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当事者になり気づいた「形」の大切さ。だから、私は名字を変える

  • 2024.12.5

もし、自分が結婚することになっても、名字を変えたくないなと思っていた。
だから、選択的夫婦別姓制度の機運が高まる都度、「いけいけもっといけ!」と高校野球の応援スタンドばりに心の中で賛成派を熱く応援し、固唾をのんでその動向を見守ってきたものだ。

◎ ◎

そんな私も、このたびかねてから交際していた彼と結婚することにした。

ついに、私は名字を選択する当事者となった。
私は、自分の名字を変えることにした。
いやいや変えるのではない。変えたくて変えるのだ。

◎ ◎

私がこれまで名字にこだわってきた理由。
それは、親は名字との相性を考慮して下の名前をつけてくれたからとか、名字が変わって周りに混乱を与えたくないし何だか恥ずかしいからとか、変更の手続きが面倒だからとか色々あるが、一番はこれまで名乗ってきた自分の名字が好きだからだ。
また、だからといって相手に自分と同じ名字を名乗ってほしい訳でもなかった。だから、「夫婦それぞれ名字変えなくていいんじゃないの?同じ名字かどうかってそんなに大事なの?」と思っていた。

今も、夫婦は同じ名字じゃないとだめだなんて、思っていない。
私自身がただ「相手の名字を名乗りたい」と思うようになっただけだ。

◎ ◎

結婚は形じゃない。お互いの気持ちが本質だと信じてきた。
だから、プロポーズという儀式も、婚約指輪の授受という儀式も、固く辞退させていただいた。
今も気持ちこそが、一番の本質だと思う。けれど、当事者になって、これまで「形」だと思ってきたものの大きさを知った。

結婚が決まって、親、職場、友人に報告し、周りから夫婦というペアとして認識されるようになって、自分の結婚を自覚した。
また、結婚指輪も高いし、そのうちつけるのやめそうだし買わなくていいかなんて思っていたけれど、いざ指にはめてみると笑みがこぼれた。トイレの鏡にふと、薬指に指輪をはめた自分の手が映った。試しに、その手を自分の頬に寄せ、指輪お披露目ポーズをとってみた。我ながらとんでもなく幸せそうな顔をしていた。

◎ ◎

かねてから名字というものにこだわりがあった私。
私の信念を尊重したいという彼。
「選択的夫婦別姓制度よくね?それまで事実婚状態でいて、制度が実現したら婚姻届出そうぜ」なんて話を二人でしていた。

けれど、結婚の準備を進めるにつれて、周りに夫婦になる人たちと見られるようになって、早く夫婦になりたいと思うようになった。
早く婚姻届を出したい、早く同じ戸籍に入りたいという気持ちが強くなった。
この気持ちを、大切にしたいと思った。
そして、この気持ちは、名字が何かよりも大事なものだと思った。名字もたかが形の一つだと。

◎ ◎

試しに、紙に彼の名字に私の名前をあてて書いてみた。そしてそれを何度か唱えた。悪くないなと思った。
仕事の帰り道、歩きながら、彼の名字になった自分の名前を心の中で唱えてみた。やっぱり悪くないなと思った。
そして同時に、なんだか嬉しい気持ちにもなった。

夫と同じ氏を妻が名乗る。妻が結婚により氏を変える。
旧時代の家制度の名残のような慣習だし、無くなってしまえばいいのになんて思ったこともあった。
でも、いざ自分が当事者になって、好きな人と同じ名字を名乗ることに幸せを感じる自分に気が付いた。

◎ ◎

私は自分の名字を変えることにした。
それは、名字は私にとって、たかが形の一つであり、大事な形の一つでもあるからだ。

他の人にとっても、名字は大事な形の一つだと思う。だからこそ、名字への個々の思いがもっと尊重されるべきだ。制度は関係なしに、自分たちの意思だけで、名字を選べるようになったらいいと思う。

私は名字を変えることにした。
けれど、名字をもっと自由に選べる結婚の実現を、今も変わらず願っている。
「いけいけもっといけ!」と熱いエールを、これからも送りたいと思う。

■ぽいのプロフィール
そばよりうどん派、ねこよりいぬ派と言いつつ、そもそもこわくて動物触れません。 外向型HSP(社交的なとても敏感な人)。考えすぎで気にしいだけど、人と関わるのが好き。

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