心身のさまざまな変化を感じることが増えてくる50代。
とりわけ大きな変化が「閉経」です。単に月経が来なくなるというだけでなく、女性ホルモンの低下から病気のリスクが高まることも。
そこで、50代から注意したい女性疾患について、女性医療に詳しい善方裕美先生に伺いました。
教えてくれたのは・・・
善方裕美先生
よしかた産婦人科院長。30年以上にわたって、更年期女性のサポートに尽力する女性ヘルスケア専門医。カウンセリングやホルモン補充療法、漢方薬など多角的な治療を行う。著書に『女医が教える閉経の教科書』(秀和システム)など。
【PROFILE 02】乳がん
☑︎ どんな病気か
乳房の乳腺組織に発生するがん。女性のがんで最も多い
☑︎ 症状
乳房のしこり、乳房のくぼみ、乳頭のただれ など
☑︎ 予防法
食事や運動に気を配り、閉経後の肥満を防ぐ
☑︎ 早期発見のためには
2年に1回、乳がん検診(マンモグラフィ)を
9人に1人はかかる女性に最も多いがん
一生のうち、女性の9人に1人がかかるといわれている、乳がん。
最もかかりやすいのが、40代後半~50代です。
特に出産・授乳経験がないなど、エストロゲンの分泌期間が長い人は、リスクが高くなります。
「ただ、乳がんは治療法の進歩が著しく、初期に発見できれば治るがんです。2年に1回、マンモグラフィを受けてください。ホルモン補充療法を受けている人は1年に1回受けましょう」
閉経後の肥満も、乳がんのリスク因子となります。食事や運動に気を配ることが大切です。
「なお、乳がんの治療薬の中には、骨粗しょう症のリスクを高めるものもあります。骨密度の検査も必ず受けておきましょう」
乳がんになりやすい人
● 血縁家族に乳がん、卵巣がんになった人がいる
● 月経が早く(11歳未満)、閉経が遅い(55歳以上)
● 出産、授乳をしたことがない
● 閉経後の肥満
● 乳腺疾患になったことがある
● 喫煙、たばこの多飲
出典:『女医が教える閉経の教科書』善方裕美(秀和システム)
【PROFILE 03】子宮体がん
☑︎ どんな病気か
子宮体部の子宮内膜から発生するがん
☑︎ 症状
初期症状は不正出血が最も多い
☑︎ 予防法
食事や運動に気を配り、閉経後の肥満を防ぐ
☑︎ 早期発見のためには
2年に1回子宮体がん検診を。不正出血があれば必ず受診して
「不正出血=更年期」の思い込みは危険!
一般に子宮がん検診というと、入り口付近にできる「子宮頸がん」の検診がほとんど。
けれども、50代女性がより注意しなければならないのは、子宮体にできる「子宮体がん」です。
意識して、子宮体がんの検診も受けるようにしてください。
「不正出血の背後に、子宮体がんが隠れていることもあります。更年期のせいと決めつけずに、必ず婦人科を受診して」
初期の子宮体がんであれば、適切な治療で80%以上は治癒します。
イラスト/ツキシロクミ 文/寺本 彩
大人のおしゃれ手帖2024年11月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
この記事の監修者
よしかた産婦人科院長 善方裕美
よしかた産婦人科院長。30年以上にわたって、更年期女性のサポートに尽力する女性ヘルスケア専門医。カウンセリングやホルモン補充療法、漢方薬など多角的な治療を行う。著書に『女医が教える閉経の教科書』(秀和システム)など。