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公開20周年の人気作『ラブ・アクチュアリー』ほか 最高にハッピーな気分が味わえるクリスマス映画選

  • 2024.12.6

もうすぐ、クリスマス。恋人と過ごすイベントのリサーチに追われる人もいれば、家族へのプレゼントに頭を悩ませている人、スケジュールは白紙のままの人もいるかもしれない。クリスマスの過ごし方は、人それぞれ。

でも、年末年始を控え、気分を盛り上げてくれる優れもののアイテムを知っていれば、ちょっぴり心が温かくなるというもの。これからの季節にオススメの名作映画(一部、珍品も含む)を紹介しよう。

どれも、観た人を最高にハッピーな気分にしてくれる作品ばかりだ。

ヒュー・グラントら19人のキャストが織り成す群像劇

『ラブ・アクチュアリー』より。ヒュー・グラントは英国首相役
(c)2003 WT VENTURE LLC.ALL RIGHTS RESERVED. 『ラブ・アクチュアリー』より。ヒュー・グラントは英国首相役

クリスマス向けのロマンティックコメディとして、多くの人から愛され続けているのは、リチャード・カーティス監督の『ラブ・アクチュアリー』(2003年)だ。日本での公開20周年を記念して、『ラブ・アクチュアリー 4Kデジタルリマスター』が12月6日(金)より劇場公開される。すでに観たことのある人でも、さまざまな世代のキャラクターが登場する群像劇なので、前回とは違った人物やエピソードに感情移入したり、新しい発見もあるに違いない。

ビートルズの「オール・ユー・ニード・イズ・ラブ」、マライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」、ビーチボーイズの「神のみぞ知る」などの名曲の数々が物語を彩っている。年齢に関係なく楽しめる作品だろう。

総勢19人に及ぶキャラクターたちが繰り広げる大楽団のような物語だが、その中心になっているのは若くして英国首相に選ばれたデイヴィッド(ヒュー・グラント)。誠実な人柄だが、仕事が忙しく、まだ独身のまま。首相官邸入りしたデイヴィッドは、新人スタッフのナタリー(マルティン・マカッチョン)にひと目惚れしてしまう。

彼女が淹れてくれた紅茶を飲むだけで、デイヴィッドは胸がときめいてしまう。クリスマスイブ当日、意を決したデイヴィッドは官邸を飛び出し、ナタリーが両親と暮らす実家へと公用車を走らせる。他にも往年のロック歌手役で熱唱するビル・ナイ、義理の息子との関係に頭を悩ませる中年男役のリーアム・ニーソン、結婚したばかりの新妻を初々しく演じるキーラ・ナイトレイといった多彩なキャストが登場し、さまざまな愛の形が描かれていく。

地道に働く女性たちに向けられたスポットライト

夫(アラン・リックマン)からのプレゼントを受け取るカレン(エマ・トンプソン)
(c)2003 WT VENTURE LLC.ALL RIGHTS RESERVED. 夫(アラン・リックマン)からのプレゼントを受け取るカレン(エマ・トンプソン)

カーティス監督は『フォー・ウェディング』(1994年)や『ノッティングヒルの恋人』(1999年)などの恋愛コメディ映画の脚本家として知られ、『ラブ・アクチュアリー』は初めての監督作。カーティス脚本作にたびたび主演してきたヒュー・グラントが公務と恋愛とのはざまで揺れ動く英国首相を実に人間味たっぷりに、チャーミングに演じている。ポインター・シスターズのヒット曲「ジャンプ」に合わせて、ヒューが踊るシーンは恋する男の高揚感を描いた名シーンだ。

初監督作とは思えないほど、カーティス監督が軽妙に物語をまとめ上げた『ラブ・アクチュアリー』だが、より注目したいのは職場で地道に働く女性たちにスポットライトを当てている点。「下半身のふくよかさ」を気にしているナタリーをはじめ、ミステリー作家・ジェイミー(コリン・ファース)の世話をするポルトガルから来た家政婦のオーレリア(ルシア・モニス)、デザイン会社に長年勤務するサラ(ローラ・リニー)たちに、思いがけない恋愛のチャンスがクリスマスに巡ってくる。

