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28歳で未経験の仕事に「チャレンジした後悔・しなかった後悔」を比較したらドキッとする未来が見えてきた/キャリアアドバイザー えさきまりな

  • 2024.12.3

Woman type13周年特集

28歳、これからの私。

もうすぐ30歳──「素敵な大人」になるために、28歳の今からやっておきたいことって何? サイトオープン13周年を迎えたWoman typeが、「なりたい自分」になるための“28歳のこれから”を一緒に考えます


30歳まであと2年。

やりたい仕事に未経験からチャレンジするなら28歳の今がラストチャンスかも……と転職を考える人も多いのではないだろうか。

一方で、「向いていなかったらどうしよう」「もし失敗したら、30代以降どうなっちゃうの?」と、二の足を踏んでしまうこともあるかもしれない。

ただ、こうした不安は「未来がどうなるか分からない」から湧いてくるもの。それぞれの道を選んだときに、具体的にどうなるのかがイメージできれば、後悔しない選択ができるはず。

そこで話を聞いたのは、過去に1万人以上の女性たちの転職・キャリアチェンジの支援を行ってきたキャリアアドバイザーのえさきまりなさん。

えさきまりなさん

1986年生まれ。2007年短大卒業後、事務職、美容カウンセラーを経て株式会社キャリアデザインセンターへ入社。キャリアアドバイザーとして実績を残し、2020年退職。その後、HR、教育関連のスタートアップで女性向けキャリア支援を行いながら、個人でもキャリアアドバイザーとして転職支援を行う。23年よりアマゾンジャパン合同会社にて労働力調整や労務・採用・研修等HR関連業務を幅広く担当。プライベートでは二児の母

28歳でやりたい仕事にチャレンジした人とそうしなかった人とでは、30代以降の人生にどんな違いが出るのだろうか。

それぞれの人が直面するキャリアの「壁」と、その乗り越え方を教えてもらったら、今すべき選択が浮かび上がってきた。

【比較】28歳で未経験からやりたい仕事にチャレンジした場合・しなかった場合の「その後」

チャレンジした場合に直面する壁
【転職1年目】同僚との力量の差に焦る
【転職2年目】周囲から向けられる目が厳しくなる
【転職3年目】成果を出すことへのプレッシャーが大きくなる

チャレンジしなかった場合に直面する壁
【35歳】コンフォートゾーンを抜けられなくなる
【40歳】やらなかった後悔が膨らむ

28歳で「やりたい仕事」に未経験でチャレンジした場合

最初に、「28歳で未経験の仕事にチャレンジした場合」の未来から見ていきましょう。

キャリアの壁に直面しやすいのは、転職後の3年。

その期間に多くの人がぶつかる三つの壁についてお話ししたいと思います。

【転職1年目】同僚との力量の差に焦る

28歳で新しい分野の仕事に挑戦した人が最初にぶつかるのは、スキル・経験不足による焦りでしょう。

スクールに通ったり独学で学んだりすれば早めにスキルを磨くこと自体は可能ですが、しんどくなってくるのは経験不足に伴うマインド面です。

というのも、新卒入社した同年代の社員たちは、その道で十分な経験を積み、「ベテラン」と呼ばれるようになってきている年齢。中には、中間管理職になっている人もいると思います。

経験に違いはあれど、同世代というだけで社内で比較されてしまうこともあるでしょう。

また、入社2~3年目の若手社員に業務を教えてもらわなければならない場面も出てきます。

そのときに、プライドに邪魔をされたり、「期待されて入社したのに、こんな若手よりできなかったらダメだ」と焦ったりして、素直に相談できなくなってしまう方も多くいらっしゃいます。

対処法

1年目にぶつかるマインド面のしんどさを突破するために大切なのは、とにかく焦らないこと。

企業側も活躍してもらうことを想定して採用したとは言え、入社半年で飛び抜けた成果を出すことを期待していることは少なく、もっと長期的な目線で中途入社者を見ています。

最初の半年間は、まず会社に慣れて、自分のペースをつかむことを目標にするといいでしょう。

入社したばかりはどうしても皆さん、気負いすぎてしまうのですが、最初の目標はあえて「低く」設定することが、この時期を乗り越えるコツです。

【転職2年目】周囲から向けられる目が厳しくなる

2年目になると、成長が早い人であれば、与えられたミッションに応えられるようになっている頃。

私が転職を支援している方たちも、最初の半年間は不安やネガティブなことを口にすることが多いですが、1年たつと成果が出始め、気持ち的にも安定する方が多いようにお見受けします。

