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J1柏主将DF古賀太陽が相方と見せた大迫封じ「自分たちは自力で残留を決められる」と、ATの悪夢を糧に最終節の勝利を誓う

  • 2024.12.1
J1柏主将DF古賀太陽が相方と見せた大迫封じ「自分たちは自力で残留を決められる」と、ATの悪夢を糧に最終節の勝利を誓う
J1柏主将DF古賀太陽が相方と見せた大迫封じ「自分たちは自力で残留を決められる」と、ATの悪夢を糧に最終節の勝利を誓う

Text by ライター

【J1第37節柏レイソル1-1ヴィッセル神戸、11月30日、千葉・三協フロンテア柏スタジアム】

ホームでJ1残留を決めたかった柏は、神戸に1-1で引き分けた。前半5分にコーナーキックから柏FW木下康介のヘディングシュートで先制したが、アディショナルタイム(AT)に突入した後半50分、ペナルティーキック(PK)を献上した。キッカーの神戸FW大迫勇也の失敗により難を逃れたが、同55分に神戸FW武藤嘉紀(よしのり)に同点弾を決められて、J1残留は最終節の結果次第となった。

センターバックコンビが見せた大迫封じ

柏のJ1残留は2季連続で最終節に持ち越された。昨季18チーム中17位(最下位のみ降格)でトップディビジョンを終えたチームは、7位以内という目標を掲げて新シーズンを戦ってきたが、今節終了時点の順位は勝点41で16位となった。

目指していた場所とは、ほど遠い現在地について柏の主将DF古賀太陽は「去年から変わった姿を見せられなかったことに責任を感じている」と唇を噛んだ。

ここまで4試合連続でATに失点していた柏は、中断期間で攻撃面の強化を重点的に行った。チームはJ1第29節の東京ヴェルディ戦以降、複数得点を奪えていない。ゴールを積極的に取りにいくことで、弱点となっている終盤の脆さを補いたかった。

イレブンの取り組みは試合開始早々に実った。柏MFマテウス・サヴィオを中心にピッチを広く使うダイナミックな攻撃を展開したホームチームは、左コーナーキックを獲得した。

前半5分にキッカーを務めた柏MF手塚康平の左足キックは放物線を描きながら、身長190センチと上背がある木下の頭上へ。力強い跳躍を見せた背番号15は難なく相手DFとの空中戦に勝利し、ヘディングシュートをゴール右側へ流し込んだ。

幸先良く先制した柏は、天皇杯王者に自由を与えなかった。

やみくもに相手DFを追いかけるのではなく、じっくりとパスコースを限定した2トップの柏FW細谷真大と木下。出しどころを失った神戸の守備陣は、ロングボールを蹴らざるを得なかった。

堅守を支えたキャプテンは「プレッシングや、自分たちのやりたいことは表現できた。前の選手がうまくコースを限定して、自由にボールを出させないようにしてくれたので、自分たちはうまく(ロングボールに)対応するだけでした」と、アタッカー陣の守備を称賛した。

プラン通りにロングボールを蹴らせた柏だったが、最終ラインで待ち構えている選手は大迫や武藤といった日本代表クラスのストライカーだ。Jリーグ屈指の前線を誇る敵のアタッカー陣を抑えるために、古賀はセンターバックの相方である柏DF立田悠悟と念密な作戦会議を行った。

「自分と悠悟が二人で(後ろに)残る形が多かったので、(大迫を)縦で挟んだり、二人でどう守るか、どう(ボールを)回収するべきかをピッチ内で話し続けました」

J1柏主将DF古賀太陽が相方と見せた大迫封じ「自分たちは自力で残留を決められる」と、ATの悪夢を糧に最終節の勝利を誓う
J1柏主将DF古賀太陽が相方と見せた大迫封じ「自分たちは自力で残留を決められる」と、ATの悪夢を糧に最終節の勝利を誓う

神戸戦前のトレーニングから、積極的にコミュニケーションを交わしていた背番号4と背番号50。立田がマンツーマン気味に昨季J1MVPとリーグ得点王に輝いた大迫を警戒しながら、そのカバーに古賀が入るという連係プレーで、圧巻の守備を披露した。

中断期間中から守備のイメージを共有しあったセンターバックコンビは、試合終盤まで集中力を切らさずに、黄色い壁を築いた。

試合は1-0のまま、柏にとって課題のATに突入した。

キャプテンが夜明けへと導く

ファウルの多さを気にかけていた主将は「(ATが長くなると)予測はしていた。残り15分になってから『とにかくここからだ』と声をかけ合っていました」と、踏ん張りどころをチームに共有したが、いつものクセは直らなかった。

後半47分に柏DFジエゴがボックス内でファウルをしてしまいPKを与えると、同選手はこの日2枚目のイエローカードを受けて退場となった。PKはキッカーを務めた大迫のミスキックによってゴール右上へ外れたが、何よりも守備のピースが一人欠けたことが痛かった。

「PKは仕方がないですが、10人になってからの残り時間はかなり長く感じました。自分たちは『ここからが課題だ』と理解していましたが…。数的不利になったので、なんとかして相手に自由を与えないようにプレッシャーをかけました」

柏は同49分に攻撃の要だったサヴィオを下げて、DF三丸拡(ひろむ)を投入。完封で逃げ切りたかったが、同55分には武藤に同点弾を決められ、AT13分にも及ぶ激闘は1-1の痛み分けとなった。

J1柏主将DF古賀太陽が相方と見せた大迫封じ「自分たちは自力で残留を決められる」と、ATの悪夢を糧に最終節の勝利を誓う
J1柏主将DF古賀太陽が相方と見せた大迫封じ「自分たちは自力で残留を決められる」と、ATの悪夢を糧に最終節の勝利を誓う

攻守において、昨季のリーグ王者を上回った黄色と黒のイレブンだったが、またもATに失点した。柏の井原正巳監督は5試合連続で許したAT弾について「人生で経験したことがない」と苦笑いを浮かべた。

柏は最終節でJ1北海道コンサドーレ札幌と対戦する(8日、北海道・大和ハウス プレミストドーム)。既にJ2降格が決定している相手に対して引き分け以上、負けても他会場の結果次第ではJ1残留が確定する。

古賀は淡々と神戸戦を振り返りながらも、ふつふつと沸き上がる最終節への決意を口にした。

「結果的には同じことの繰り返しになってしまった。札幌戦は難しい試合になる。気持ちよく勝っている印象もあまりない相手です。

でも、自分たちは自力で残留を決められる。残留が懸かっているので、相手よりも高いモチベーションを持って臨むだけ。残り1週間、いい形で(今季を)終えられるようにしたい」

主将として2季連続の残留争いを味わっている背番号4は「これだけ苦しいシーズンでも前向きな言葉をかけてくれるサポーターのためにも最後は勝って、来年につなげる」と前を向いた。明けない夜はない。最終節に白星を挙げて、柏を支え続ける太陽がチームを夜明けへと導く。

(取材・文 浅野凜太郎)

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