派手さはない彼女たちだが、恋する相手の前では表情がずいぶんと変わってくる。観ている側も、彼女たちが幸せをゲットしてほしいと応援してしまう。専業主婦のカレン(エマ・トンプソン)も、共感を呼ぶ女性のひとり。家事と子育てに追われながらも、夫からいつまでも“女”として見られたいという妻の願いを、オスカー女優のエマ・トンプソンが情感たっぷりに演じてみせている。

自分のこと以上に誰かのことを想う気持ちが引き合うかのように、バラバラに進行していた各エピソードがイブの夜にぐんぐんと収束していく展開もお見事。高価なプレゼントは用意できなくても、恋人と呼べる相手がいなくても、自分にとって大切な人に感謝の気持ちを伝えることができれば、それでもう充分ではないだろうか。『ラブ・アクチュアリー』はそんな穏やかな気持ちにさせてくれる。

ニコケイが全力で歌うヘタウマソングにホロリ

クリスマスの奇跡を描いたドラマとして、ニコラス・ケイジ主演の『天使のくれた時間』(2000年)も忘れがたい。米国人がクリスマスシーズンに観る定番映画として有名な『素晴らしき哉、人生!』(1946年)をオマージュした作品。仕事第一で生きてきたビジネスマンが、イブの夜に天使と出会い、もうひとつの人生を生き直すというパラレルストーリーになっている。

ニューヨークで投資会社を経営するジャック(ニコラス・ケイジ)には、かつて最愛の恋人・ケイト(ティア・レオーニ)がいた。しかし、ジャックは仕事上のキャリアを優先し、ケイトを残してロンドンへと旅立った過去があった。ビジネスの世界で成功し、高級マンションで暮らすジャックだったが、今も独身のまま。ひとりぼっちで迎えたイブの夜、ちょっとした善意を見せたことから、思いがけない姿をした天使(ドン・チーゲル)に「もうひとつの人生」を体験させてもらう。

ジャックが目覚めると、ベッドの横で眠っていたのは、別れたはずのケイトだった。もうひとつの人生では、庶民派の弁護士になったケイトとジャックは結婚し、狭いマイホームながらも2人の子どもに恵まれた幸せな生活を送っていた。ジャックはケイトとの清貧の暮らしを選ぶか、リッチな現実の世界に戻るかの選択を迫られることになる。

劇中、ケイトの誕生日パーティで、ジャックは感謝の気持ちを込めて1960年代のヒット曲「ララは愛の言葉」を歌う。ヘタウマな歌唱だが、全力で歌う姿から妻への飾らない愛情がありありと伝わってくる。ジャックが天使の魔法から解けた後のラストシーンも後味がいい。交際中の恋人がいるものの結婚をためらっている人に、ぜひ観てほしい作品だ。

クリスマス休暇中に運命の相手と遭遇?

欧米では、年末に2週間程度の休暇をとる人が多いらしい。その休暇中、お互いの自宅を交換しようというのが「ホーム・エクスチェンジ」と呼ばれるシステム。ホテルの宿泊費を払うことなく、旅先で長期休暇を楽しめることから、欧米ではけっこう流行しているとのこと。この「ホーム・エクスチェンジ」によって思いがけないロマンスが誕生するのが、キャメロン・ディアスとケイト・ウインスレットが共演したコメディ映画『ホリデイ』(2006年)だ。

ナンシー・マイヤーズ監督はロバート・デニーロとアン・ハサウェイが共演したヒット作『マイ・インターン』(2015年)でも知られる女流脚本家&監督。女性たちがイメージする「こんな素敵な出会いがあれば」という夢を、LAとロンドン郊外にある田舎町サリーを舞台にした2つのラブストーリーとしてテンポよく紡ぎ出している。

