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箱根、水上、信州湯田中温泉──年末年始に美しく整う!美人・美肌の湯3選【東西の湯宿めぐり 前編】

  • 2024.12.2

<箱根温泉>松坂屋本店 「美肌温泉証」を取得したかけ流しの湯

皇室ゆかりの館「離れ」の客室「洗心亭」。東宮時代の大正天皇が休憩した建物の一部を移築。今年9月にリニューアルした。
皇室ゆかりの館「離れ」の客室「洗心亭」。東宮時代の大正天皇が休憩した建物の一部を移築。今年9月にリニューアルした。

北海道から沖縄まで全国に名湯は数あるが、東の代表格のひとつは箱根だろう。新幹線小田原駅からバスで約45分、小田急箱根湯本駅からなら約30分でアクセス可能な箱根芦之湯温泉に、1662年に創業した松坂屋本店は、老舗中の老舗旅館。江戸時代には歌川広重の浮世絵に描かれ、明治期にはここで木戸孝允と西郷隆盛の会見が行われるなど、多くの文人墨客に愛されてきた。また天皇陛下も大学時代にゼミ合宿で幾度となく滞在し、皇室ゆかりの宿としても有名だ。

男女各一つずつの大浴場は、すべて加温・加水・循環なしの源泉かけ流し。
男女各一つずつの大浴場は、すべて加温・加水・循環なしの源泉かけ流し。

4,000坪という広大な敷地に、趣の異なる5つの館と2つの湯処があり、客室は全21室。その半数は露天風呂付きだ。2024年9月には、元皇室別邸の「離れ」と大正時代の建物の「春風荘」を、歴史遺産を守りつつ、現代に通じる快適性を備えた客室へとリニューアルした。

リニューアルにあたって大浴場の壁や天井は、箱根の自然に溶け込むような木目調にした。
リニューアルにあたって大浴場の壁や天井は、箱根の自然に溶け込むような木目調にした。

この宿で人々を虜にするのは何といっても毎分200リットルも湧き出る源泉を使った、加水、加温、循環など一切しないかけ流しの温泉だ。湯の花が舞う独特の深緑色の湯は、硫黄泉、硫酸塩泉、炭酸水素塩泉の三大美肌泉質のすべてを含み、2024年8月にポーラ・オルビスホールディンクスの「美肌温泉証」を取得したとなれば期待せずにはいられない。メラニン分解を促し、シミを予防する硫黄泉、保湿効果が高く、肌をコーティングする硫酸塩泉、不要な角質を洗い流し、皮膚をすべすべにする炭酸水素塩泉のトリプル効果を発揮する。

三菱財閥の岩崎家別邸を移築した「春風荘」をリニューアル。5室の客室のうち「曙」は露天風呂付きのメゾネット。
三菱財閥の岩崎家別邸を移築した「春風荘」をリニューアル。5室の客室のうち「曙」は露天風呂付きのメゾネット。

松坂屋本店

神奈川県足柄下郡箱根町芦之湯57

Tel./0460-83-6511

料金/1人1泊34,100円~(2名1室利用・2食付)※2024年12月現在

https://kinnotake-resorts.com/matsuzakayahonten/

<水上温泉郷・谷川温泉>別邸 仙寿庵 全面リニューアルしたサウナにも注目

露天風呂、テラス付きの「和室A」。広々としたテラスで、シャンパンを片手に谷川岳のパノラマが楽しめる人気の客室。
露天風呂、テラス付きの「和室A」。広々としたテラスで、シャンパンを片手に谷川岳のパノラマが楽しめる人気の客室。

水上温泉郷の西方に位置する谷川温泉は、東京から車で向かうなら、関越自動車道水上IC経由で約2時間40分とアクセスはそう悪くない。そんな谷川温泉で1997年のオープン以来人気を博す「別邸 仙寿庵」は、日本で初めて全室に露天風呂を備えた宿だ。現代建築と伝統技術の融合した建物は、和風モダン建築を追求する建築家・羽深隆雄が手掛けた。ルレ・エ・シャトーに加盟し、国際的な環境認証のグリーンキーも取得。「World Luxury Hotel Awards 2023」や「World Luxury Spa Awards 2023」にノミネートされるなど、国内外の評価も高い。

谷川を渡る風が心地よい、解放感にあふれた露天風呂「ほたるの湯」。
谷川を渡る風が心地よい、解放感にあふれた露天風呂「ほたるの湯」。

四季折々に装いを変える谷川岳を借景とした、自然の息吹に包まれたプライベートリゾートは、1,000坪の建物内に18室の客室、4つの浴場とスパを備える。自慢の湯は自家源泉100%でかけ流し。泉質は、pH8.04の弱アルカリ性のカルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉で、冷え性、皮膚乾燥症、胃腸病、神経痛などに加えて、硫酸塩泉による肌の蘇生効果や、弱アルカリ性によるクレンジング効果が望める、理想的な美肌の湯だ。

