうちから自身の判断でできることが増えたからこそ、今一度人生の先輩である親に相談できる環境にあるかどうか、見つめ直していただければと思います。
何度も言いますが、美容医療というのは決して安易に受けるものではありません。親は子どもより人生経験の豊富なアドバイザーでもあります。前述のトラブルに巻き込まれないためにも、ぜひ親子が事前に相談できる関係性を築き上げていただければ幸いです。

成人を迎えた若年の方々にとっても、その親御さんにとっても、我々が提供する美容医療で明るい未来になることを願いながら、今日も最高の美容医療を提供したいと思います。

[執筆者]

ママ広場


鬼沢正道先生

「美容医療で世界を少しだけ明るくする」をモットーに、原宿で現在開業5年目を迎えた美容クリニック「医療法人社団賢叡会 APOLLO BEAUTY CLINIC」を経営しています。
美容外科、美容皮膚科の知識はもちろんのこと、内科的な知識を駆使して身体を内部から綺麗にしていく美容点滴や内服治療も行なっています。
元々は整形外科医でしたが、美容外科医としてもこれまで様々な経験をさせていただいております。

医療法人社団賢叡会
APOLLO BEAUTY CLINIC
https://apolloclinic.jp/

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