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『ラブ・アクチュアリー』キャストの今 幼き“サム”演じた俳優は今も活躍中<日本公開20周年>

  • 2024.12.6
映画『ラブ・アクチュアリー』ポスタービジュアル (C)AFLO width=
映画『ラブ・アクチュアリー』ポスタービジュアル (C)AFLO

日常にあふれる様々な形の「ラブ」を描いた『ラブ・アクチュアリー』が、日本公開20周年を記念して色鮮やかな4Kデジタルリマスターとなって劇場に戻って来る。愛を描かせたら右に出るものなしのリチャード・カーティスが脚本を手掛け、イギリスを代表する名優が勢ぞろいする本作は、何度見ても温かい気持ちになるクリスマスの名作。キャストの今を、映画にあやかって「ラブ」も含めて紹介しよう。

【写真】『ラブ・アクチュアリー』出演シーン→現代の姿を交互に見比べ

■ヒュー・グラント

日本にもこんなにキュートな首相がいたら…と思わずにいられない、恋する英国首相を演じたヒュー・グラント。当時はロマコメの帝王として女性たちの心を鷲掴みにしていたが、2012年公開の『クラウド アトラス』でキャリア初となる悪役を演じたのをきっかけに、クセ強の役どころを演じる性格俳優に転身。『パディントン2』では監督がヒューを想定して書いたという「落ち目の二枚目俳優」を熱演し、ドラマ『フレイザー家の秘密』では、表面的には理想の夫、実はサイコな殺人犯という役どころを演じてエミー賞にノミネート。さらに最新作『Heretic(原題)』は宗教ホラーだ。

またプライベートでも、長く独身貴族として名を馳せ、売春婦との行為で警察のお世話にもなったこともあったのに、子どもを授かったことでこれを返上。5人の子どもを持ち、うち3人の子の母であるスウェーデン出身のプロデューサー、アナ・エバーステインと結婚。うるさい子ども達から逃げるためにトイレに隠れるなどと語り、持ち前のシニカルさで隠しながらも良きパパぶりが伝わってくる。

■リーアム・ニーソン

妻を亡くして涙にくれつつ、残された妻の連れ子を心配するダニエル。演じたのは、スピルバーグ監督作『シンドラーのリスト』でアカデミー主演男優賞候補となり、母国アイルランドの英雄を演じた『マイケル・コリンズ』で、ベネチア国際映画祭男優賞を受賞したリーアム・ニーソン。

50代で出演した『96時間』(2008)が大ヒットを記録し、アクション俳優としての地位を確立。これまで何度かアクション映画からの引退を示唆しているが、72歳となった今年も、11月にはアメリカで『スノー・ロワイヤル』のハンス・ペテル・モランド監督と再タッグを組んだ『Absolution(原題)』を公開。夏にも、ザッカリー・リーヴァイ共演のガイ・モシェ監督作『Hotel Tehran(原題)』の撮影を行っており、まだまだ引く手あまたの様子。

プライベートでは、2009年に妻で女優のナターシャ・リチャードソンを、スキー中の事故で亡くしている。45歳だった。「あんな若さで死ぬなんて」と涙を流す本作のダニエルの姿を重ねると、なんだか切なくなる。

■コリン・ファース

南仏の別荘でポルトガル出身の女性オーレリアと知り合い、言葉が通じないにも関わらず恋に落ちた作家のジェイミー。演じたコリン・ファースは、本作の後も『ブリジット・ジョーンズ』や『マンマ・ミーア!』、『キングスマン』シリーズといった話題作に続々出演。2009年の『シングルマン』でアカデミー賞主演男優賞候補になり、翌年の『英国王のスピーチ』で同賞を獲得した。また2022年には『ザ・ステアケース ‐偽りだらけの真実‐』で90年代以来久しぶりにドラマシリーズに出演し、エミー賞候補になっている。この後も『キングスマン』の新作とスティーヴン・スピルバーグ監督の新作、若き日のシャーロック・ホームズを描くドラマシリーズなどが控える。

プライベートでは、イタリア人プロデューサーで環境活動家のリヴィア・ジュージョリと結婚したが、2019年に結婚22年で離婚。リヴィアとの間に生まれた息子ルカとマテオはそれぞれミュージシャン、結婚前に交際していたメグ・ティリーとの間にもうけた長男ウィルは俳優として活躍している。離婚後は、アメリカの脚本家マギー・コーンとの交際しているようだ。

■ローラ・リニー

同僚のカールに片思いをしながらも、家庭の事情でままならないサラを演じたローラ・リニー。本作の翌年に公開された『ユー・キャン・カウント・オン・ミー』でアカデミー賞に初ノミネートされ、その後も、リーアムと共演した『愛についてのキンゼイ・レポート』と『マイ・ライフ、マイ・ファミリー』で同賞候補に。テレビでも、NHKで放送されていた『キャシーのbig C いま私にできること』でエミー賞を獲得、Netfixドラマ『オザークへようこそ』では悪の才能を開花させていく妻を演じ、3年連続エミー賞候補となるなど高評価を受けた。舞台でも活躍しトニー賞に5度もノミネートされている。

プライベートでは、テルライド映画祭で知り合ったマーク・シャウアーと結婚し、息子が一人誕生。結婚式で彼女をエスコートし、バージンロードを共に歩いたのは、何度も共演している親友で、妻を亡くしたばかりだったリーアムだった。

■エマ・トンプソン

夫の浮気に心を痛める英国首相の妹カレンを演じたのは、1992年に『ハワーズ・エンド』でアカデミー主演女優賞を受賞し、翌年『日の名残り』と『父の祈りを』で同主演女優賞と助演女優賞にダブルノミネート、脚本を手がけた『いつか晴れた日に』で同脚色賞を獲得した名優エマ・トンプソン。本作の後も『ハリー・ポッター』シリーズや『美女と野獣』などに出演し、『ブリジット・ジョーンズ』シリーズには出演だけでなく脚本家としても参加するなど、多才ぶりを発揮している。

