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【優待や配当はもらえる?】「東京メトロ」はどんな株?お金のプロがやさしく解説

  • 2024.12.9
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写真:photoAC

2024年国内最大のIPO(新規公開株)となっている「東京地下鉄(東京メトロ)」が2024年10月23日、プライム市場に上場しました。上場後の初値は1,630円となり、売り出し価格(1,200円)を36%上回る順調な滑り出しとなりました。その後も株価は堅調に推移し、12月4日終値は1,666円となっています。

今後、東京地下鉄への投資を検討している方は、最新の決算状況を押さえておくといいかもしれません。

本記事では、東京地下鉄の最新決算情報や上場後の株価推移、株主優待の内容などをお金のプロが解説します。

東京地下鉄の事業概要

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東京地下鉄の主力事業は鉄道事業です。

東京都心部をカバーする路線網と、定時性・安全性に優れた運行力が高く評価されています。9路線中7路線で相互直通運転を実施し、郊外から都心への良好なアクセスを実現しており、利便性に優れている点も強みです。

また、鉄道事業のほかに、都市・生活創造事業も収益源となっています。自社の遊休地や駅構内スペースを有効活用して商業施設を展開し、駅構内にコンビニ型売店・自動販売機・コインロッカーなどを設置して収益を得ています。

また、東京メトロ沿線を中心にオフィスビルやホテル、住宅などを展開する不動産事業も展開しています。自社が保有している資産や鉄道会社ならではの強みを活かし、さまざまな事業を通じて収益を得ていることがわかります。

中間連結決算は?

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東京地下鉄の2025年3月期の中間決算を見ると、以下のようなサマリになっています(数字は約)。

  • 営業収益は前年度から106億の増収(5.5%増)となる2,023億円
  • 営業利益は前年度から96億円(23.9%増)の増益となる500億円
  • 純利益は前年度から64億円の増益(26.6%増)となる306億円

通期での営業収益は、対前年度決算から182億円増収の4,075億円、営業利益は116億円増益の880億円、当期純利益は60億円増益の523億円を見込んでいます。また、2025年3月期の期末配当は1株あたり40円の予定です。

大きな要因として脱コロナの動きが進み、経済活動が活性化したことが挙げられるでしょう。運輸業界にとって追い風となり、旅客運輸収入が増加した影響で前年度から増収増益となりました。また、伴ってインバウンドの増加も、収益を押し上げる要因と考えられるでしょう。

また決算状況を見ると、オフィス街を中心とした都心5区において、昨年度から利用者数が約8万人増えています。リモートワークを部分的に解除する企業が増え、出勤者が増えたことも、増収増益の要因と考えられるでしょう。

上場後の株価

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上場後の東京地下鉄の株価は1,600円台前半から1,700円台前半のレンジで推移しています。公開価格は1,200円だったことを考えると、堅調に推移していると考えられるでしょう。

一般的に鉄道株は株価が大きく変動しないディフェンシブ株とされますが、近年起こったコロナ禍のように、利用者が急減すると収益も大幅に悪化します。

上場してから間もないためデータが不十分ではありますが、東京地下鉄に関しても鉄道利用者が減少する出来事が起こると、収益が悪化するリスクを織り込む必要があるかもしれません。

競合他社との財務データを比較

企業の株式を検討する際には、競合他社と比較して投資対象の株価が割安なのか判断することが大切です。

以下で、東京地下鉄と競合他社の財務データを比較しました。

  東京地下鉄(9023) JR東日本 (9020) JR西日本(9021) 小田急電鉄(9007)
株価 1,698円 2,896円 2,671.5円 1,604円
PER 19.0倍 14.6倍 12.1倍 12.3倍
PBR 1.46倍 1.16倍 1.14倍 1.19倍
配当利回り 2.3% 1.8% 2.8% 1.9%
営業利益 880億円 3,700億円 1,700億円 420億円
経常利益 767億円 3,150億円 1,555億円 410億円
当期純利益 523億円 2,100億円 1,000億円 380億円

※各指標は11月14日時点、筆者調べ。利益予想は通期。

東京地下鉄のPERとPBRは競合他社と比較して高く、相対的に割高の状況といえるでしょう。
上場したばかりで注目を集めており、さらに配当や株主優待を実施しているため、個人投資家からの人気が集まっている点が影響していると考えられます。

東京地下鉄の株主優待

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近年人気の株主優待制度を東京地下鉄も導入しており、3月末と9月末の年2回にわたって優待を実施しています。

3月末・9月末時点で2単元(200株)以上所有している場合は、所有株式数に応じて株主優待乗車証が発行されます。

所有株式数 乗車証の種類 発行枚数(3月末、9月末)
200株以上400株未満 全線きっぷ(片道 1 回限り) 3枚
400株以上600株未満 全線きっぷ(片道 1 回限り) 6枚
600株以上800株未満 全線きっぷ(片道 1 回限り) 9枚
800株以上1,000株未満 全線きっぷ(片道 1 回限り) 12枚
1,000株以上3,000株未満 全線きっぷ(片道 1 回限り) 15枚
3,000株以上5,000株未満 全線きっぷ(片道 1 回限り) 45枚
5,000株以上10,000株未満 全線きっぷ(片道 1 回限り) 75枚
10,000株以上 全線定期乗車証 1枚

※筆者調べ

さらに3月末時点で2単元(200株)以上所有している場合、株主優待乗車券に加えて、東京地下鉄の関連施設で利用できる優待券ももらえます。

  • ECサイト「メトロの缶詰」300 円引きクーポン券1枚
  • 「地下鉄博物館」無料招待券5枚
  • 「そば処めとろ庵」かき揚げトッピング無料券3枚
  • ゴルフ練習場「メトログリーン東陽町」入場無料券 (平日限定)5枚

日常生活の中で東京地下鉄や関連施設・サービスを利用する機会が多い方にとってはメリットを感じやすい優待といえそうです。

まとめ

東京地下鉄は交通インフラとして社会に大きな価値を提供しており、鉄道事業を中心に安定した収益を得ています。2024年9月中間連結決算は堅調に推移しており、今後の成長も見込まれます。

2024年度が終了すると新しい中期経営計画が策定される予定なので、今後のビジョンを知る際の参考にしてみるといいかもしれません。



【柴田充輝】
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。 FP1級と社会保険労務士資格を活かして多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。


※記事内の情報は2024年11月時点、筆者調べによるもの

※記事内の画像はイメージです

※本記事に掲載されている内容は、あくまで情報提供を目的とするものであり投資行為等の勧誘や、投資による利益を保証するものではありません。最終的な投資判断はご自身で下していただくよう、お願いいたします。