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紫式部『源氏物語 三十一帖 真木柱』あらすじ紹介。源氏物語の最強モテ女・玉鬘は誰と結ばれるのか? “玉鬘十帖”驚きのクライマックス!!

  • 2024.12.6

平安時代に執筆された王朝文学の名作『源氏物語』を読んだことはありますか。古典作品であるため難しく感じる方も多いかもしれません。どんな物語なのかを知ることができるよう、1章ずつ簡潔にあらすじをまとめました。今回は、第31章「真木柱(まきばしら)」をご紹介します。

『源氏物語 真木柱』の作品解説

『源氏物語』とは1000年以上前に紫式部によって書かれた長編小説です。作品の魅力は、なんといっても光源氏の数々のロマンス。年の近い継母や人妻、恋焦がれる人に似た少女など、様々な女性を相手に時に切なく、時に色っぽく物語が展開されます。ですが、そこにあるのは単なる男女の恋の情事にとどまらず、登場人物の複雑な心の葛藤や因果応報の戒め、人生の儚さです。それらが美しい文章で紡がれていることが、『源氏物語』が時代を超えて今なお世界中で読まれる所以なのでしょう。

「この件はしばらく内密にしておきましょう」という唐突な源氏の言葉で始まる「真木柱」。何が起こったのかと読み進めると、髭黒が玉鬘(たまかずら)を強引に手に入れたということが分かります。美しい新妻を手に入れて浮かれる髭黒とは対照的に、容姿もタイプではないし面白味もない男との強引な結婚に玉鬘は当然不満で、終始不機嫌な新婚生活がスタートします。前章まで源氏のくどさに辟易していた読み手も、こんなことなら源氏と結ばれた方がよかったと源氏に味方したくなります。玉鬘の不幸が源氏に光を呼び戻す何とも皮肉な状況で、一気に源氏の形勢逆転となって玉鬘十帖は幕を閉じますが、玉鬘は今後も時折登場してどんな人生を送るのかが描かれます。それだけ作者にとっては思い入れの深い人物なのかもしれません。ちなみに、「真木柱」は髭黒の娘が自邸を離れる際に詠んだ歌からくる章名で、真木柱と呼ばれるこの娘の今後も物語で描かれていきます。

これまでのあらすじ

玉鬘の尚侍としての宮仕えが決まり、以前から玉鬘に求婚していた者たちは侍女たちに取次ぎをお願いしていた。中でも髭黒大将は熱心で、内大臣にも取り入っていたが、当の玉鬘は髭黒の容姿が気に入らなかったし、源氏は髭黒に既に妻子がいることで婿候補から外していた。数々の恋文が届く中、玉鬘は蛍兵部卿宮にだけ返事を出した。

『源氏物語 真木柱』の主な登場人物

光源氏:37歳。血のつながりのない玉鬘を引き取った。 内大臣:以前の頭中将。玉鬘の実の父。 玉鬘:23歳。源氏に引き取られた養女であるが、実の娘ということになっている。 夕霧:16歳。故葵の上と源氏の実子。生真面目な性格。 髭黒大将:32~33歳くらい。色黒で髭が多い。

『源氏物語 真木柱』のあらすじ

髭黒大将が、侍女の手引きで玉鬘を強引に手に入れた。源氏はしばらく内密にしておこうと考えるが、髭黒は嬉しさのあまり隠しておくことができない。玉鬘はふさぎ込み、髭黒を不愉快に思って打ち解けることもない。源氏も納得がいかないが今更言っても仕方ないと、婚礼の儀を仕切った。

玉鬘をすぐにでも自邸に連れて帰りたい髭黒であったが、北の方(髭黒の妻)が不快に思うだろうと考え源氏はそれを許さなかった。内大臣は、中宮や女御と帝の寵愛を競うよりはかえってこの方がよかったのだろうと思い、源氏と玉鬘の疑いも晴れた今、源氏のありがたさを感じていた。

帝は、玉鬘の結婚を残念に思い宮仕えは予定通りするがよいと無念そうに言った。源氏は髭黒が不在の昼間に玉鬘を訪ね、他人行儀に世間話をするが、しばらくすると打ち解けて歌を詠み交わした。自分は言い寄ることはあっても実際には手を出さない安全な男だったと言い、玉鬘もまた髭黒と比べて源氏のすばらしさが身に染みて涙にくれた。

今まで遊び慣れていない髭黒は、玉鬘に夢中になり玉鬘を迎えるために散らかった邸を片付けた。もともと美しく物静かだった北の方だが、ここ数年物の怪に取りつかれたようになることがあり、夫婦仲は疎遠になっていて玉鬘を巡って口論になることもあった。雪の降る夜、髭黒が玉鬘のもとに向かうのを躊躇していると、北の方はしおらしく香を焚きしめて髭黒が出かける準備を手伝っていた。かいがいしく世話をする妻を愛おしいとも思ったが、やはり玉鬘への思いが募り出かけようとしたその時、錯乱した北の方が香炉の灰を髭黒に浴びせかけた。妻に嫌気がさした髭黒は、ますます玉鬘のもとに入り浸るようになった。

北の方の父・式部卿宮(しきぶきょうのみや)は、髭黒の仕打ちを非難し、北の方と子供たちを迎えに行った。髭黒によく懐いていた娘は父に別れを言うまで帰りを待つと言い張ったが、いつになっても玉鬘のもとから帰らない父を待つことができず、柱の割れ目に歌を残して邸を出た。慌てた髭黒は式部卿宮の邸に妻子を迎えに行くが、会うことも許されない。息子ふたりを連れて帰り、その後は宮邸に訪れることもなかった。

年が明ける頃、沈み込む玉鬘の気持ちを紛らわせるため、髭黒は玉鬘の宮仕えを許した。玉鬘を訪ねた帝の美しい顔立ちは源氏を思い出させ、今の玉鬘にとっては悩んでいたことも懐かしい思い出になっていた。帝が玉鬘のもとにいると知った髭黒は落ち着かず、早々と玉鬘を退出させ、そのまま自邸に囲い込んだ。何の相談もなく玉鬘を自邸に移したことに、源氏は不満であったが諦めるほかなかった。髭黒は浮かれていたが、玉鬘はますます心を閉ざした。

その後、源氏は密かに玉鬘への未練を歌にして送り、帝も玉鬘への手紙を忍んで送った。物の怪に取りつかれたような北の方の具合は良くならない。髭黒に引き取られた男児は玉鬘によく懐いていた。そして、その年の11月に髭黒と玉鬘の間に男児が生まれた。

近江の君は相変わらずのお調子者で、貴人が集う管弦の遊びの際に、夕霧にずけずけと求愛の歌を詠み、こっぴどく断られた。

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