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【お悩み】いつかパートナーを見つけ、相手を大事にできる自分になりたい。どうすればいい?#74

  • 2024.11.29

はーいみなさん、ごきげんよう!満島てる子です。
霜月ももはや名前負け。積雪待ったなしな状況の北海道ですが、もう11月も終わるのね。
この機会に改めてご報告。

SNSには書いたんだけれどもね。
わたくしこの10月末で7年間関わってきた「さっぽろレインボープライド」の実行委員を卒業と相成りました。
いやはや長かったような、短かったような。とにかく一旦やり切った感が半端じゃないわぁ。

Sitakke
ライター・満島てる子

これからもLGBTQに関する発信には、できる限り積極的に関わっていこうと、個人的に思ってはいたりしながらも。
ことパレードの運営については、フレッシュな気持ちで取り組んでくれる新たな世代がどんどん出てきてくれるといいなぁと、そんな風に願ったりしているこの昨今なのですが。

そんな折、応募フォームをのぞいてみたら、なんと2024年のさっぽろレインボープライドにからめたお手紙が届いていたのよ。
なんだか感慨深いわねぇ。紹介させていただこうと思います。

読者のお悩み:「いつかパートナーを見つけ、相手を大事にしていける、凛とした自分になりたい。なにから始めればいい?」

Sitakke
Sitakke
Sitakke

いやぁ冒頭のお話、これは嬉しい!
あなたが今「自分に誇りを抱」いてくれていることに、もし今年のパレードが少しでも資するところがあったなら、主催者のひとりとしてはこの上ない喜びというか。

レインボー"プライド"ってまさに、ひとりひとりの参加者がそんな明日への生きる力、あるいは人生の軸を持って帰ることができるようなイベントであるべきだと思うから、あたしとしてはこの投稿と出会えたことにまず感謝なのよ。
虹追い人Uさん、今回はお手紙送ってくださりありがとうございます!

さて、そんな個人的に刺さる部分もありながら。
それとは別で、送ってくださっているお悩みはしっかり大切というか、あたしにも別の角度からがっちりぶっ刺さるところがあると言いますか。
レズビアンやゲイの当事者としては、この話題どうしても考えてしまうし、思いめぐらせて然るべきものよね。

そうねぇ、「大切なパートナーと共に過ごす、凛とした性的マイノリティでありたい」。
その気持ち・願いをまず、虹追い人Uさんが今抱けるようになったこと自体は、あたし、寿がれるべきことだと思うの。

過去あったさまざまなことを通り抜けて、出会いが潤沢であるとは本人的には決して言えない環境に、現在はまだいるのかもしれないけれど。

「素敵なクィアになりたい」という望みを手にし、未来を見つめようとしているあなたに、まずはコミュニティの仲間のひとりとして、あたしは拍手を送りたい気持ちでいっぱいです。

ぶっちゃけ、あたし自身も…

それでなんだけどさ、ぶっちゃけあたしもね。
虹追い人Uさんと同じように、かねてよりずっと「自分を成熟させて、将来パートナーと出会えるだろうか。そしてパートナーを誠実に守り続けることができるだろうか」という不安というか悩みというかを、自分の中にずっと抱えているのよ。

というのもです。
ゲイ業界・レズビアン業界は確かに「洗練された美」の体現というか、そこへの憧れを誰しもが少なからず抱いている世界なんだなと、コミュニティのなかにいるとそう感じる機会がままあるのですが。

その「美」をよくよく観察していると、その正体は、貴重な出会いをしっかりすみやかにモノにするための、当事者たちの努力の結晶であったりもするんだよね。

例を挙げるとゲイたちのジム通い。男性らしさを身につけるべく鍛錬することで、モテにつながるわけで。
出会いに溢れる、あるいは出会いを逃さない未来を自分自身でプロデュースしようとしているところが少なからずあるんだろうなって、周囲を見ててそう感じるの。

でも正直ね。あたしはそういうセルフプロデュース、きちんとできる自信がこれっぽっちもないのよ。
日頃、自分に対しては虹追い人Uさんのように、今は「仕事など頑張らねばならない」からと言い聞かせていたり、周囲に対しては「筋肉ついちゃったらお気にのドレス入らないからぁ〜」とかほざいてたりするんだけれどさ。

実情としては、前回のコラムに詳しく書いた、自分の中のゲイとしてのコンプレックスが、しっかり尾を引いてるみたいで。
「どうせ筋トレしたところであたしは非モテ」という、おぞましい呪いをみずからおのれにかけちゃってるようなんだよね。とほほ。

そのせいで、パートナーと出会うことはもちろん、そのパートナーとの関係性を続けていくことも、本当は相手ほしいし誰かと一緒に人生を歩んでいきたいくせに、あまり想像できなくなっていたりするんですが。

そんな自分にとっては、虹追い人Uさんの今回のお手紙は、我が身を振り返させられるという意味でも、こころにクリーンヒットするところがあったのでした。

あたしなりのAnswer

……って、そんなあたしが勝手に抱えている呪縛を、こうやってつらつら披露したところで仕方ないわよね。笑
でもね、虹追い人Uさん。
あたしとしてはね、あなたの相談に乗っている人間がまずどんなやつなのかわかってほしかったっていうのが、率直なところ。
求められている「率直な意見」を伝える前に、正直な状況を伝えておこうかなって。

