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ジャポニスムの行方を知る!ナビ派の芸術家モーリス・ドニの展覧会が久留米市美術館で開催中

  • 2024.12.1

こんにちは。フリーキュレーターのSEIJIです。価値観や表現方法が多様化しているアートの世界を、ニュースや展覧会、作家や作品に注目したコラムにしてお届けする「今どきのアート」。近頃、気になったのがコチラ!

出典:シティリビングWeb

モーリス・ドニ《バッカス祭》1920年 石橋財団アーティゾン美術館

ナビ派の芸術家モーリス・ドニの展覧会「日本が見たドニ|ドニの見た日本」が久留米市美術館で開催中。130点におよぶ展示作品でジャポニスムの行方を知る!

今から100年以上前の19世紀のフランス。当時のフランスの美術界ではロマン主義から主流に変わった写実主義が浸透していましたが、印象派やポスト印象派などによって様相は次第に変化し、神秘主義的な側面をもつナビ派が登場しました。

ナビ派のナビとはヘブライ語で預言者を意味する言葉。そのナビ派の中心的な存在だったのがモーリス・ドニです。

出典:シティリビングWeb

モーリス・ドニ《雌鶏と少女》1890年 国立西洋美術館

モーリス・ドニとジャポニスム

ジャポニスム(日本趣味)が流行していた19世紀後半のフランス・パリで、モーリス・ドニやピエール・ボナールといった芸術家が「ナビ派」を結成。

「ナビ派」の表現の特徴である平坦な色面や装飾性と大胆な構図は、まさに新時代の芸術の夜明けでした。

20世紀美術への橋渡し役を果たした前衛グループであるナビ派の旗手だったモーリス・ドニは、ピエール・ボナールやエドゥアール・ヴュイヤール、ポール・ランソンらとともに新しい絵画をめざし、また、美術と建築、演劇、文学、音楽が一体となるような創作活動を実践しました。

出典:シティリビングWeb

ピエール・ボナール《子供と猫》1906年頃 愛知県美術館

芸術という幅広い分野を統合的な活動領域とするのは容易ではありません。それぞれの分野の価値観や活動があるからです。それゆえ、本当にすごい人物であり一派だと感じます。

モーリス・ドニは文筆にも優れていたようで、その美術評論は後に登場する抽象絵画を予言していると言われていたのです。まさに預言者を意味するナビ派の真骨頂ですね。

モーリス・ドニとナビ派は、自らが経験したジャポニスムの時代を背景に日本美術に憧憬を抱きながら彼らの影響は遠く日本にも及んでいきました。

そして美術が大きく変化していく 20世紀、モーリス・ドニとナビ派は「アカデミー・ランソン」を開校しました。ピエール=オーギュスト・ルノワールから良い学校があると勧められた梅原龍三郎をはじめ、海外からの留学生がモーリス・ドニやその後継者のロジェ・ビシェールの教えを受けていたのです。

出典:シティリビングWeb

黒田清輝《久米桂一郎肖像》1897年 久米美術館

生涯を通じて敬虔(けいけん)なカトリックだったモーリス・ドニは、第一次世界大戦後1919年にはアトリェ・ダール・サクレを設立。宗教画の復興を目指すとともに、壁画装飾など公共の仕事にも精力的に取り組んでいました。

時を同じくして絵画を収集する日本人コレクターが現れます。日本人コレクターが持ち帰ったモーリス・ドニの作品は1920 年代から日本国内で展示され歴史ある美術館に収蔵されていったのです。

出典:シティリビングWeb

モーリス・ドニ《アルミードの園》1907年 富士屋ホテル

開催中の展覧会は、日本美術に魅了され日本人留学生を励まし、戦前から日本のコレクターたちに作品を収集されたモーリス・ドニという人物に焦点を当てた企画展。

「一人のフランス人画家」という鏡に映る日本洋画を見つめること、そして、遠い国に生きたこの画家を「日本の美術」という鏡を通して考えることで、モーリス・ドニと日本の関係について両方向から光を当て約130点の作品の展示で読み解いています。

19世紀後半に海外で話題になったジャポニスムという日本ブームがその後どのように日本に帰ってきたかを、現代の日本の美術館で鑑賞する。

ハイカラでちょっと贅沢な時間の過ごし方かもしれません。

出典:シティリビングWeb

モーリス・ドニ《若い母》1919年 国立西洋美術館 松方コレクション

展覧会ではうれしいイベントも開催!

・映画鑑賞会(要展覧会チケット・半券可)

「カラミティ」(2020年、フランス・デンマーク、上映時間82分)。

2025年1月4日(土)13時から、15時30分から(開場は各30分前)。

会場は石橋正二郎記念館2階多目的ルーム 2。

定員は各回50人。入場無料(要展覧会チケット・半券可)。

・週末ギャラリートーク(約20分)

第1・3日曜日開催 14時から、当館学芸員による。

第 2・4土曜日開催 14時から、ボランティアによる。

※12月14日はのぞく

・プレママ&キッズデー

2024年12月23日(月)10時~15時。

小さなお子さんと未来のママたちを休館日に招待。妊娠中の方または未就学児を同伴する保護者1人の観覧料が無料。妊娠中の方は母子手帳の持参が必要。

・ペア鑑賞デー

12月24日(火)・25日(水)10時~15時

二人連れの来場者に日本庭園を望むカフェ&キャラリーショップ楽水亭のコーヒーチケットをプレゼント。楽水亭のカフェ営業時間は11時~17時まで。オーダーストップ16時30分。コーヒーチケットは展覧会の会期終了日まで利用可能。

会期は2025年1月13日(月・祝)まで。展覧会の詳細は下記のURLから確認してください。

久留米市美術館

https://www.ishibashi-bunka.jp/kcam/

プロフィール/SEIJI(小太刀正史)

フリーキュレーター。MeDEL個人事務所主催。学芸員の目線から美術館の情報を発信する活動を始める。自身もオブジェ作家として活動歴あり。

OBJECT東京展入選 From A The art日本オブジェ部門佳作 日本文化デザイン会議

ETDA展参加など。

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