LAにいるアマンダ(キャメロン・ディアス)は、映画の予告編を制作する会社の経営者。ホームシアターにプール付きの豪邸で暮らしているが、仕事に追われている間に浮気していた彼氏にブチ切れてしまう。気分転換の必要を感じたアマンダは、思い切って年末は長期旅行に出かけることを思いつく。

一方のアイリス(ケイト・ウインスレット)は、ロンドンの新聞社で働く女性記者。長年交際していた職場の同僚の不誠実な態度に傷ついたアイリスは、インターネット上で知り合ったアマンダと2週間限定で自宅を交換することに。厚手のコートが必要な冬のロンドンと違い、LAの暖かい気候に驚くアイリスだった。

雪に閉ざされた田舎町で暮らし始めたアマンダは、超イケメンで危険な匂いを漂わせるグレアム(ジュード・ロウ)といいムードに。アイリスは映画音楽の作曲家・マイルズ(ジャック・ブラック)と意気投合する。恋愛体質のハリウッドガールとロンドン育ちの堅物レディとが、それぞれ情熱的な恋愛と友情から始まる穏やかな関係性を育んでいく。

気軽に楽しめるロマンティックコメディながら、アイリスが近所に暮らす老脚本家(イーライ・ウォラック)に親切に接したことから人間関係が好転していくシークエンスが印象的だ。自分のことしか考えない人よりも、他人のことを思いやる人に、この季節の天使たちは微笑んでくれるらしい。

男だけで過ごす聖夜がとんでもないことに

クリスマスシーズンの大定番として『クリスマス・キャロル』も挙げられる。お金にがめつい主人公がクリスマスに改心するディケンズの小説をもとに、いくつもの映画やアニメが制作されてきたが、いちばんぶっ飛んでいるのが『ナイト・ビフォア 俺たちのメリーハングオーバー』(2015年)だろう。酩酊した3人の男たちが、NYでハメを外しまくる爆笑コメディだ。

10年前に両親を亡くしたことから、売れない音楽家のイーサン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、幼なじみのアイザック(セス・ローゲン)とクリス(アンソニー・マッキー)の3人でイブの夜を過ごし、バカ騒ぎするのが恒例行事となっていた。だが、アイザックは結婚し、もうすぐ父親になる。NBA入りしたクリスは人気プレイヤーとして活躍していた。3人で集まって大騒ぎするのは、もう今年でおしまい。最高のクリスマスにしようと、盛り上がるイーサンたちだった。

ディケンズの『クリスマス・キャロル』は幽霊が現れ、主人公を過去・現代・未来へと誘うが、『ナイト・ビフォア』では高校時代にお世話になった売人からもらったドラッグで、イーサンたちは過去・現代・未来へとトリップする。他の『クリスマス・キャロル』と違って、お説教めいたところがまったくないのがいい。

3人が着込むセーターのあまりのダサさに思わず笑ってしまうが、米国ではあえてダサいセーターを着て、SNSにアップするのがお約束とのこと。実話をベースにした感動作『50/50 フィフティ・フィフテイ』(2011年)でも共演したジョセフ・ゴードンとセス・ローゲンの暴走ぶりが楽しめる。あまりお上品ではない台詞が飛び交うので、その点はご注意のほどを。

ズーイー・ディシャネルのかわいらしさは特筆もの

最高にゴキゲンなクリスマス映画といれば、これで決まり。ウィル・フェレル主演のコメディ映画『エルフ サンタの国からやってきた』(2003年)。共演は『(500)日のサマー』(2009年)で大ブレイクしたズーイー・デシャネルで、彼女のかわいらしさは特筆ものだ。笑いとキュートさがたっぷりと詰め込まれ、観る人みんなを豊かなイマジネーションの世界へと誘ってくれる。

