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【ニットやセーターは自宅で簡単に洗える!】 洗濯のプロが教える正しい洗い方と、汚れの種類別しみ取りのコツ

  • 2024.12.4

冬の汚れ落としについて教えてくれたのは…

洗濯ブラザーズの長男 茂木貴史さん

東京・世田谷にあるLIVRER MISHUKUの店内では、オリジナル洗剤を販売し、量り売りにも対応。
洗濯ブラザーズとは?
長男・茂木貴史らによる、毎日の洗濯をハッピーにするプロ集団。国内外の有名アーティストの衣装クリーニングを担当。横浜と三宿でクリーニング店を営むほか、オリジナル商品の開発も。

衣類の9割は自宅で洗えます!

冬物のおしゃれ着は、なるべくきれいに着たいけれど、クリーニングに出すのは面倒だしお金もかかる。そもそも、どれくらい汚れているのかよくわからない……なんて思っている人が多いかも。
 
 

  • 「実は、クローゼットの中の衣類の9割は自宅で洗うこともできます。ニットやウールも、正しい方法を知っていればちゃんと手洗いできますよ」
     
    茂木さん

一見、汚れていなそうなニットでも、水洗いをすると思いのほか汚れが浮いてくることがあります。汗や皮脂の汚れはもちろん、排気ガスなども衣類についているので、シーズン中も家で洗うのがおすすめ。

  • 「繊維を傷めたり、ニットが縮んだりしない洗い方をマスターしましょう」
    茂木さん

まずは汚れの種類を分類! 家で簡単にできるしみ取り4つのポイント

うっかり服についてしまったしみ、これは落ちるんだろうか……と不安になることも。

  • 「私たちは、ついてすぐならしみではなく汚れと考えます。繊維の表面にだけついているので、比較的落としやすいからです。1週間以上たって、汚れが繊維の奥に入り込み、酸化して固まってしまったものがしみで、落としにくくなります」

つまり、しみとの戦いは時間との勝負ということ。
また、しみのついたものを洗濯機で洗って完全に落ちないまま乾燥機にかけてしまうと、乾燥機の熱でしみが固着します。洗ったあとは、しみがちゃんと落ちているかを確認し、ダメならもう一度しみ抜きしましょう。

#01 ヨゴレの種類を分析してみる

汚れの種類は、大きく分けて油性、水溶性、不溶性の3種類です。いつついた、なんの汚れかわかっていれば、比較的落としやすくなります。ただ、なかなか落ちない、いつついたのかもわからないしみは、いくつかの汚れが層のように重なっている場合があります。
そんなときは、まず弱アルカリ性のプレウォッシュ液で、油性の汚れを落としてみましょう。ちなみに、アクリル絵具や塗料の汚れは衣類が染まってしまっているので、落とすのはほぼ不可能です。

#02 水溶性のヨゴレは22時間以内に対処を

●水溶性のヨゴレ
対処法:水洗いで応急処置
ヨゴレの例:コーヒー、お茶、ジュース、赤ワインほか酒類、しょうゆ、牛乳、卵、汗、尿、血液、花粉、草の汁

水溶性の汚れは、すぐに対処できれば水洗いだけでも充分落とせます。出先でコーヒーやしょうゆをつけてしまったときは、乾いたティッシュペーパーなどで水分を取って、汚れが広がらないようにします。
おしぼりなどで拭くと汚れが広がって、かえって落ちなくなるのでNG。
帰宅してから、プレウォッシュ液をかけて水洗いします。食べこぼしなど、水溶性と油溶性の汚れが混じっている場合は、ぬるま湯に弱アルカリ性洗剤を溶かし、汚れた部分をもみ洗いするのも◎(ウールは常温の水を使います)。

#03 油性のヨゴレはプレウォッシュで対応

●油性のヨゴレ
対処法:弱アルカリ性洗剤のプレウォッシュで対処
ヨゴレの例:口紅、マニキュア、マスカラ、ファンデーション、ボールペン、水性ペン、蛍光ペン、クレヨン、絵具、粘土油、朱肉、ごま油、ドレッシング、チョコレート、機械油など

口紅や油性ボールペンのインクなどの汚れは、プレウォッシュ液をつけて、洗濯ブラシ(ハブラシでもOK)で、トントンと汚れを叩きます。
ブラシでこすると生地を傷めるので、叩くようにして物理的に汚れを浮かしますが、完全に取れるには10 分ほどかかるので、根気よく。洗剤原液だと、濃度が濃くて輪じみになる可能性があるので、水で割ったプレウォッシュ液が◎。
食器洗い用の洗剤で汚れを落とす裏ワザは、生地が傷む可能性があるので、デリケートな衣類では避けたほうが無難です。

#04 不溶性のヨゴレや脱臭には粉洗剤が◎

●不溶性性のヨゴレ
対処法:弱アルカリ性洗剤のプレウォッシュ後、粉末洗剤を溶かした洗剤液に漬け置き
ヨゴレの例:泥、ちり、ほこりなど

油にも水にも溶けないのが、スポーツウェアの泥や靴下についた黒ずみ汚れ。かたまりのまま繊維にこびりついているので、非常に落としにくい汚れです。
この場合も、プレウォッシュ液をかけたあと、汚れの目立つところ中心に汚れが浮くまでトントン叩きます。
次に、液体よりも洗浄力の高い粉末洗剤を、40℃以上のお湯に溶かして、30分~1時間ほど漬け込みます。
汚れが残っている場合は、もみ洗いします。すすがずにそのまま洗濯機で脱水し、そのあとは普段と同じように、洗濯機で洗います。

複合的な汚れにはこう対処して!

