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韓国で戒厳令布告!歴史的大事件の中、遠征中の神戸サポーターは…

  • 2024.12.4
韓国で戒厳令布告!歴史的大事件の中、遠征中の神戸サポーターは…
韓国で戒厳令布告!歴史的大事件の中、遠征中の神戸サポーターは…

Text by 久保村輝彦

12月3日AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)のリーグフェーズ第6節で韓国の浦項スティーラーズと対戦したJ1ヴィッセル神戸。J1優勝がかかったリーグ戦を今週末に控える神戸はサブメンバー主体で挑み、これまで全勝だったACLEリーグフェーズで初黒星となった。

試合終了後、そんなヴィッセル神戸に思わぬアクシデントが降りかかった。

3日夜に韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が国内に戒厳令を布告した。

戒厳令は1979年に当時韓国の大統領を務めていたパク・チョンヒ(朴正煕)大統領が暗殺されたときをはじめ、軍部独裁政権時代の韓国において、軍事クーデターが起こった際に布告されるもので、民主化を求める国民を大量虐殺した『光州事件』の再来を危惧する声もあった。

しかし、布告から数時間で野党議員を中心に190人の議員(韓国国会の定数は300人)が集結し、戒厳令の解除要求を全会一致で議決。

現在、事態は一旦の終息の様子を見せている。

事案発生当時、神戸のスタッフ・選手や応援に駆け付けた一部のサポーターは韓国国内に滞在しており、彼らの安否や帰国の可否について心配する声も挙がっていた。

今回Qolyは韓国に遠征した2人の神戸サポーターに取材を実施。事案当時の様子や帰国の可否について話を聞いた。

意外と落ち着いていた韓国国内

事案発生時、SNS上では、戒厳令に抗議する民衆と韓国軍が対峙する様子や、ソウル上空に飛来する軍用ヘリコプターなどの動画が数多く投稿されており、緊迫する韓国国内の様子が日本にも伝わった。

試合後、浦項(ポハン)から釜山(プサン)に移動する高速バスに搭乗していたサポーターのOさんは、この戒厳令をSNS上で知ったという。しかし、夜遅くだったこともあり、バス車内は騒然とはならず、寝ている乗客も多かった。

釜山到着後も状況は変わらず、テレビでは戒厳令に関する報道を行っていたものの、一部の局では平常通りK-POPの放送を行っていたという。

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今回取材したもう一人のサポーターであるHさんも、SNS上で情報を知ったと語っており、現代のインターネットにおける情報の拡散力の速さも垣間見えた。

懸念されていた「帰国できるのか」という不安

戒厳令下では、国境が閉鎖されることも多い。そのため、サッカー界ではJ1優勝争い中の神戸が帰国できず、今週末のリーグ戦の実施に支障をきたす懸念もSNS上では散見された。

こうした帰国への懸念についてOさんは「釜山の空港が軍民両用なのでそこが不安でした。飛行機が飛ばない場合にはフェリーの利用も考えていました。フライトレーダーのアプリなどで航空状況を確認していましたし、乗る便が昼だったので朝イチの便に切り替える可能性なども探ったりしていました」と不安な気持ちを語りつつも、過去の海外アウェイ遠征で鍛えられたトラブルへの対応力を見せた。

またツアーで今回のACLE観戦を行ったHさんも「(不安の気持ちは)あるにはあったが、時間が時間だけにできることもないので、とりあえず様子見をしようという気分だった。ホテルでニュースをチェックし、戒厳令の解除が決まったタイミングでひとまず帰国に支障はないと判断した」と語り、帰国に対する不安の気持ちはあったものの、国会で戒厳令解除要求の議決が可決された時点で、帰国できると考えていたようだ。Hさんによると、その後、ツアーコンダクターからフライトは予定通り運航される旨も伝えられたという。

なお両氏ともに当初のスケジュール通り、翌4日中に帰国を果たしている。

今回試合が実施された浦項市は、騒動の中心地となった韓国の首都ソウルから約250km離れた場所にある。両氏の証言からも分かるように、ソウルを除いた韓国国内では、完全な日常とまではいかないものの、平穏な状況にあったようだ。

韓国で戒厳令布告!歴史的大事件の中、遠征中の神戸サポーターは…
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海外などでテロや政権転覆などが発生した際は、外務省や日本大使館から安否確認の連絡などが行われることもあるが、両氏はいずれも日本の公的機関からの直接の連絡などは受け取っていなかった。

韓国サッカーへの影響は

韓国メディア『OSEN』によると、戒厳令布告後、韓国国内ではイベントの中止が相次いだという。

また同メディアは、集会やデモなどが規制される戒厳令下でも、政治的性格の少ないプロスポーツは制限されないとしながらも、戒厳司令部の解釈次第では試合開催が制限される可能性もあると語った。

そのため戒厳令が中止されない可能性に備え、昨夜の韓国プロスポーツ関係者は事態に対し固唾を飲んで見守っていたという。


しかしながら、戒厳令が中止された現在、Kリーグやアジアサッカー連盟(AFC)から試合の中止などの声明は行われておらず、試合は予定通り実施される見込みだ。

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