大浴場「仙の蔵」。肌に潤いを与える低温ミストサウナを併設。
大浴場「仙の蔵」。肌に潤いを与える低温ミストサウナを併設。
両側の壁が備長炭に覆われた大浴場「一ノ蔵」付属のドライサウナ。
両側の壁が備長炭に覆われた大浴場「一ノ蔵」付属のドライサウナ。

渓谷の緑を眺めながらのんびりと楽しめる夏限定の歩行湯をはじめ、バラエティに富んだ風呂が4つ。2020年には、大浴場「一の蔵」のサウナを全面リニューアルした。備長炭の壁に囲まれた熱効率抜群のドライサウナは、セルフロウリュに加え、ヴィヒタを使ったセルフウィスキングも可能。水風呂が常温に冷ました温泉水というのも、温泉宿ならではの贅沢だ。目の前に山と川が迫る窓際のリクライニングスペースは、絶好の自然浴スポットになっていて、雪中サウナが可能な渓谷沿いのアウトドアサウナも魅力充分。名湯×サウナで自然と心まで整ってくる。

夕食では、群馬名産の上州牛や獲れたての岩魚など、地元素材の春夏秋冬それぞれの旬が堪能できる。
夕食では、群馬名産の上州牛や獲れたての岩魚など、地元素材の春夏秋冬それぞれの旬が堪能できる。

別邸 仙寿庵

群馬県利根郡みなかみ町谷川614

Tel ./0278-20-4141

料金/1人1泊48,400円~(2食付)※2024年12月現在

https://www.senjyuan.jp/

<信州湯田中温泉>松籟荘 お目当ては国の登録有形文化財「桃山風呂」

網代天井や籠目編みの壁、アンティークの松本民芸家具など、地元の職人の技を活かしたインテリア。
網代天井や籠目編みの壁、アンティークの松本民芸家具など、地元の職人の技を活かしたインテリア。

開湯から1,300年以上という信州湯田中温泉は、病を癒し、心を爽やかにする、健康で長生きできる霊験あらたかな温泉として、僧智由によって「養遐齢(ようかれい)」と名付けられた名湯だ。「よろづや松籟荘」は、国の登録有形文化財にも登録されていた老舗旅館だったが、残念なことに2021年に焼失。その名宿が今年3月、客室を半数の5室に抑えたラグジュアリーな温泉宿として蘇った。伝統的な数寄屋建築にとことんこだわるなど、根強いファンの多かった旧松籟荘の意匠を随所に再現しつつ、ゆとりと気品のある空間を創り上げた。

客室は天井が高く、ゆとりある空間。本物の素材が気品を感じさせる。
客室は天井が高く、ゆとりある空間。本物の素材が気品を感じさせる。

火災の難を逃れた姉妹館・よろづやの中にある「桃山風呂」は、なんとも言えないレトロな風情がある名物風呂。建築に約3年の歳月をかけて1953年に完成し、昨年70周年を迎えた。宮大工の技で釘を1本も使わずに組んだ伽藍建築で、折り上げ格天井に松の一枚板が使われるなど建築としても見ごたえ充分。入り口に見える「洒心(さいしん)」の文字は、幕末の地元・松代藩士で儒学者の佐久間象山によるもの。「洒」には洗い清めるという意味があり、まさに年末年始に訪れたい温泉だ。松籟荘とよろづやの2館で合計3本の自家源泉を持ち、湧出量は毎分253リットル。泉質は、pH 8.2の弱アルカリ性で、無色透明のナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉。疲労回復、神経痛、冷え性などの効能に加えて、入るととろりとした湯が身体を柔らかく包み込む、まさに美人・美肌の湯なのだ。

国の登録有形文化財の「桃山風呂」。純木造伽藍建築のクラシックな趣はファンも多く、人気温泉ランキングにも度々登場。
国の登録有形文化財の「桃山風呂」。純木造伽藍建築のクラシックな趣はファンも多く、人気温泉ランキングにも度々登場。
長命長寿の湯として、真田家の歴代当主や俳人・小林一茶にも愛された。
長命長寿の湯として、真田家の歴代当主や俳人・小林一茶にも愛された。

松籟荘(しょうらいそう)

長野県下高井郡山ノ内町平穏3071-1

Tel./0269-33-2114

料金/1人1泊55,000円~(2名1室利用・2食付)※2024年12月現在

https://shoraiso.com/

Photos: Courtesy of Hotels Text: Yuka Kumano Editor: Mayumi Numao

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