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平日夜に1万人以上動員!「おっさんホイホイ」だけじゃない、『ダイヤモンドカップオブレジェンド』が思い出させたサッカーの原点

  • 2024.11.29
平日夜に1万人以上動員!「おっさんホイホイ」だけじゃない、『ダイヤモンドカップオブレジェンド』が思い出させたサッカーの原点
平日夜に1万人以上動員!「おっさんホイホイ」だけじゃない、『ダイヤモンドカップオブレジェンド』が思い出させたサッカーの原点

Text by 小磯尚文(編集部)

27日夜に行われたダイヤモンドカップオブレジェンド(DIAMOND CUP OF LEGEND)では、ワールドレジェンズが4-3で勝利をおさめた。

この試合は、水曜日の夜19時キックオフ(配信は18時45分から)と平日だったにもかかわらず17時の開場前には入場待ち、当日券待ちの列にはずらりと人々が並んでいた。

試合が行われたニッパツ三ツ沢球技場では多くの人々が熱狂をしたように見えた。

平日夜に1万人以上動員!「おっさんホイホイ」だけじゃない、『ダイヤモンドカップオブレジェンド』が思い出させたサッカーの原点
平日夜に1万人以上動員!「おっさんホイホイ」だけじゃない、『ダイヤモンドカップオブレジェンド』が思い出させたサッカーの原点

ここでは、なぜここまで盛り上がったのかについて掘り下げてみたい。

現代サッカーと昔のサッカーへの懐古

サッカー日本代表がワールドカップアジア予選で苦戦することは少なくなり、ほとんどの選手はヨーロッパでプレーしている。確実に強くなっている一方で、日本においてJリーグやワールドサッカーに関して、明るい話題ばかりではない。

サッカーの戦術が進化する一方で、元プロ選手側からも「90分見るのがしんどい」「フィジカル、戦術重視になった」「VARでいちいち試合が中断されるのはどうなのか」とかつてのサッカーを懐かしむ声がしばしば聞こえる。

高まる放映権料に民法で無料でスポーツ中継が行われることは減り、有料放送が放映の中心になった。戦術やフィジカルが重視されると個性的な“ファンタジスタ”の活躍の場はないといった意見はその代表格だ。

その中で大きな宣伝もなく(だからこそ当日券を求める声は当日多かった)、過去の名選手を集めて日本で試合をすることは大きなリスクがあったに違いない。

だが、蓋を開けてみれば大成功だったと言えるのではないだろうか。

オールスターチームの興行

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2000年代頃までは世界選抜的なオールスターチームが世界各国で親善試合を行うことは珍しくなかった。実際、日本からも中田英寿などはその常連であった。

ところが、こうしたオールスターチームは一筋縄ではいかない。ワールドレジェンズのキャプテン、ミチェル・サルガドに対して「初めてプレーをした選手たちもいるのではないか?」とインタビュアーから質問が飛んだように戦術はあったものではないし、お互いが怪我をしないように中盤で激しいプレスを見せることもない。

平日夜に1万人以上動員!「おっさんホイホイ」だけじゃない、『ダイヤモンドカップオブレジェンド』が思い出させたサッカーの原点
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ある種“牧歌的”に個々の技術を楽しみながらゆるい視聴をするのは、普段のリーグ戦に対して刺激的ではない。事実、こうしたオールスターチームを組んでの世界各国での興行はあまり見られなくなっているように思う。

あるいは「国内リーグのメンバーを中心にオールスターを」という、野球を見習ったスタイルも定着しなかった。JリーグでもJOMO CUP Jリーグドリームマッチは2001年に、オールスターゲームは2007年を最後にそれぞれ開催されていない。

アメリカのMLSが1996年を皮切りに今でも毎年オールスターゲームを続けているのが稀有なほどだ。(2020年は中止)

ワールドサッカーの楽しさの原点

平日夜に1万人以上動員!「おっさんホイホイ」だけじゃない、『ダイヤモンドカップオブレジェンド』が思い出させたサッカーの原点
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しかし、現代サッカーがあまりにフィジカルや戦術にふった影響からか、この試合ではむしろそのゆるさが心地よかった。飲みながら、食べながら、あるいは声援を送りながら、ファンは思い思いの時間を過ごしていた。

だれが見てもダーヴィッツの上下運動はすごいし、ドレッドヘアはインパクトがある。ダビド・シルバはまだまだリーガでやれるのではないか、というぐらいのリズミカルなタッチだし、ピレスも動きはらしさ全快だった。個々のテクニックを“のんびり”堪能できたのだ。

“わかりやすく”世界的スターのすごさがダイレクトに伝わってきた。パス1つ1つ、タッチ1つ1つがすごいのだ。

この試合に出場したスターたちは、日本が1998年、2002年ワールドカップを機に盛り上がり、日本代表のスターがヨーロッパサッカーに挑戦していった世代のスターだ。ワールドサッカーが一番盛り上がっていた時期なのかもしれない。

そして、親になった当時の若者たちが父親として奥さんや子供たち、もしくは同僚とサッカーをもう一度楽しみに来ていた。

試合前・後には選手たちからボールが投げ入れられ、サイン入りグッズを手に入れるチャンスがあった。

子供たちに話を聞くと「(ワールドレジェンズが着ている)あのパーカーがめっちゃかっこいい。欲しい」とダイレクトな反応が見られた。ファンからは「ダーヴィッツが変わらない」「カカがすごい」とサッカーを楽しむ原点となる声が聞こえた。

サッカーをエンタメにする。

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そして、主催者側の意図もそこにあったと思う。

このイベントは、普段のJリーグのスタジアム使用時よりもライティングが若干抑えられ、暗い様に見えた。かわりに試合では常にBGMが流れ、スタジアム実況のじゅんいちダビッドソンと解説の宮澤ミッシェル、そしてAKB48の下尾みうが絡む音声が試合中に客席まで届けられた。

反面、「得点シーンなどがちょっとわかりずらい」、「メリハリがない」といった声も聞こえたが、サッカーをただ1試合流すのではなく、エンタメ化しよう、楽しく過ごしてもらおうという創意工夫が感じられた。

惜しむらくはここまで盛り上がるのならば、土日祝日に開催をしてほしかった。Jリーグの日程がない時期や日を選べばいけたのではないだろうか。そんな第二回へ向けた期待を込めて本稿をとじることとする。

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