チートデイを活用し、 甘いものを食べても体重5kg減。 脂肪肝からも抜け出せた方法とは？

年齢を重ねるごとに気になってくるのが生活習慣病。今回注目したいのは「脂肪肝」です。

脂肪肝とは、余分な糖質や脂質が中性脂肪に変わり、肝臓に蓄積されている状態のこと。けれど、生活の改善によって状態を良くすることができるものだと知られています。

今回は、脂肪肝と診断されたのちに食事を見直すことで、状況を改善できた人の体験談をご紹介します！

※本記事は尾形 哲著の書籍『専門医が教える 1分で肝臓から脂肪が落ちる食べ方決定版』から一部抜粋・編集しました。

甘いもののちょこちょこ食いで「脂肪肝」に

43歳でややぽっちゃり体型のNさんは、「脂肪肝」と診断されました。お酒もたまには飲みますが、どちらかというとちょこちょこ食べる甘いもので肝臓に脂肪が増えてしまったよう。

主治医の尾形哲医師からは、「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患（MASLD）」というなじみのない病名を伝えられました。これまでは「非アルコール性脂肪性肝疾患（NAFLD）」と呼ばれていたそうですが、飲酒量にかかわらず代謝異常の病態であるため、2024年8月から日本での呼び名が正式に変わったものです。

7％の体重減で脂肪肝が改善

主治医から「体重の7％を落とすことで脂肪肝を改善できる」と聞き、減量生活をスタートしたNさん。受診している脂肪肝・肥満の専門外来で、8割の患者さんが3か月で5kg減を実現しているという食事法を実践しました。

食事前にはコップ1杯の水を飲み、ご飯は茶碗半分の70gにとどめるものの、肉や魚、野菜はたっぷり食べられる献立で、最初の1カ月で2kg減。体重が減る喜びにあふれて継続できましたが、ある日を境にパタッと体重が減らなくなったのです。

チートデイが停滞期を抜け出すきっかけ

困ったNさんが主治医に相談すると、停滞期に入っているので「チートデイ」を作るようにアドバイスされました。食事で摂取する糖質量が減ると、体は「省エネモード」になって消費エネルギーを減らしてしまうため、この時期に食事を減らすのはかえって逆効果になるそうです。

チートデイを取り入れて食事制限を解放することで、「体には糖質が十分にある」と脳をだませます。すると、体が基礎代謝量を落とさなくなるので、停滞期から抜け出しやすくなるのだとか。たまたま友人との会食があったので、その日はチートデイと割り切って食事を目一杯楽しんだところ、また体重が減り始めたんだとか！

甘いものはゼロにせず、上手に食べる

食事スタイルには慣れましたが、甘いものをガマンし続けることにつらさを感じて、再び主治医に相談。すると、「ゼロにする必要はない」という驚くべき答えが返ってきました。好きなものを食べられないことはストレスを増やし、人生の楽しみを奪ってしまう。それでストレスが増えると、ドカ食いしてリバウンドの原因になりかねないというのです。

そこで、主治医のアドバイスにしたがって、食べる量を半量にすることから始めることに。そこから、食べる頻度を減らしていきました。間食は糖質量10g以下が目安。栄養表示を見て量を守れば、分包型のチョコレート菓子1枚やクッキー1個も食べられることが喜びになったそう。

食べるタイミングについては、ランチ後にすることで血糖値の急激な上昇を抑えやすいと知り、実行するようになりました。かつては夕食後にもデザートを食べていましたが、夜は脂肪をためやすいので、「あとは寝るだけ！」を口グセにしてお腹がすいたら早めに寝るように。

こうして3か月で体重を5.4kg落としたNさん。脂肪肝からも脱却しました。

文=江山 彩

【著者プロフィール】

尾形 哲

肝臓外科医。長野県佐久市立国保浅間総合病院外科部長、同院「スマート外来」担当医。医学博士。「スマート外来」は肥満解消と脂肪肝・糖尿病改善のための専門外来。著書に『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術』、『専門医が教える 1分で肝臓から脂肪が落ちる食べ方決定版』（いずれもKADOKAWA）などがある。

著＝尾形 哲／『専門医が教える 1分で肝臓から脂肪が落ちる食べ方決定版』