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J1昇格PO決勝弾のファジアーノ岡山DF本山遥!「自分にオファーをくれなかったクラブ」との来季対戦を目指して決勝へ

  • 2024.12.2
J1昇格PO決勝弾のファジアーノ岡山DF本山遥!「自分にオファーをくれなかったクラブ」との来季対戦を目指して決勝へ
J1昇格PO決勝弾のファジアーノ岡山DF本山遥!「自分にオファーをくれなかったクラブ」との来季対戦を目指して決勝へ

Text by 高橋アオ

[J1昇格プレーオフ(PO)準決勝、ファジアーノ岡山(5位)3-0モンテディオ山形(4位)、1日、NDソフトスタジアム山形]

岡山が山形を3-0で一蹴してJ1昇格PO決勝へ駒を進めた。試合開始早々から激しいプレッシャーで山形を圧倒し続け、前半31分にDF本山遥が右足で先制弾を決めると、3分後にはMF木村太哉(たかや)が放ったシュートがMF岩渕弘人の右ヒザに当たって2得点目を奪取。後半39分には木村がダメ押し弾を決めて山形に下剋上を果たした。チームの悲願であるJ1初昇格がかかる決勝はベガルタ仙台(6位)と対戦する。

自分を欲しがってくれなかったクラブ

前半31分に試合が動いた。左サイドで岩渕が浮き球パスを前線へ送ると、パスを収めたFW一美和成がペナルティエリア右側へボールを流すと、フリーで抜け出した本山が右足を振り抜いてネットを揺らした。

J1昇格PO決勝弾のファジアーノ岡山DF本山遥!「自分にオファーをくれなかったクラブ」との来季対戦を目指して決勝へ
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「まさかこんな舞台で点が取れると思っていませんでした。一美選手からいいパスがきて、トラップした瞬間にゴールへの道が見えたから振り抜くだけでした」と笑顔が弾けた。

この日は右ウィングバックで先発し、笛が鳴り終えるまで右サイドを駆け抜けた。守れば相手の出鼻をくじく激しいプレスで防ぎ、攻めれば決勝点を挙げる殊勲の活躍を披露した。

木山隆之(たかし)監督から『どのポジションもできる』と太鼓判を押されるマルチロールは、昨季J1優勝、今季天皇杯を制覇したヴィッセル神戸のアカデミーで育った。ただ競争が激しい常勝軍団へのトップチーム昇格は難しく、神戸U-18卒団後は関西の名門である関西学院大に進学した。

関西学院大では主力として定着し、優れた守備力、複数ポジションをこなせる戦術理解能力の高さで関西大学サッカー屈指のDFへと成長した。だが大学在籍中に意中の古巣からオファーは届かず、大学卒業後は兵庫県の隣県である岡山県を拠点とするファジアーノ岡山へ入団した。

神戸と岡山は川崎製鉄水島サッカー部を源流とするクラブであり、兄弟クラブとして見られることもある。因果というべきか、神戸アカデミーで育った本山は現在岡山のユーティリティプレイヤーとしてチームを支える存在となった。

J1昇格POを優勝すれば、自身を育てたクラブと来季J1で対戦できる。神戸との対決もモチベーションにして攻守に奮闘してきた。

J1昇格PO決勝弾のファジアーノ岡山DF本山遥!「自分にオファーをくれなかったクラブ」との来季対戦を目指して決勝へ
J1昇格PO決勝弾のファジアーノ岡山DF本山遥!「自分にオファーをくれなかったクラブ」との来季対戦を目指して決勝へ

「(神戸との対戦は)とても大きなモチベーション。自分を育ててくれたクラブでもありますし、逆に自分を欲しがってくれなかったクラブ。自分にオファーをくれなかったクラブでもあるので、感謝の気持ちもすごく強くありますけど、悔しさもあります。もしそういう舞台で対戦することができれば、大きなモチベーションを持って臨めると思います」と古巣への想いを吐露した。

憧れだったクラブが立つ舞台にたどり着くまで残り1試合となった。決勝(7日午後1時5分、岡山・シティライトスタジアム)で対戦する仙台を打ち破り、来季成長した姿を神戸に見せる。

ホームで悲願のJ1初昇格を達成する

神戸U-18でともに汗を流したMF佐々木大樹、中央大進学を経て神戸帰還を果たしたGK坪井湧也(J1ジュビロ磐田へ期限付き移籍中)、関西学院大で共闘したJ1東京ヴェルディFW山見大登(J1ガンバ大阪から期限付き移籍)らがJ1で華々しい活躍を披露している。常にトップディヴィジョンでのプレーを見据えてきた本山にとってJ1昇格POは負けが許されない。

「自分がサッカーを始めて、夢見てきた舞台です。自分の大学や高校のときの同級生がJ1の舞台で活躍している姿を見てきて、すごく悔しい思いをしました。『自分があそこに絶対立つんだ』と思わなかった日はないです。それがもう目の前まで来ているので、あとは自分たちがつかむか、つかまないか。絶対つかみとりたいです」

J1昇格PO決勝弾のファジアーノ岡山DF本山遥!「自分にオファーをくれなかったクラブ」との来季対戦を目指して決勝へ
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決勝を控える仙台とは今季2連勝と相性が良く、公式戦では2009年以来負けていない。今季白星を挙げられなかった山形に圧勝して決勝に駒を進めただけに、その勢いのまま東北の名門を連破したい。

「仙台さんはハードワークの部分がいままでと違って、すごく徹底されている印象があります。そこは自分たちも大事にしている部分です。全員がハードワークできる能力は、このチームがJ2で1番だと僕は思っているので、そこさえ負けなければ試合を有利に運べるのかなと思います」と同じ土俵に立って打ち破る覚悟を見せた。

2009年にJ2に参入してから1度もJ1へ昇格を経験していない岡山。2016年のJ1昇格POでは決勝へ進出するもセレッソ大阪に0-1で惜敗し、初昇格を逃した。今季は第3節から第8節まで首位を堅持し、シーズン中盤に失速を見せたもののJ1昇格PO圏内6位以上をキープしてきた。

機は熟した。ホームで開催される決勝で悲願を達成する準備はできている。

「ホームで昇格を決められれば本当に最高の結果だと思います。何をすべきかはチームにいる全員がわかっているので、100%の用意をして臨むだけです」と闘志を燃やしていた。

J1昇格PO決勝弾のファジアーノ岡山DF本山遥!「自分にオファーをくれなかったクラブ」との来季対戦を目指して決勝へ
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これまで守備的ミッドフィールダー、センターバック、ウィングバックなど入団してから複数ポジションをこなしてチームを献身的に支えてきた背番号15は、大舞台で決勝弾を決めてチームを決戦の舞台へと導いた。チームの悲願を達成するために本山を筆頭に全員一丸となってJ1初昇格をつかみ取る。

(取材・文 高橋アオ)

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