あと、あなたの感じる年齢の問題もよくわかるの。
あたしも来年で四捨五入すれば四十路。どうしても若さがちやほやされる傾向って根強いから(昔「ゲイは25歳が賞味期限」って言われたことあったっけ)、あたしもしんどい気持ちを最近抱えがち、ってことも伝えた上で。

ここからはそんな、この手の相談に乗るには「強」くも「しなやか」でもなさすぎるあたしが、あなたに素直な考えというか気持ちをシェアさせてもらおうと思います。
あまりに頼りないかもしれないけれど、よかったら受け止めてね。

では、虹追い人Uさん。
本当に率直に言うけれど、あたしまずあなたには、パートナー作りを「前向きに諦める」こと、やめてもらいたいなと思います。

突然で面食らったかもしれません。
あと「お前が言うんかい」とも思ったかもしれない。笑
でも、これ結構本気。虹追い人Uさんには、自分と向き合ってくれる誰かとの出会いを、どうかこれから積極的に求めていってほしいの。

今いる環境で直接というのは難しくても、都市圏に遊びにいく機会を増やしてみたり、当事者交流会があれば参加してみたり。SNSをどんどん活用するっていうのもいいと思う。
前向きになれるのなら、ぜひ人との出会いにそのエネルギーを向けてみてほしいんです。

誰かを大切にできるような自分になるためには…

というのもさ、あたしやっぱりね。
誰かを大切にできるように、自分が成長するためには、そもそもそんな「誰か」と邂逅し、衝突し、寄り添おうと努力すること、そんな経験自体が必要なんじゃないかって思うのよ。

それはきっと、セクシャリティの垣根を超えても通ずること。レズビアンにもゲイにも、虹追い人Uさんにとっても、なんならあたしにとっても大切な話だと思うんです。

つい自分語りをしがちだけど、どうぞお許しあれ。
あのね、あたしったらさ、自分に「非モテ」の呪いはしっかりとかけていながらも。
ひとりのへなちょこゲイながら、自分のこころを開くことのできる素敵な相手と出会ったときに、その人とのつながりを大切にすること、こればっかりはしっかり挑戦してきた自負があるの。

(そのおかげでか一度想いを寄せた方々とは、結果結ばれなかったとしても、後々まで続くソウルメイトのような関係性を作ることが、大概できているのよね。)

そのトライの中で感じたのはね。
恋にしても愛にしても、他のどんな関係性であっても。
人が変わったり進んだり、大きくなろうと覚悟を決められる瞬間は、誰か自分以外の人がいてこそはじめてもたらされるんだなって。
自分だけで考えることのできない色々を、誰かとの歩みは教えてくれるんだなって。そんなことだったの。そしてこの事実に気づけて、本当によかったと思ってるんだよね。

あなたの今の気持ちを捨ててほしくない

Sitakke

だから、虹追い人Uさん。
あたしあなたには、大切な人を見つけて一緒に歩もうとする気持ち、やっぱり今の時点から捨ててほしくないです。
艱難辛苦もひっくるめて、素敵な経験を実際に誰かとしてほしい。しようとしてほしい。何歳でも、どこからでも。
それが「素敵なクィア」としての「セクマイライフ」を、あなた自身のレズビアンとしての成長を、きっと確実にもたらしてくれるはずだから。

大丈夫!例えば、まず札幌には、レズビアンたちの集ういいお店があります。
年齢層も若さ一辺倒ってわけじゃない(知りたかったら個人的に紹介するわね!)。
あなたの居場所、将来のパートナーとの出会いの場所になるはず。可能性は無限大。

できることはたくさんある。
それをやっていくなかで、きっと自分以外の誰かと一緒に、虹追い人Uさんも違う景色が見られるようになるはず。

あなたがいつか強くしなやかな生き様とともに、レズビアンとしてパートナーとともにあたしのお店に遊びに来てくれる日を、楽しみに待っていますからね!

ま・と・め♡

というわけで、今回はLGBTQとパートナーという話題から、心情の吐露も含めて書かせていただきました。
このテーマ、取り扱えてよかったなぁ。なんだか自分のためにもなったような気がする。
お手紙をくださった虹追い人Uさんに、改めて感謝したいと思います。ありがとね!

さぁて、寒くなってきた今日この頃。どうしても人肌恋しくなっちゃうものですよね。
クリスマスに年末年始と、やたらロマンチックな味付けもできちゃうイベントが差し迫ってますが、みなさんどんなご予定なのかしら。
はぁ……あたしにもデートの約束とか、突然降ってきたりしないかなぁ……(大妄想人生)。

ではではここらで、また次回。
Sitakkeね〜!

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→https://questant.jp/q/sitakke_teruko

『ひとりの夜にあなたとあたしの したっけラジオ』

Sitakke

■番組名 「ひとりの夜にあなたとあたしのしたっけラジオ」
■放送日時 毎週日曜日 午後7時30分~8時00分 ※初回放送:2024年10月6日(日)
■出演 満島てる子、HBCアナウンサー・森結有花
■番組メールアドレス st@hbc.co.jp
■Podacast https://podcasters.spotify.com/pod/show/hbcsitakke

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文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:Sitakke編集部 ナベ子
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満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。お悩みは随時募集しています。

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