この頃に壁にぶつかってしまうのが、「現状維持モード」になってしまう人

先ほど、入社半年で飛び抜けた成果は求められないと話しましたが、2年目以降は「採用した時の期待値」が求められるようになり、評価基準も厳しくなることが多いです。

同時期に入社した新卒社員と同じ成長ペースでいいや、とのんびりしていると、気づいたら周囲から向けられる目が厳しくなっている……。そういうことが起こりやすいのがこの時期。

入社した頃は「未経験だから仕方ないよね」「入ったばかりだからね」と言ってもらえていたのに、急に周囲からの目が厳しくなる。そんなつらさを感じるようになる人が多いです。

対処法

2年目の壁を突破するためには、まず肩を並べ、つるむ相手を間違えないことが重要です。

肩を並べるべきは、同期入社の新卒社員たちではなく、同世代やベテラン社員たち。そして、つるむべきは、若手社員ではなく先輩やハイパフォーマーたち。

この時期のつらさは、実力がないことではなく、自分と周囲の意識のギャップから生まれるものです。

ですから、「同時期に入社した新卒社員と中途入社の自分には、求められている期待値が違うんだ」ということを念頭に、年齢やビジネス経験にふさわしいマインドに切り替えていけば少しずつ目線が合っていくでしょう。

【転職3年目】成果を出すことへのプレッシャーが大きくなる

3年目になると、何か一つ、成果を残すことが求められるようになるでしょう。

管理職になったり、新しいプロジェクトの旗振りができたり、トッププレーヤーとして後輩たちに背中を見せたり。何かしらの実績・成果を残す役割を期待され始めます。

そんな中で思うような成果が残せないと、会社から寄せられるプレッシャーにしんどさを感じたり、「やっぱり向いてなかったかも」という思いが湧き上がってきたりします。

そんなつらさに直面する人が多いのが、転職3年目のタイミングです。

対処法

3年目の壁を突破するためには、社内で成果を出せている人と自分を比較してみて、何が違うかを言語化してみましょう。また、チャンスが巡ってきたら経験がなくても手を挙げてバッターボックスに立ってみることです。

社外でも似た領域で実績を残してる人に話を聞いて、視座や着眼点を参考にするのもいいですね。取り入れられるものは取り入れること、失敗を過度に恐れず経験のないことにも挑戦することが、変化を起こす一番の近道です。

【「どう考えても向いてない」と思った場合】

それでも「この仕事は自分に向いていない」と感じる場合は、転職を選択してもいいと思います。

一昔前は、「35歳転職限界説」なんて言葉もありましたが、労働力不足が叫ばれている昨今では30~40代のミドルの転職市場もすごく活発。30歳を過ぎようと十分やり直しは利きます。

今の仕事が向いていなかったとしても、3年もやっていれば一定の経験・スキルは付いていますし、3年やり抜いた忍耐力も証明できます。ビジネスパーソンとしても成長していることは、間違いありません。

自分がこの3年間新たに経験したことで転職の選択肢が増えていることを実感できるはずです。

28歳で「やりたいこと」にチャレンジしなかった場合

次に、30歳目前でやりたいことにチャレンジしなかった場合の「その後」について、実際に転職者の方がぶつかった壁を事例としてお話ししていきます。

チャレンジした場合よりも変化がない時間を長く過ごすことになりますので、5年スパンで見ていきたいと思います。

【35歳】コンフォートゾーンを抜けられなくなる

この年齢まで同じ会社で同じ仕事を続けていると、どんどん居心地がよくなっていきます。

社内の人間関係も構築できていますし、仕事も難なくこなせるようになっているでしょう。少しくらい気を抜いていても仕事がうまく回る、いわゆるコンフォートゾーンに入っている状態です。

