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スコアアップにつながる!イップス対策のメンタルトレーニングとは?

  • 2024.12.2

“イップス”は 「自分はならない」と思っていませんか?決して他人事ではなく、ゴルファーなら誰でもかかる。しかもゴルフを一生懸命やるほどかかりやすいんです!

なぜイップスにかかるのか、どんな症状が現れ、どうやって克服するのか。それを事前に知ることが、イップス予防の 最善策になります。

メンタル面の改善に取り組んだ

スコアアップにつながる!イップス対策のメンタルトレーニングとは?
過去の記憶と未来への不安がイップスを誘発した「失敗の経験がたまりすぎると無意識に、体に悪い反応が出やすくなってしまいます」(田島)

2006年のマンシングウェアオープンKBSカップで、はじめて右手に電気が走るような感じがしてから、イップスとの戦いを余儀なくされました。それはつねにではなく、前触れもなくバコンッと強い衝撃が走るので、いつそれが出るかわからない不安を感じながらプレーしなくてはいけない。

その気持ち悪さをずっと感じている状態が続きました。技術的な取り組みに加え、道具も工夫してなんとか打開策を見つけることに。前号でお話したクロウグリップや長尺パターは、そのなかでも効果のあった対策です。

そして、不安と気持ち悪さを解消するために、メンタルトレーニングにも取り組みました。なんでも前向きに考えるポジティブシンキングみたいなことも試しましたが、それはあまり効果がなかったですね。

メンタルとは究極の喜怒哀楽のことであり、自分のなかのさまざまな感情、たとえば、未来に不安を抱くこともあれば過去を悔いることもある。それをより好ましい方向にどうコントロールするかがメンタルトレーニングだと思います。

パッティングを行なう際のさまざまな感情は、すべてノイズになります。大切なのは今、自分が取り組むべきこと、やるべきことにフォーカスすることです。

「自分がこうしたいと思うボールを打つためにはどうするか」に集中して取り組むようにトレーニングをする。そうすることで、過去も未来もなくなり、ノイズの少ない状態で打てる。まさに、今の自分のプレーをやり切ることにつながるのです。

“ゾーン”の状態を意図的に作る

パッティングのイップスの症状は、その多くが“打てなく”なることです。強いタッチが出せなくなる。私も悪いときは、上りの2メートルからのパッティングを4パットしたことがあります。上りの2メートルは、本来であれば、なんでもないやさしいパッティング。そこでそんなことが起きてしまうと「一生、カップインしないんじゃないか」といった不吉な未来が頭をよぎります。

そんなマイナスの経験を蓄積しすぎてしまうと、体はますます悪い反応をするようになるもので、実際のところ多くのプロがこの症状に苦しんでいるように見えます。これはアマチュアの人にも当てはまりますが、上手な人のほうがイップスになりやすい傾向があると思います。自分の技術に自信があり、かつ真面目な人は自分を追い込んでしまいがちだからです。

メンタルトレーニングの一環として、フォーカスバンドという器具も取り入れましたが、これはイップス克服にもかなりの効果がありましたね。脳波を測定して、意図的に脳がリラックスした状態にするトレーニングを行なうものですが、このトレーニングを繰り返すと、ゾーンと呼ばれる集中とリラックスが調和した状態を意図的に作り出すことができます。

これもノイズのない状態で、目の前のプレーをやり切ることにつながりました。未来への失敗を恐れて、不安を抱いている状態でミスを誘発していたころとは異なり、今は「うまく打ちたい」「カップに入れたい」という気持ちはまったくありません。トーナメントの初日でも最終日でも、同じリズムで同じように打っています。

イップスではない人でも、失敗の記憶と未来への不安で、頭の中がノイズでいっぱいになりながらプレーしている人は多いのではないでしょうか。深みにハマらないためにも、今やるべきことに集中し、それを行なうことにフォーカスしてみるとよいと思います。イップス対策になるだけでなく、スコアにもいい影響があるでしょう。

Lesson

[症状]パターのロフトを減らして打っていた

強く打てないのでパターのロフト角を減らすような打ち方をしていたが、転がりが安定せず、方向性にも悪影響が出てしまっていた

[対策]インサートが見えるくらいハンドレイトに

パターのフェース面のインサートが見えるくらいハンドレイトに構える。ロフトがしっかりつくので、よい転がりで方向性も向上した

解説=田島創志
●たじま・そうし / 1976年生まれ、群馬県出身。2003年「久光製薬KBCオーガスタ」でツアー初優勝。2016年から昨年2023年までJGTO理事を務めた。2006年にイップスの兆候が現れてからは、それを克服する研究を続けている。

構成=コヤマカズヒロ
写真=田中宏幸

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