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【獣医師が解説】災害時にも犬猫を迷子にさせないために、今からできる対策を紹介

  • 2024.12.4

災害はいつどこで発生するのか、予測を立てるのは難しいのが現状です。
平時でも迷子の犬や猫の張り紙を目にすることがありますが、災害が発生すると迷子の数がさらに増えがちです。

ペットも大事な家族であり、大切な「わが子」と災害によって離れ離れにならないために必要な対策を紹介します。

ペットの迷子はどうして起こる?

環境省によると、迷子の犬は全国で毎年10万頭以上発生していると報告されています。

犬や猫などのペットが迷子になる原因のほとんどは以下のようなことが原因です。
・一瞬のスキをついてドアや門から出ていった
・散歩や外出先で失踪した
・花火や雷など大きな音に驚いて逃げ出した

これらは日常で起こりうるきっかけの一例ですが、災害が発生すると、家屋の損壊や避難所への移動により、迷子になるペットの数が増加すると考えられます。また避難所での慣れない生活など、人間だけでなくペットにもさまざまな不安やストレスがかかることがあるでしょう。
ペットの迷子を防ぐためには、日頃からできる対策に取り組むことが重要です。

ペットの迷子を防ぐための対策を紹介

ペットの命を守ることは飼い主の責任です。日頃から迷子対策を行うことでペットの安全だけでなく、感染症やケガのリスクの軽減につながります。
迷子対策は普段のちょっとした気遣いでできることが多くあります。ここでは代表的な対策について紹介します。

飼育環境の見直し

犬や猫は突然の大きな音や衝撃に非常に敏感です。家から逃げ出すきっかけを作らないように安心できる場所を確保しましょう。

ドアやケージなどの開閉時や、わずかな隙間から脱走してしまい、迷子になるケースも少なくありません。日頃から戸締りを徹底して、ケージや鎖などに劣化がないか点検しておくことが重要です。

もし迷子になった場合、ほかの動物との接触によって感染症に罹る恐れがあります。適切な時期に必ず予防接種を受けておきましょう。

犬の場合、散歩中に逃走する可能性があります。リードの装着を欠かさないことに加えて、「待て」などの呼びかけに応えられるようトレーニングしておきましょう。

猫の場合、一般的に春から秋にかけて発情期があります。その影響で外に出て迷子になった結果、望まない妊娠につながることがあります。
不妊・去勢手術が迷子時のリスク軽減につながるため、繁殖の予定がない場合は不妊手術が推奨されます。

マイクロチップの装着

2022年6月1日より、ブリーダーやペットショップなどで販売される犬や猫については、マイクロチップの装着が義務化されました。

マイクロチップは、15ケタの個体識別番号が入力されたICチップを直径約2mm、長さ約8mmの円筒状のものに収めてあります。データの書き換えの心配がなく耐久性に優れているという特徴があり、国際規格に適応しています。犬猫では首の背中側の皮下に挿入されていて、迷子になったときに個体識別番号を読み取り、データベースと照合して身元の確認を行います。

なお一般の飼い主が、マイクロチップを装着していない犬や猫を譲り受けた場合のマイクロチップ装着は努力義務となります。ただしマイクロチップを装着した場合は、国のシステムへ所有者情報の登録をすることが義務付けられています。
また犬や猫だけでなく、一部の特定動物(危険動物)はマイクロチップの装着が原則義務付けられています。

マイクロチップは迷子になったときに早期に身元を確認するための有効な手段となりますので、データベースの登録まで忘れずに行うようにしましょう。

首輪や迷子札の装着

マイクロチップのほかに、首輪や迷子札を身に着けることで身元の確認につながることがあります。首輪や迷子札には動物の名前や住所、連絡先などを記載しておきましょう。

犬の場合、狂犬病予防法で鑑札と狂犬病注射済票を身に着けることが定められています。なお一部市町村では鑑札にかわってマイクロチップの装着で代用されることがあります。役所や各自治体の情報を確認しておきましょう。

ただし、首輪や迷子札はそもそも装着を嫌がる場合があるほか、体から外れてしまう恐れもあります。サイズの合った、外れにくい首輪を選びましょう。また日頃から装着に慣れさせておくこと、そして定期的に劣化などがないか点検をしておくことが重要です。

災害時にペットとはぐれてしまったらどうしたらいい?

災害発生時、まずは飼い主自身の安全を確保することが第一です。もしペットとはぐれてしまった場合は、いないことがわかったらすぐに探しましょう。あわせて住んでいる自治体の役所や警察署、保健所など各機関に連絡を入れます。

犬は時間が経つほど遠くへ離れていき、大型犬などでは1日に数十km移動することがあります。はぐれた場所を中心に同心円状に探していくとよいでしょう。
猫は暗く狭いところでじっとしていることが多い傾向があります。猫の行動範囲は犬ほど広くないため、自宅内、自宅周辺を重点的に探すのがよいかもしれません。

災害時は自治体によって現地動物救護本部が開設されることがあります。動物の同行避難の方法は地域により差があるため、事前に確認しておきましょう。
安全に避難できるよう、ペットをケージに慣らしておくことや、必需品の備蓄、ペットの情報がわかるメモなどを用意しておくと安心です。

まとめ

犬や猫の迷子は、室内飼育であっても起こりうるものですが、災害発生時は迷子の頭数がさらに増加するだけでなく、ケガをしたり家に帰れなくなったりする可能性が高くなると予想されます。
他人事と考えず、ペットを迷子にさせないためにしっかりと対策を取っておきましょう。

〈執筆者プロフィル〉
増田国充
ますだ動物クリニック 院長
獣医師・国際中医師・愛玩動物看護士・防災士

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