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どんなテイストにもハマるチェルシーブーツ。こなれて見えるスタイリングのコツは?

  • 2024.12.7

いつの時代もトレンドに左右されることなく、定番として親しまれるチェルシーブーツ。デザイナーたちは毎シーズン、チャンキーなラグソールやメタリックレザーといった変化球を効かせたデザインを提案しているが、それでもこのシルエットがタイムレスであり続けることに変わりはない。

実際、このブーツには長い歴史がある。絶妙なくるぶし丈にローヒール、そして背面に配されたプルループが特徴のチェルシーブーツが誕生したのは、ヴィクトリア朝時代のこと。最初の一足は、実際にヴィクトリア女王の靴職人であったジョセフ・スパークス・ホールが1837年にデザインしたものだった。ホールズによれば、女王はその履き心地のよさをとても気に入り、毎日履いていたという。

ビートルズやローリング・ストーンズも愛した、60年代モッズスタイルの定番

1967年、イギリス人モデルのジーン・シュリンプトン。
Shrimp Farmer1967年、イギリス人モデルのジーン・シュリンプトン。

1960年代になると、ビートルズからローリング・ストーンズ、モデルのジーン・シュリンプトンに至るまで、イギリスの著名人たちが次々とこのブーツを履くようになった。チェルシーブーツという名で知られるようになったのは、その流行の発信源がロンドンのチェルシー地区であったためだ。なかでもダンスシューズメーカーのアネロ&ダヴィデ(ANELLO & DAVIDE)がビートルズの依頼を受けて特注した一足は、低めのキューバンヒールと滑らかなアーモンドトゥが目を引くもので、“ビートルズブーツ”という名で広まった。

チェルシーブーツは当時最先端の一足とされ、アンディ・ウォーホルも魅せられた一人だ。彼は1960年代、ロンドンで開かれた晩餐会でローリング・ストーンズのミック・ジャガーと写真家のデイヴィッド・ベイリーがこのブーツを履いている姿を目にしたときのことを、こう回想している。「ベイリーもミックも非常にユニークな着こなしをしていました。ほかの誰も思いつかないような、あのパンツにこの靴、というような組み合わせ方が本当に素晴らしかった。そしてもちろん、ロンドンのダンスシューズメーカーであるアネロ&ダヴィデのブーツを履いていましたよ」

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直近ではプロエンザ スクーラーPROENZA SCHOULER)やプラダPRADA)、ヴァレンティノVALENTINO)といったブランドが2024-25年秋冬のランウェイにそれぞれのアレンジを加えたチェルシーブーツを発表しているが、このスタイルが支持を集める理由は、ユニセックスであることも関係している。スウィンギング・シックスティーズのアイコンたちや、昨今ではティモシー・シャラメが証明しているように、男女ともに履きこなすことができるのだ。

ニューヨークを拠点とするシューズブランド、マルゴー(MARGAUX)の共同設立者であるサラ・ピアソン曰く、「時の試練に耐えるファッションとは、スタイルと快適さのちょうどいいバランスを実現したもの」。「チェルシーブーツは楽で履きやすい上、どんなワードローブにも馴染み、瞬時に主力アイテムとなってくれる」と彼女は太鼓判を押す。

チェルシーブーツを選ぶときは、色、素材、ディテールにもこだわって

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チェルシーブーツと言えば、ローヒールかフラットヒールのアーモンドトゥ、そして色はブラックが長年の定番だ。しかし、フレッシュなホワイトからチェリーレッド、さらには柔らかなブラウンスエードなど、アップデートされたバリエーションも多く展開されているため、ステートメントルックを作るオプションにも事欠かない。

耐候性に優れた素材で仕立てたウェザープルーフ仕様も人気だ。モンクレールMONCLER)やエヴァレーン(EVERLANE)、ジェニー ケインJENNI KAYNE)、ラグ&ボーン(RAG&BONE)などのブランドは、ラバーソールや肌触りのいいシアリングのライニングを採用している。「雨の日でも晴れの日でも履けるように、防水素材を使った一足も見逃せません」とピアソンは付け加える。

どのスタイルを選ぶにせよ、チェルシーブーツをチェルシーブーツたらしめているのは、その着脱の楽さにある。しかし、サイドゴアやプルループのディテールがスポーティー、あるいはアウトドアすぎると感じる場合は、サイドやバックのジッパーが隠れているものにするといいだろう。

チェルシーブーツをスタイリングする際のポイント

Street Style - February 2023 - New York Fashion Week

チェルシーブーツはありとあらゆるテイストにハマるが故に、そのスタイリングも自由自在。くるぶし丈のテーラードパンツに合わせれば洗練された印象に、ショートパンツやドレススカートなら程よく辛口に、デニムやボタンダウンシャツはスマートに決まる。

ピアソンはストレートレッグのダークデニムと合わせることが多いそうで、「デニムのすっきりとしたカットと色で、この靴のスポーティーな雰囲気とのバランスが取れる」と話す。また、靴下を見せて遊ぶのもありだと彼女は付け加える。自身のブランドの最近の写真撮影では、スエードのチェルシーブーツをテーラードショートパンツとチャンキーソックスとスタイリングしたそうで、フレッシュかつクールに仕上がったそうだ。

ラグソールのチェルシーブーツはどう履く?

Street Style - Paris Fashion Week - Womenswear Spring/Summer 2025 - Day Five
Street Style - Paris Fashion Week - Womenswear Spring/Summer 2025 - Day Nine

タフな印象を放つラグソールは、ミニマルなルックやテーラード、あるいはフェミニンなコーデにユーティリタリアンなひねりを効かせてくれるから、プリントやパステルカラー、かっちりとしたシルエットのコントラストにうってつけだ。ワイドレッグのクロップパンツやボクシーなコート、チャンキーニットと合わせれば、そのプロポーションとスポーティーさが際立つ。しかし、バランスを取ることを忘れずに。ラグソールのチェルシーブーツは、体にぴったりとフィットした服と合わせると不格好に見えることもある。

チェルシーブーツに合うデニムは?

Street Style - Berlin - November, 2022

チェルシーブーツに合わせるデニムあるいはボトムを選ぶ際、まず重要視したいのはなんといってもシルエット。正統派の一足はスキニーレッグと合わせればすっきりと見えるが、ストレートやワイドレッグは、ワークウェアにインスパイアされた重厚感のあるデザインとの相性がいい。

また、シルエットと同様に重要なのが丈感だ。一般的に、裾は足首かそれより上にあたるくらいがベスト。ロールアップヘムやほつれがあるデザインも、ブーツを効果的に際立たせることができる。

デニムと合わせるときはブーツイン? それともアウト?

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ブーツインすべきかどうかは、デニムのシルエットによりけり。スキニーレッグであれば、裾まわりにおかしな膨らみが出ないようブーツインするとすっきりとしたラインに。しかし、スキニーレッグ以外はブーツアウトするのがベター。

繰り返しになるが、デニムの丈の長さもポイントだ。例えば、ストレートであろうとワイドレッグであろうと、クロップ丈ならブーツを引き立てることができる。また、裾にフレアが効いているボトムでも、シックに決まること請け合いだ。

Text: Christina Pérez Adaptation: Motoko Fujita

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