そんな彼女もプライベートでは、カレン同様実は元サレ妻。俳優で映画監督のケネス・ブラナーと結婚していたが、彼がヘレナ・ボナム=カーターと不倫関係になり離婚した。夫から他の女性へのプレゼントを発見してしまうエピソードは、なんと彼女の実体験を基にしたものだそう。でもご心配なく。彼女はその後、オスカーを手にした『いつか晴れた日に』で共演したグレッグ・ワイズと再婚。昨年の英国アカデミー賞でも仲良くツーショットを披露している。

『ハリポタ』で大人気の先生も出演していた

■アラン・リックマンさん

家庭があるのに部下に浮気心を抱くデザイン会社社長を演じたのは、『ハリー・ポッター』シリーズのスネイプ役でおなじみのアラン・リックマンさん。『ダイ・ハード』の悪役で鮮烈な映画デビューを果たした彼は、本作の後も『アリス・イン・ワンダーランド』シリーズや『大統領の執事の涙』などに出演。舞台でキャリアをスタートさせた彼は、トニー賞に2度ノミネートされ、映画監督も務めるなど幅広く活躍したが、惜しくも2016年にすい臓がんのためにこの世を去った。69歳だった。

2022年には彼の遺した日記「Madly, Deeply: The Diaries of Alan Rickman(原題)」が出版された。90年代から書き貯めていた日記には、『ハリー・ポッター』シリーズの舞台裏や、本作撮影中の記録もあり、エマの夫がセットに来ていたのに会えなかったという記述がある。長い交際を経て2012年に結婚した政治家のリマ・ホートンや、親しかったエマが序文を執筆している。

■キーラ・ナイトレイ

夫の親友の秘めた想いを知ってしまった新婚のジュリエットを演じたのは、本作と同年に公開された『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』で世界的ブレイクを果たしたキーラ・ナイトレイ。当時17歳だった彼女はこの後、『プライドと偏見』で20歳にしてアカデミー賞に初ノミネート。『つぐない』や『わたしを離さないで』といった名作に出演し、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』で再びアカデミー賞候補になった。最新作はNetfixドラマ『ブラック・ダヴ』。

2013年にミュージシャンのジェイムズ・ライトンと結婚し、子どもが2人誕生しているキーラだが、本作公開の頃付き合っていたのは、後に『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』でセンセーショナルを巻き起こしたジェイミー・ドーナン。当時急激に有名になった彼女は、メディアに体型を揶揄されるなど辛い目に遭ったが、家族や友人、「素敵なボーイフレンドたち」のおかげで助けられたと語っている。また最近のインタビューでは、渋滞にはまった際、隣り合わせた車に乗る作業員から、本作のジュリエットの様にカードボードでメッセージを贈られたことを告白。「ブキミだけどスウィートだった」そう。

■ビル・ナイ

過去曲をリメイクした「クソみたいな曲」で再起を図る元ロックスター、ビリー・マック。演じたビル・ナイは本作で英国アカデミー賞助演男優賞を獲得。ビリーとは異なり、1981年に映画デビューして以来途切れることなく映画やテレビ、舞台で活躍し、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのような大作から『MINAMATA‐ミナマタ‐』のような独立系、文芸作品からコメディ映画まで幅広く出演している。

2022年には黒澤明監督の『生きる』をリメイクした『生きる LIVING』で、アカデミー主演男優賞に初ノミネート。74歳になった今年だけでも、『オーメン ザ・ファースト』やNetfix映画『joy 奇跡が生まれたとき』など、声の出演を含め9作品も公開された。プライベートでは、俳優のダイアナ・クイックと長く交際し、俳優として活躍する娘メアリーが誕生したが、2008年に破局。最近は米VOGUEの編集長アナ・ウィンターとのロマンスがウワサに。

■トーマス・ブロディ=サングスター

母を亡くして塞ぎ込んでいると思ったら、実は片思いに悩んでいたというダニエルの義息子サム。演じたのは撮影当時13歳だったトーマス・ブロディ=サングスター。

子役はキュートなほど、大人の俳優への移行が難しいところだけれど、彼は本作の後も順調に活躍。3年後に公開された『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』で若き日のポール・マッカートニーを演じ、その後も『ゲーム・オブ・スローンズ』や「メイズ・ランナー」シリーズ、『クイーンズ・ギャンビット』など話題作に続々出演。この11月には、2015年に出演したドラマ『ウルフホール』が約10年ぶりにシーズンを更新し、ラルフ・サドラー役でカムバックを果たした。

両親ともに俳優という芸能一家に育った彼は、ヒューと曾祖母が姉妹という親戚同士。イーロン・マスクの元妻としても知られる俳優のタルラ・ライリーと今年結婚し、イギリスの郊外の農場で静かな暮らしを楽しんでいるそう。

実は本作、2017年にチャリティ企画で、続編の短編映画『レッド・ノーズ・アクチュアリー』が公開されている。俳優だけでなくキャラクターのその後を少し紹介すると、ダニエルは数年ぶりに英首相に返り咲き、官邸で再びダンス。ジェイミーはまだ、オーレリアと今一つ言葉が通じない。幼かったサムはすっかり大人になり、渡米して片思いしていた彼女と結婚するそう。そして孤独だったサラ。遅くまで残業している所は変わらないけれど、パトリック・デンプシー演じるイケメン夫ができた様子! 本当に良かった。(文:寺井多恵)

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