2025年冬の新ドラマが一通り出揃った。バカリズムが脚本を務める『ブラッシュアップライフ』チームによる『ホットスポット』(日本テレビ系)、比嘉愛未と岩田剛典がダブル主演を務める『フォレスト』(ABCテレビ・テレビ朝日系)など、SNSでの考察が加熱しているドラマに追従する形で幕を開けたのが、広瀬すずが主演を務める連続ドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)だ。
第1話の話題の焦点は、心麦が春生の娘なのか
物語はクリスマスイブの夜に山下心麦(広瀬すず)の父・春生(リリー・フランキー)が殺害されるところから始まる。逮捕されたのは、遠藤友哉(成田凌)。春生が心麦に遺した手紙には、友哉は冤罪であるという衝撃の記述があった――。
原作は浅見理都による同名マンガで第6巻まで刊行、『Kiss』(講談社)にて連載中。原作でもいまだ犯人は明らかになっておらず、放送前に開かれた制作発表会見時点から、キャスト陣による考察が繰り広げられるほどであった。
第1話オンエア時点で話題の中心となっているのは、雑誌『週刊ジダイ』の記者・神井孝(磯村勇斗)が心麦に告げた「あなた、山下さんの本当の娘じゃないですよね?」というセリフ。22年前に起こった「東賀山事件」で生き残った次女が心麦なのではないかというものだ。
心麦が落とした飲みかけのペットボトルを神井が拾う描写もあり、付着した唾液からDNA鑑定をするつもりなのかもしれない。心麦の父である春生はすでに亡くなってしまっているが、春生の姉で心麦の伯母にあたる木村夏美(原日出子)が血縁関係にある。エンディングで様々な登場人物が怪しくインサートされる中に夏美も含まれており、春生の死後、“家族”として保険金の話をしていたことも裏の顔があるように思えてくる。本作はサスペンスドラマでもあり、親子愛を描いたヒューマンドラマでもあるが、その関係性すら真実ではなかったとしたら――考え方を根底から覆していくような、全てが疑わしく思えてくるのが、本作の見どころであり、考察のポイントでもあるだろう。
また、第1話の放送後、公式サイトの相関図には、「山下春生の手紙による冤罪メンバー」として5人の枠が追加されている。三木田辰雄、津寺井幸太、阿波山京一郎、高畑まのか、廣島育美。ここに遠藤友哉を加えた6名が、逮捕か起訴された場合は冤罪だと春生が記していた人物たちであり、それは生前に春生と関係性があったか、もしくは春生が刑事時代に捜査をしていた人物だと考えられる。第1話にはリュックサックを背負った正体不明の人物も印象的に映し出されており、先述した5人のうちの誰かということになるのだろう。広瀬すずを筆頭に、弁護士・松風を演じる松山ケンイチなど、豪華キャストが話題になっている『クジャクのダンス』だが、これからさらに追加のキャストが確実だということを示してもいる。
松山ケンイチがSNSで犯人考察の公開アンケートを実施、その結果は
また、東賀山事件で殺害された林川一家の父親が、野間口徹であることも反響を呼んでいる。第1話の放送後、野間口は自身のSNSにて「気付いた方もいらっしゃいますが「クジャクのダンス、誰が見た?」にチラチラと映り込んでおります。」と報告。野間口は『ホットスポット』第1話冒頭にも正体不明の役として出演しており、「今期、事前に言えない感じの出方をしてる作品ばかりですみません。」と続けている。
松山は「クジャク第1回考察」と題して、SNSで公開アンケートを実施。「遠藤友哉」「赤沢刑事」「ムッチ先輩(神井)」「その他」の4択で、赤沢刑事が半数近くの得票率を獲得し、犯人として疑われていることが明らかになっている。同時に松山は、「広瀬すずの「泣くな」って言いながら顎を震わせて我慢してるカット素晴らしかったですね。」と広瀬の演技を称賛。放送前から大々的に犯人予想が加熱していく一方で、父の死を受け止め弱気になるも、真実と向き合っていく覚悟を決める心麦の心情の機微を、広瀬の演技力で表現していることは、ただの考察ドラマに終わらない、本作の深みと言える。
TBS系 金曜ドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』
2025年1月24日(金) よる10時〜スタート
ライター:渡辺彰浩
1988年生まれ。福島県出身。リアルサウンド編集部を経て独立。荒木飛呂彦、藤井健太郎、乃木坂46など多岐にわたるインタビューを担当。映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』、ドラマ『岸辺露伴は動かない』展、『LIVE AZUMA』ではオフィシャルライターを務める。
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