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2025年のパントン・カラー・オブ・ザ・イヤー は“モカ・ムース”──日々の中にある小さな幸せに目を向けて

  • 2024.12.6

パントン(PANTONE®)社は毎年、その時々の世相を表す色を選定している。2024年は「すべてを包み込み、心、体、魂を豊かにする」色調の“ピーチ・ファズ”が選ばれたものの、実際に今年世の中を席巻しのは“ブラット・グリーン”と呼ばれる目が覚めるようなスライムグリーン。心、体、魂を豊かにしてくれたことは確かだが、正式なカラー・オブ・ザ・イヤーとは天と地の差だ。

そんな1年を経て、パントン社は「調和」そして「自然への立ち返り」に焦点を当て、2025年のカラーを選定した。「この色は、人生の中で経験するさまざまなことを別の視点から見つめ、そしてとらえ直し、小さな幸せの大切さを理解し、今を生きることを意味します」とパントン・カラー・インスティテュートのバイスプレジデント、ローリー・プレスマンは説明する。「ご褒美にスイーツを食べることでも、自然の中を散歩することでもいい。要するに、自分にとっての癒しと贅沢を求めていくという考えです。しかし、それが必ずしも自分のためだけのものである必要はありません。誰かに何かをプレゼントすることも、何かを一緒に分かち合うことも、自分にとっての癒しと贅沢になります」

2025年のパントン・カラー・オブ・ザ・イヤー、“モカ・ムース”
2025年のパントン・カラー・オブ・ザ・イヤー、“モカ・ムース”

そうして2025年のパントン・カラー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたのが、“モカ・ムース”。赤やモーブがかった暖かみのあるブラウンで、名前の由来となった「ムース」を想起させる色だ。「色の名前は、私たちが伝えたい感覚を表現するのにとても重要です」とプレスマンは付け加える。「『ムース』だと意識すると、自然とどこか軽やかな感じがしますよね。このように、ここ数年はかすみがかったような淡い色や爽やかな色にシフトしています」

ふたを開けてみれば、モカ・ムースはすでにメンズとウィメンズともに、多くの2025年コレクションにおいて強い存在感を示している。なめらかなシルクサテンやソフトなレザー、スエード、シャギーな質感に落とし込むデザイナーが目立つのは、色が醸し出す軽やかさに着目したからだろう。興味深いことに、肌の色が暗い人が身につけると、モカ・ムースはいわゆる“ヌードカラー”になる。パントン・カラー・インスティテュートのエグゼクティブ・ディレクター、リー・アイズマンはその多様性を指摘する。また、パウダーブルーやターコイズ、ピンクといったほかのカラーと組み合わせても馴染むという意味でも万能だ。それも無彩色に近いニュートラルカラーから、しっかりと個性と主張のある色へと様変わりする。

「(モカ・ムースは)“アースカラー”と呼ばれていたかもしれませんが、シルキーな質感に落とし込むと、全く新しい感覚の色になるのです」とアイズマン。「五感で温もりを感じられることから、“感覚的な温かさ”があると言っています。モカ・ムースみたいな色を目にすると、温かみのあるチョコレートの芳香が香ってくるような気がしますし、味も舌に広がりますよね。それに加えて、私たちの目は、この色が本来持っている温もりを、視覚情報から感覚的に感じ取ることができるのです」

エルメス 2025年春夏コレクションより。
Photo: Daniele Oberrauch / Gorunway.comエルメス 2025年春夏コレクションより。
ラクアン スミス 2025年春夏コレクションより。
Photo: Filippo Fior / Gorunway.comラクアン スミス 2025年春夏コレクションより。
マックスマーラ 2025年リゾートコレクションより。
photo: Daniele Oberrauch / Gorunway.comマックスマーラ 2025年リゾートコレクションより。
ヴィーダーホーフト 2025年春夏コレクションより。
photo: Daniele Oberrauch / Gorunway.comヴィーダーホーフト 2025年春夏コレクションより。
ジェイソン・ウー 2025年春夏コレクションより。
photo: Alessandro Viero / Gorunway.comジェイソン・ウー 2025年春夏コレクションより。
ヴェルサーチェ 2025年春夏コレクションより。
photo: Alessandro Lucioni / Gorunway.comヴェルサーチェ 2025年春夏コレクションより。
ドリス ヴァン ノッテン 2025年春夏メンズコレクションより。
ドリス ヴァン ノッテン 2025年春夏メンズコレクションより。
パロモ・スペイン 2025年春夏コレクションより。
photo: Isidore Montag / Gorunway.comパロモ・スペイン 2025年春夏コレクションより。
セシリー バンセン 2025年リゾートコレクションより。
セシリー バンセン 2025年リゾートコレクションより。
トリーバーチ 2025年リゾートコレクションより。
トリーバーチ 2025年リゾートコレクションより。
ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。
ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。
ガブリエラ ハースト 2025年春夏コレクションより。
ガブリエラ ハースト 2025年春夏コレクションより。
シャネル 2024/25年メティエダールコレクションより。
Photo: Umberto Fratini / Gorunway.comシャネル 2024/25年メティエダールコレクションより。
ミュウミュウ 2025年春夏コレクションより。
photo: Salvatore Dragone / Gorunway.comミュウミュウ 2025年春夏コレクションより。
グッチ 2025年春夏コレクションより。
グッチ 2025年春夏コレクションより。
トッズ 2025年リゾートコレクションより。
トッズ 2025年リゾートコレクションより。
ジマーマン 2025年春夏コレクションより。
Photo: Isidore Montag / Gorunway.comジマーマン 2025年春夏コレクションより。
ズハイル・ムラド 2025年リゾートコレクションより。
ズハイル・ムラド 2025年リゾートコレクションより。
フェンディ 2025年春夏コレクションより。
Photo: Umberto Fratini / Gorunway.comフェンディ 2025年春夏コレクションより。
グッチ 2025年リゾートコレクションより。
グッチ 2025年リゾートコレクションより。
サンドラ・ヴァイル 2025年春夏コレクションより。
サンドラ・ヴァイル 2025年春夏コレクションより。
ドリス ヴァン ノッテン 2025年春夏コレクションより。
photo: Alessandro Lucioni / Gorunway.comドリス ヴァン ノッテン 2025年春夏コレクションより。
トリー バーチ 2025年春夏コレクションより。
photo: Alessandro Viero / Gorunway.comトリー バーチ 2025年春夏コレクションより。
トーベ 2025年リゾートコレクションより。
トーベ 2025年リゾートコレクションより。

Text: Laia Garcia-Furtado Adaptation: Anzu Kawano

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