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背伸びして入社した職場で月一で涙。私はなんて場違いなんだと恥じた

  • 2024.12.2

「憧れ」の先にあったもの、それは想像以上の苦悩だった。しかし、まだその先に喜びがあると信じている。

◎ ◎

大学3年の秋、私はエンジニアを目指した。
リモートと通勤が自由に選べて、派手髪ネイルOKな社風で、フレックスで好きな時間に働けて、尚且つ手に職がある仕事。そんな開発エンジニアになろうと思った。

コーディング経験はほとんど無かったが、大学の講義で簡単なWebページを作った時の喜びが記憶に焼きついていたため、就職活動の初期から職種はエンジニアに絞っていた。
無我夢中で就職活動をし、最終的に全部で80社もの会社説明会に参加した。

◎ ◎

その中で、とある会社の先輩社員が素敵だなと思った。
自分がやりたいと思ったことを積極的に発信し、デザインから記事を書く仕事、エンジニアとしての開発の仕事まで多様な仕事を任され、それらをバランスよくこなしているお洒落な先輩社員に憧れた。

怒涛の就職活動を経て、私は無事、憧れの先輩がいる会社のエンジニアとして就職することができた。

◎ ◎

就職して早半年、6回以上仕事関連で泣いている。つまり、月1回のペースで泣いていることになる。
技術面でも人格面でも優れている先輩・同期に揉まれ、何度も悔しい思いをした。劣等感や、他の人ができていることができない自分へのやるせなさで涙が出てきてしまう。そしてすぐに泣いてしまう弱さや、こう何度も悔しく思っているのに頑張り切れていない自分が嫌になった。
背伸びして入った会社であったため、険しい道となることは覚悟していたつもりだったが、やはり優しい道ではなかった。
ただ、職場の人たちが好きなのでなんとか続けられている。

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既に何度も、エンジニアは向いていないと思った。半年で何を言っているんだ、気が早すぎるだろうと笑われそうだが、そう思わなければ溜飲を下げることができなかった。
周りのエンジニアは好奇心旺盛で、新しい技術を学ぶことを楽しんでいる人たちばかり。その中にポツンと、ただ義務感で勉強しなければ……と焦っている自分がいる。俯瞰で見た時に、なんて場違いなんだと恥じた。

というかそもそも、働くこと自体向いていないなとふと思ったりもする。
生きるためには、これから数十年間ずっと働き続けなければいけないことを思うと、その長さに絶望する。

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実家で朝から晩まで仕事をしていたある日のことだ。その日、親はたまたま仕事がなく、るんるんで夕飯を作ってくれていた。「ハンバーグできたわよ〜」と楽しそうにダイニングから声をかけてくれたものの、私は今すぐ終わらせなければいけないタスクに追われていた。19時ごろには終わるだろうと見込んでいたが、結局22時になっても終わらない。その間、「ご飯冷蔵庫入れとくわよ〜」「先お風呂入るわね〜」「先に休むわね〜」と、親は着実に時を進めていった。ついには先ほどまで明るかった空間は真っ暗になった。

22時過ぎにやっとやるべきことが終わり、へたへたと冷蔵庫に向かった。もうとっくに空腹は通り過ぎていたが、このまま何も食べないのはあまりにも虚しかった。
るんるんの親と楽しくご飯を食べるはずだったのに、暗く静まり返った部屋で、冷めたご飯を独りでのそのそと食べた。その時、なんだこれ、とすごく虚しく感じたのだった。何のために生きているのかわからなくなった。
「働く」ことで、あるかわからない未来の幸せのために、目の前に確実にある幸せを自ら溢れ落としている気がした。

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こういった話をすると、20代、30代でしんどい思いをしておくと、その後の人生が楽になるよ、と慰めてくれる人もいる。その人は、30歳の時に残業を月200時間ほどしていたらしい。それを2年間続けたが、まさに地獄だったそうだ。その経験があるから、その後の人生で何があってもただでは折れないと言っていた。
たしかに、苦労を乗り越えて今の幸せがあるというのは素敵な話だ。納得するものがある。
ただ私は、長く先を見据えるのが苦手だ。目の前のことばかり見てしまうって、人生に対して近眼なところがある。いつか、幸せだ、あの頃があったから今があるんだと言える日が来るのだろうか?

ここまでひたすら暗いことばかり記してしまったが、ただ暗く落ち込んでいるわけでもない。今は、2年は頑張ってみようかなと前向きに思っている(規模感の小さいうちの会社では、2、3年経験を積んでその後大企業に転職する人が多い)。
今は、わからない・できないが9割だが、まだ楽しい部分まで到達できていないのにやめてしまうのはもったいない気がした。できなかったことができるようになったときの喜びは間違いないし、せっかくリスペクトできる好きな人たちに囲まれた環境を手に入れたのだ。それに私には、ストレスで毎週のように泣いていたアルバイトも、約4年間勤め上げた根性もある。

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今はまだ、真っ暗なトンネルの中でもがいてばかりだけど。周りの人たちのいいところを吸収しながら、いつか目の前が明るく拓けるのを信じて、がむしゃらに頑張れたらいいな。その先に見える景色が楽しみだ。

■とっちーなのプロフィール
絵を描いたり本を読むのがが好き。特に著名人のエッセイをよく読みます。 やりたいことはあるけど追いつけず、もがく日々。

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