バディ(ウィル・フェレル)は赤ちゃんのころにサンタクロースのプレゼント袋に紛れ込んでしまい、サンタが妖精たちと暮らす北極で育てられた。大人になったバディは、人間の世界に本当の父親がいることを知り、現代のNYへと向かう。

父親のウォルダー(ジェームズ・カーン)には出会えたものの、純真無垢のまま育ったバディは行く先々で珍騒動を巻き起こしてしまう。いつまでも妖精の格好をしたままのバディに、ウォルターはそっけない。そんな中、デパートを訪ねたバディは、クリスマス商品売り場で働くジョヴィー(ズーイー・デシャネル)と出会い、懇意になっていく。

ウィル・フェレルが『俺たちニュースキャスター』(2004年)や『俺たちフィギュアスケーター』(2007年)などの大ヒットを飛ばす前に主演したファンタジーコメディ。身長190cm以上ある長身のフェレルが、小さな妖精たちと共同生活を送る序盤から笑ってしまう。妖精たちの社会では落ちこぼれだったバディだが、人間社会では次々と奇跡を起こしていく。

人間がみんな、サンタクロースの存在を信じなくなったために、サンタの橇は空を飛べなくなってしまった。そんなサンタを救おうと、バディは懸命に体を張る。バディと知り合った人たちも、彼のことを放っておけなくなってしまう。童心を忘れずにいることの大切さに気づかせてくれるクライマックスが、なんとも心地よい。

ポップデュオ「シー&ヒム」としても活躍するズーイー・デシャネルだが、劇中で彼女が歌うクリスマスソングも必聴もの。家族で楽しむのもいいし、ひとりで楽しむのもいい。もちろん、恋人と一緒に楽しむのもありだ。ただし、ギャグシーンでドリンクを吹き出さないよう充分に気をつけたい。

今回ご紹介したクリスマス映画のDATA

『ラブ・アクチュアリー 4Kデジタルリマスター』
監督・脚本/リチャード・カーティス 音楽/クレイグ・アームストロング
出演/ヒュー・グラント、アラン・リックマン、エマ・トンプソン、コリン・ファース、リーアム・ニーソン、ローラ・リニー、マルティン・マカッチョン、ビル・ナイ、キーラ・ナイトレイ、ローワン・アトキンソン
配給/シンカ 12月6日(金)より新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下、ヒューマントラストシネマ有楽町、グランドサンシャイン池袋ほか全国公開
(c)2003 WT VENTURE LLC.ALL RIGHTS RESERVED.

『天使のくれた時間』
監督/ブレット・ライナー 脚本/デヴィッド・ダイアモンド、デヴィッド・ウェイスマン
出演/ニコラス・ケイジ、ティア・レオーニ、ドン・チードル、ジェレミー・ピヴェン
2001年公開 Amazon Primeビデオ、U-NEXTほかで配信中

『ホリデイ』
監督・脚本/ナンシー・マイヤーズ 音楽/ハンス・ジマー
出演/キャメロン・ディアス、ケイト・ウィンスレット、ジュード・ロウ、ジャック・ブラック、イーライ・ウォラック
2006年公開 U-NEXT、Amazon Primeビデオほかで配信中

『ナイト・ビフォア 俺たちのメリーハングオーバー』
原案・脚本・監督/ジョナサン・レヴィン
出演/ジョセフ・ゴードン=レヴィット、セス・ローゲン、アンソニー・マッキー、マイケル・シャノン、ジェームズ・フランコ、マイリー・サイラス
2015年公開 Netflixで配信中

『エルフ サンタの国からやってきた』
監督/ジョン・ファブロー 脚本/デイヴィッド・バレンバウム
出演/ウィル・フェレル、ズーイー・デシャネル、ジェームズ・カーン、メアリー・スティーンバージェン
2003年公開(日本ではビデオスルー) UーNEXT、Amazon Primeビデオほかで配信中

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