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「思ったより普通」罪深い私の期待値。憧れは憧れのままでいい

  • 2024.12.2

三角チョコパイがあまり好きではない。マックのアレである。少し肌寒くなってくると、CMで「さん、かくっ!チョコパイの季節〜♪」と耳馴染みのいいメロディがよく聴こえてくるが、だからとて胸が踊ったりはしない。

先日、親友が「そろそろ三角チョコパイが食べたい」と言い出したので、深夜に二人でマックに行ってきた。私は特にお腹も空いてなかったので、彼女が三角チョコパイを食べるのを見ていただけだった。苦手というわけでもない。甘いものは好きだし、アップルパイなんかも大好きなので、決して嫌いの部類ではないだろう。ただ、少し苦い思い出があるのだ。

◎ ◎

高校生のとき、クラス内で三角チョコパイが大流行した。毎日誰かしらは三角チョコパイを食べているという状況で、私は家の近くにマックがなかったので、三角チョコパイを食べたことがなかった。そのことを友人に何の気なしに言うと「信じられない!こんなに美味しいのに!食べるべきだよ!」と、まるで義務かのように言われ、私の中の三角チョコパイの品格が爆上がりした。そうまで言われる三角チョコパイの美味しさたるや、如何に。

要は期待しすぎたのだ。数日後に実際に食べてみた三角チョコパイは、確かに美味しかった。美味しかったのだが、私の期待値を超えてはくれなかった。期待値ゼロの状態で三角チョコパイを食べたら感動ものだったのだろうけど、三つ星パティスリー級の味を期待していたがために、ファストフードという大前提を忘れていた。全面的に私(と期待値を上げすぎた友)が悪い。

◎ ◎

同じようなことが上京して何度もあった。地方民からすれば東京は憧れ中の憧れで、すべての場所が「聞いたことある!ここがあの〇〇か!」と思わせるほどネームバリューがあるのだが、私の期待値は罪深い。

◎ ◎

好きな漫画によく中目黒駅が登場していた。作者さんが好きな街だからだという。宮崎に住んでいた頃の私は中目黒(通称なかめ)に憧れを抱いていた。

バラエティのとあるコーナーで「おしゃれな街といえば?」という質問に演者のうち2人が「代官山」と答えていた。宮崎に住んでいた頃の私は代官山に憧れを抱いていた。

実際、憧れを目の当たりにすると、自分の思い描いていた想像のほうが遥かにキラキラしていて少し落ち込む。素晴らしいのは間違いないんだけど案外こんなもんか、と思ってしまう自分にムカつく。憧れだったものは、思ったより普通だった。

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そんなことが多いから、憧れているものはそのままにしておきたいと思うようになった。行ってみたいけど行きたくない。触れてみたいけど触れたくない。自分の中のキラキラが裏切られてしまうような気がして。

憧れは憧れのままで寝かせておく。そうして忘れた頃にふと足を運んで、「そういえばあのとき憧れてたな」と思い出すのがいい頃合いだったりする。

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でもあそこはよかった。あそこはちゃんと現実もキラキラしていた。花より男子で憧れた、恵比寿ガーデンプレイス時計広場。

■瀬璃のプロフィール
絵を描くのが好き。本を読むのも好き。写真を撮るのも、小説を書くのも、歌を歌うのも、とにかく全部好き。

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