油性+水溶性の複合的なヨゴレ
対処法:油性のヨゴレ→水溶性のヨゴレの順に対処
ヨゴレの例:カレー、ミートソース、焼き肉のたれ、ケチャップ、ドレッシングなど

油性+不溶性の複合的なヨゴレ
対処法:弱アルカリ性洗剤のプレウォッシュ後、粉末洗剤を溶かした洗剤液に漬け置き
ヨゴレの例:チューインガム、自転車のチェーンの油など

【ニットのしみ取り+洗濯】をプロがやさしく実演!

\TRY/ ① 汚れている部分にプレウォッシュ

しみのある部分にプレウォッシュ液をかけます。

ブラシでトントン叩く

洗濯用ブラシで、こすらずにトントンと叩きます。汚れが浮いてくるまで根気よく。

POINT
しみがついたり、汚れが気になる部分には、まずプレウォッシュを。プレウォッシュは、水と弱アルカリ性の液体洗剤を1:1で混ぜたものを、スプレーボトルに入れて吹きつけます。しみの部分は、洗濯用ブラシでトントンと叩きましょう。

② 常温の水に洗剤を溶かす

常温の水を、シンクや洗濯タブに張って、中性洗剤(おしゃれ着用洗剤)を溶かします。洗剤の分量は、ボトルの記載量通りに量り、多くなりすぎないように注意。

POINT
温かいお湯のほうが皮脂汚れは落ちるはず……と思いがちですがちょっと待って。
「水温が高いほうが洗浄力が高いのは事実です。でも、ウールのたんぱく質は高温に弱いので、ニットの場合はお湯で洗うと縮んでしまいます。常温の水で洗いましょう」

③ よく泡立てて、押し洗い

手でかき混ぜて泡を立ててから、ニットを入れ押し洗い。洗顔と同じで泡をクッションにすること、衣類はこすったりもんだりしないことが、ダメージを与えないコツ。

④ しっかり水気を切る

泡がついたまま、手で絞って水気を切ります。水気が多いと洗濯機の脱水が途中で止まってしまうので、要注意。

⑤ ネットに入れて脱水1分

軽くたたみ洗濯ネットへ。ネットが大きいときは、中でこすれないように、あまった部分を縛ります。洗濯機の脱水コースを1分。脱水の遠心力で汚れをはがす工程です。

POINT
しっかり汚れを落としたいからと、手洗いするニットを、つい長時間漬け置きしたくなるけれど……。
「デリケートな衣類は、水に漬けているだけでもダメージになり傷んでしまいます。押し洗いした後は、5分ほど放置すれば汚れは分解されます」

⑥ よくすすいでさらに脱水

衣類を取り出してすすぎます。このときもこすらないように、水から出し入れしたり、流水で流してすすぎます。④~⑤の工程をくり返して脱水します。

⑦ 空気が通りやすいようにして乾かす

平干しネットを使うか、ない場合は、ハンガーを2本使って、1本目に首を通し、2本目に身ごろの裾と袖をのせる、おばけ干しがおすすめです。

POINT
ウールやニットは、乾燥機にかけると縮むのでNG。外で陰干しする方法もありますが、気温が低い時季は外のほうがかえって乾きづらい場合も。部屋干しでサーキュレーターを回したほうが、早めに乾いて、衣類のダメージも小さいでしょう。

⑧ スチームアイロンで仕上げ

乾いたあとは、多少しわやヨレが出ているはずなので、スチームアイロンで仕上げます。アイロン面を直接ニットに当てないように注意!

POINT
広げて干した場合でも、乾くと多少のしわは寄っています。そんなときは慌てず、スチームアイロンでのばせばOK。ウールは元に戻る力が強いので、スチームを全体に当てるだけでも、しわは自然にのびてきます。衣替えで出てきたニットにも有効です。

⑧ 完成!

【POINT】 水に漬ける時間はなるべく短く!

ニットを洗うときは、こすらないこと、長時間水に漬けないことがポイント。傷みや縮みを防げれば、しわはスチームで落とせます。

いかがでしたか? 冬のセーターやニットの正しい手入れ法がわかりやすく解説されていましたね。
冬服の洗濯を見直して、きれいな状態でお気に入りの服を長持ちさせてくださいね。

photograph:Mari Yoshioka illustration:Kayo Yamaguchi text:Ema Tanaka
 
リンネル2024年12月号
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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