鬼が棲む登別
大量に鬼がいる登別温泉のなかでも、ひときわコワモテなのが、登別グランドホテルの鬼。
いかつい角に、もじゃもじゃロン毛。
ぴかりと光る、目が怖い。
立ち上る湯けむりと温泉のにおいでテンションMAX。
今日は「鬼サウナ」で全国から脚光をあびる登別グランドホテルにお邪魔します。
こちら、「登別の迎賓館」と称される、優雅でどっしりとしたエントランス。
最近カフェがリニューアル。
売店も大き目でオリジナルグッズやサウナー垂涎のオリジナルハットなども多数。
やる気がみなぎっている。
まず入浴
部屋で荷ほどきしたらすぐにお風呂へと向かう。
大浴場は2つ。
偶数奇数で、男女入れ替えとなっている。
では「鬼サウナ」を擁する鬼灯(ほおずき)の湯を紹介しよう。
3種の温泉
広々とした脱衣所は木製のロッカーが旅情を演出する。
冷たい飲み水が用意され、くつろぐ椅子も多く、大小タオルもどんと積まれている。
美しいローマ風呂で体を清め、食塩泉、鉄泉、硫黄泉、3種の湯めぐりを楽しむ。
特に熱めの鉄泉が素晴らしい。
足の先まで血行がよくなっていくのを感じる。
フォトジェニックな露天スペース
露天に出てみるともう冬の入り口だというのに温泉の熱で紅葉が残っており、息をのむような美しさ。
みんな「わあ!」と感動してそのままヒノキ風呂に直進して「ギャッ」となるのだが、なぜならそこは水風呂だから。
この鬼灯の湯はなんと4つも水風呂があるのだ。
サウナに入らない人からすると意味が分からないようなセッティング。
いやいや、温冷交代浴も気持ちいいのでご安心願いたい。
鬼サウナ
待望の鬼サウナは、入口が金棒だ。心して臨まなくては鬼に喰われる。
入ってずんっと熱の圧を感じる。
それもそのはず、温度計が108℃を指している。
30分オートロウリュ
窓から見える景色が素晴らしいが、もうすぐやって来るオートロウリュが気になってそわそわする。
30分に一度、ストーブの上に水が落ちてくるのだが、この温度からのロウリュは相当に効くはずだ。
ジュジュ…という音とともにロウリュが始まったが、それほどの量じゃなかった。生き延びた。
極上の水風呂
熱々の体で外に出て、頭からかけ湯で汗を流し、向かう水風呂はなんと樽。
水深150cmは顔まで浸かる最高仕様。
ああ、さっきまで地獄のような熱い部屋にいたのにこの水の気持ちよさよ、
天国。天国ですわ…
残念ながら凍結事故防止のため冬季12月1日~4月10日までは樽水風呂がお休み。
なんの広々としたヒノキ水風呂と、サウナ前の羽釜風呂があるので心配ご無用。
滝を愛でて休憩
とくに羽釜の水風呂は、よく汗を流してから頭をどぶっと浸けてみてほしい。
これはこちらのサウナをプロデュースしたTTNEおすすめの入り方で、水の奥からなんとも不思議な音がするのだ。
ちょっと窓の前なのでサウナ室の皆さんから丸見えなのが恥ずかしいが、そんなことを言っている場合ではない。
胎内回帰のような水圧と羽釜が奏でる自分にしか聞こえない音で完全にととのう準備万端。
すかさずすぐ前のベッドに横になり、美しい庭と滝の水音を楽しむ。
脳天がじゅわ~っと音をたてるような昇天。
素晴らしい。素晴らしいわ、登別グランドホテル!
ただ、入浴客の多い時間帯になると出入りのせいでぐっとサウナの温度が下がってしまい、そこまで「鬼」感を得られないのが難点。
フロントで伺ったのだが、それを見越して温度を上げると今度は高温になりすぎて火傷などの懸念が出るとのこと。
清流サウナ
鬼サウナが混雑の場合は内風呂にある「清流サウナ」を試してほしい。
こちらはセルフでロウリュができ、たいがい空いているので存分に自分好みの熱さにできる。
無音で落ち着いたサウナで、実はこちらが気に入ったという声も多い。
かなり美味しい朝食
ぐっすりと寝た後は、美味しい朝食ビュッフェを堪能。
種類豊富で手作り感も強く、イクラかけ流しも完備!
私がおすすめするのは「登別鶏飯」
ご飯に具材をのせスープをかけていただくのだが、スープが見えないほどタラコを盛ったのはご愛敬。激ウマ!
熊サウナも見逃せない
入れ替わりで入る「竜胆(りんどう)の湯」には熊サウナがある。
こちらは熊の巣穴がモチーフだそうで、うす暗くしんとして、ほっとするサウナ。
ストーブの上には鉄鍋がかけられており、この鍋に水をかけると、中の熊笹茶がオーバーフローする仕組み。
立派なアイヌ彫刻のレリーフに水をかけるウォーリュにもぜひ挑戦してほしい。
湿度がぐっと高まって、室内環境がまったく違う世界へと変貌していく。
ああ、一泊では物足りない。
連泊して温泉とサウナと食事をもっともっと楽しみたかった。
また来年も来ますと鬼に誓って札幌に帰る。