仕事にやりがいを感じ、満足していればそれでもいいと思います。

問題なのは、「本当はあの仕事をやりたかったのにな」といった気持ちを引きずってしまっている場合です。時間の経過とともに、後悔を膨らませてしまう人も少なくありません。

しかし、「今の環境も悪くないし、この環境を捨てて苦労してまで新しい仕事にチャレンジしたいかというと……」といった迷いも生じ、20代の頃よりも腰が重くなった結果、「もうこのままでもいいか」と現状維持を選ぶ人も多いです。

職種によっては、未経験転職のハードル自体も高くなっているため、よりいっそうコンフォートゾーンを抜けにくくなってしまう時期です。

対処法

気持ち次第でコンフォートゾーンを抜け出すことは可能ですが、「本当は他にやってみたい仕事があるのに」という気持ちのまま10年以上過ごしてしまうと、チャレンジを決断するハードルは、20代の頃よりも各段に上がっていると思います。

対処法としては、「今やらないともうチャンスがなくなる」という危機感を持って自分の背中を押すしかなさそうです

【40歳】やらなかった後悔が膨らむ

40代以上の方の転職支援をしていると、やりたいことにチャレンジすることを諦めてしまい、「本当はやりたかったこと」が十字架のように重くのしかかってしまっている人とお会いすることがあります。

中には、自分でかなえられなかった思いを子どもに託そうとする人もいますね。

前述したように、30~40代の採用市場は活発になってきているので、必ずしも未経験転職ができないわけではありません。

しかし、社会人経験を積めば積むほど、働く環境や労働条件など転職先に対するこだわりも強くなる傾向があるため、選択肢が狭まっていると感じる人も多いでしょう。

これもやりたいことに一歩踏み出す心理的ハードルを高める一つの要因となりそうです。

対処法

自分のやりたかったことに対する消化不良を「起業」というかたちでかなえる人もいます。

40代で転職の選択肢が狭まったと感じる場合は、起業することでやりたいことを実現するのも一つの手

ただ、比較的フットワーク軽く行動できる20代の頃に転職へと踏み切れなかった人は、40代になって未経験分野で起業することにハードルを感じる人が多いのも事実です。

本人の気概次第ですが、20代の頃の転職よりも何倍も難易度が高くなっているのは間違いないと思います。

「やればよかった」後悔を防ぐには、やるしかない

30歳目前でチャレンジするかしないかで悩んでいる人がいるとしたら、私はやってみる方をおすすめします。

3年やってみて、「全く向いてない」「失敗した」と思ったとしてもまだ30代前半。十分やり直しは利きますし、チャレンジしたという事実は次のキャリアにつながります

実際、5年後、10年後に若い頃にチャレンジして失敗した話を笑い話にしてる人も多いですよね。昔の失敗を笑えるくらい、今を充実させられている人が多いのだと思います。

また、後悔しないためにあらかじめ対策を採ることができるのも、「チャレンジする」方の選択肢。取り組み方次第で、できる限り「壁にぶつからない」道を進むことは可能です。

一方、「やっぱりやればよかった」という後悔をしないためには、「やる」しか方法がないんですよね。

若ければ若いほどやってみることへのハードルは低いので、ぜひ今のうちにチャレンジしてみてください。

「そうは言っても、やっぱり勇気が出ない」という人は、転職する決意がなくとも、取りあえず転職サイトや転職エージェントに登録してみるといいと思います。本当に転職するかどうかは、内定が出てから決めればいいですから。

キャリアの棚卸しがてら、取りあえず転職活動をしてみるだけなら、一歩を踏み出せるのではないでしょうか。

もしくは副業や独学で勉強をしてみる、異動を申し出てみるといった行動を起こすのもいいと思います。

実際にやってみることで、ある程度向き不向きも判断できますし、ただあこがれていただけなのか、本当にその仕事を好きなのかどうかも分かるはずです。

28歳は、さまざまな決断をせまられる歳。ぜひ、後悔が少ない道を選んでもらえたらと思います。

取材・文・編集/光谷麻里(編集部)

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