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日本海側は夏より冬の雷が多い?メカニズムや対策のポイントを解説

  • 2024.12.16

太平洋側に住んでいると、雷といえば夏を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。実際に、太平洋側では雷は夏に多く発生しますが、日本海側では、夏よりも冬に雷が多く発生する地域もあります。

同じ雷でも、冬の雷と夏の雷のメカニズムは異なります。

落雷時のエネルギーは夏に比べて冬の雷のほうが強いことが特徴です。
そして、冬の雷は予想が難しいという点にも注意する必要があります。

日本海側に住んでいる人はもちろん、冬に仕事やプライベートで日本海側に行く予定がある人も、冬の雷について理解を深めて備えましょう。
この記事では、日本海側は夏より冬の雷が多い理由や、雷のメカニズム、対策のポイントを解説します。

冬の日本海側で雷が多い理由

冬の日本海側で雷が多い理由は、日本海で発生した雷雲が日本海側に流れ込んでくるためです。

冬になると、中国大陸から日本海に向かって、冷たい季節風が吹き渡ります。その際、暖かい日本海の海面に、冷たい季節風が触れることで雲が発生します。その一部の雲が雷雲に成長して、日本海側に雷をもたらすというメカニズムです。

なお夏の雷雲の背の高さは10,000m以上ありますが、日本海で発生する冬の雷雲は3,000m~6,000mと低いことが特徴です。

冬の日本海で発生する雷雲は日本海側に雪や雷をもたらして衰弱し、最終的には山にぶつかって消滅します。そのため、太平洋側には雷雲が届かず、冬の太平洋側の雷発生数は少なくなります。

日本海側の雷は夏に比べて冬のほうが多いものの、夏の雷が少ないというわけではありません。ほかの地域と同様に、夏にも雷は発生しているため、年間を通して雷への注意が必要です。

冬の日本海側の雷の特徴

冬の日本海側の雷の特徴は、1回あたりの雷の電気量が多く、落雷すると被害が大きくなりやすいことです。

雷には、雲の中で発生する雲放電と、雲と地面との間で発生する落雷(対地放電)の2種類があります。このうち人や生活に大きな影響を及ぼすのは落雷です。

夏は落雷1回に対して雲放電が5回程度の割合で起こりますが、冬は落雷1回に対して雲放電が1回程度の割合で起こっています。つまり、冬の雷は2回に1回の割合で落雷するというわけです。

夏の雷は日中の強い日差しで暖められた地表付近の雲が上昇し、雷雲に成長するため、昼過ぎから夕方にかけて雷が発生しやすいという特徴があります。しかし、冬の日本海側に雷をもたらす雷雲は時間帯に関係なく発生・発達するため、昼夜を問わず雷が発生します。

冬の日本海側の雷は予想が難しい

冬の日本海側の雷のもう一つの特徴として、夏の雷に比べると予想が難しいことが挙げられます。

夏の雷は発達した背の高い積乱雲がもたらし、その下では多くの雷が発生しています。雷雲が近づいてくると雷鳴も近づいてくるため、雷の危険性が高まっていることを察知できます。
また、雷が鳴る前には周辺が暗くなったり、冷たい風が吹いたり、ひょうが降ったりなどの前兆が見られる場合も多いです。

一方、冬の日本海側はそもそも季節風が強く吹いていて気温も低く、夜間に雷が発生することもあるため、前兆に気づけない場合も少なくありません。

夏の雷は1つの積乱雲から無数の雷が発生するのに対して、冬の日本海側の雷は、日本海に広がる無数の積乱雲からどこかの雲が雷を一発だけ落とします。
雷が発生しても、その雲から連続で雷が発生するわけではなく、1回きりで終わる場合(一発雷)も多いです。

そのため、夏の雷は積乱雲の動きを雨雲レーダーで追いかけると危険が予想される場所を大まかに把握できますが、冬の雷はどの積乱雲が雷をもたらすか予測できないため、どの場所が危険になるかの見当もつきません。

このように、冬の日本海側の雷は予測が難しく、いきなりエネルギーの強い雷が落ちてくるのが怖いところです。

冬の日本海側の雷に備えるポイント

冬の日本海側の雷は、夏の雷のように明確な前兆があるとは限りません。しかし、雷をもたらす発達した積乱雲の下では雨や雪が強く降っている場合が多くあります。

雷注意報が発令されていて雨や雪が強まっている場合は、雷鳴が聞こえなくても建物や車の中に避難するのが望ましいでしょう。

冬の日本海側に雷をもたらす雷雲は急発達し、移動速度も速いため、できるだけ早く安全な場所に避難することが大切です。

そして雷による停電にも注意しなければなりません。冬に停電が発生した場合、エアコンや電気ストーブ、オイルヒーター、床暖房など電気で動く暖房器具が使用できなくなります。

長時間の停電で暖房器具が使えないと、室内にいても低体温症のリスクが高まります。

冬の日本海側で雷が発生するような場合、強い寒波が襲来して大気の状態が不安定になっている場合も多く、いつも以上に気温が低い可能性もあります。

そのため、石油ストーブなど電気を使わない暖房器具を備えておくと安心です。

〈執筆者プロフィル〉
田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

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